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日本の対パラオ経済協力
◆コロール州リサイクルセンター

(離島アンガウル島のゴミステバ)
パラオのような小さな島国では日本のようにゴミを焼却処理したり、工場を作ってリサイクルしたりするのには、規模が小さすぎて採算がとれません。そこでこれまでずっと、ゴミはそのまま埋め立て処理をされてきました。離島では谷間に落とすだけというところがほとんどで、今も日本統治時代の名残で「ゴミステバ」と呼ばれています。近代型の便利な使い捨て文化はこの島国にも根付き、毎週毎月食料や日用品を満載した船が入ってきますが、その一方でゴミはどんどん増えたまっていきます。

(コンポストを作る機械)
そんな危機的な状況を解決するために、2008年、人口の7割が集中する首都コロールに、パラオで唯一のリサイクルセンターがつくられました。 このセンターでは、残飯、紙ゴミ、庭から出るゴミを利用したコンポスト製造、資源としての飲料容器(ペットボトル、缶、瓶)輸出によって、現在、パラオから出るゴミの約17%がリサイクルされています。
このセンターを運営しているのはコロール州政府ですが、在パラオ日本大使館は、過去3度に渡り、草の根無償資金協力援助を通じて継続的にリサイクルセンターを支援してきています。
【在パラオ日本大使館のリサイクルセンターへの支援実績】
2007年 ペットボトル・缶圧縮機、瓶粉砕機供与
2009年 ゴミ分別ステーション設置
2010年 ゴミ収集車・リサイクル車供与


(草の根無償資金協力で供与された飲料容器圧縮機(左)とゴミ収集車(右)
コンポスト製造は2009年から、飲料容器リサイクルは2011年10月から開始されました。 コンポストは1キログラムあたり5ドルで販売し、年間約100万円の売り上げを出しています。

(センターに集められた空き缶)
飲料容器デポジットシステムは、飲料容器を輸入する際に一本につき10セントの輸入税をかけ、そのうち5セントは空の飲料容器をリサイクルセンターに持ち込んだ人に返還、残り5セントは州政府や中央政府の収益となります。 回収した缶、ペットボトルは圧縮して台湾のリサイクル業者へ輸出、瓶は粉砕して未舗装の道路、庭などにまく砂利の代わりとして無料配布しています。 2013年10月までに約3500万本がリサイクルされ、街中にはゴミがほとんど見られなくなりました。
コロール州政府のコンサルタントとしてセンターの立ち上げ・拡大に活躍してきたのが、日本人の藤 勝雄さんです。 藤さんは2004年から2006年までJICA海外シニアボランティアとしてパラオに派遣され、任期終了後はコロール州政府と直接契約を結び、貢献を続けています。 センターの活動が軌道に乗ってきた2011年10月からの2年間で、センターの収入は約1億円にものぼりました。センターの年間運営コスト3500万円を差し引いても、年間1500万円の黒字となり、コロール州の大きな収入源の一つとなっています。 それだけではなく、設立時の2003年には2人だったコロール州廃棄物処理事務所の人員は、2013年10月までに56人にまで増え、雇用の増大につながりました。 人口2万人に満たない小さな島国にとっては、非常に大きなインパクトです。 リサイクルセンターでは、次なるプロジェクトとして、廃プラスチックを油化し発電に利用するという取り組みを始めています。
これからもパラオのゴミ問題に取り組む、パラオ、コロール州、そして藤さんの挑戦は続きます。
©Embassy of Japan in the Republic of Palau
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