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パラオで活躍するJICAボランティア
◆パラオからAlii!(こんにちは)
JICA ボランティア 山崎大人
私は、コンピュータ技術隊員として2013年3月から2015年3月までパラオに赴任している山崎大人です。人口2万人弱、屋久島くらいの大きさしかない南の島で行なってきたボランティア活動や生活について、簡単に紹介させていただきます。

(ロックアイランド)
パラオという国は海の自然が非常に豊かなところです。サンゴ礁の塊からなるロックアイランドは2012年に世界遺産にも登録されており、世界でも有数の美しいサンゴ礁があるところなのです。サンゴ礁以外にも、ジェリーフィッシュ、イルカ、サメ、マンタなど海洋生物の多様性も大きく、世界中の人々を魅了し、多くの人が観光で訪れています。
このような観光産業や先進国による開発援助によって、道路・電気・水道などのインフラは(まだまだ不十分ですが)整備されてきています。情報インフラも整備が進み、企業や政府組織の業務の多くがシステム化されてきています。しかし、最新の設備やソフトウェアを導入しても、それらを有効に運用できているところは多くないようです。その原因は、高いコンピュータリテラシーを持った人材が少ないこと、また、政策や組織レベルで全体的なIT戦略が確立されていないことなどが挙げられると思います。

(サーバラック)
私の配属先は、パラオ最高裁判所内のコンピュータ・プリンタ・サーバを運用・管理している管理情報システム課という部署です。パラオの裁判所は、出生や結婚に関する各種手続き、土地管理に関する裁判などが行なわれており、パラオの司法を担う重要な組織となっています。裁判などに関する情報は管理情報システム課が運用しているシステムで一元的に管理しています。しかし、国民や国家に関する重要な情報がシステムで扱われているにも関わらず、本システムには重大な問題がありました。それは、このシステムが外国の企業が開発したものであり、品質が非常に悪いということ。また、裁判所職員はシステム保守がまったくできず、開発した企業に丸投げの状態だった、ということの2点です。
この事実を踏まえた私のミッションは、システムを改善することと、職員が自らシステム保守できるように技術指導をすることです。具体的には、(1)設計書やマニュアルなどのドキュメント整備、(2)システムの改善、(3)職員への保守技術の指導、を行なってきました。システム改善では、職員から改善要望を丁寧に聞き出すことを心がけました。技術指導においては、テキストを作成し、コンピュータ技術の基本的な部分から、データベース・プログラミング技術などを指導してきました。任期途中で、課の職員が入れ替わり、指導をイチからやり直すなどの問題もありましたが、システムは少しずつよくなっており、また職員の技術力も上がってきています。コンピュータ技術はここまで勉強すれば何でもできるというようなことはなく、日々勉強しなくては新しい技術のキャッチアップができません。任期終了後も自ら学習を続けてもらえるようにするのが、私の最後の仕事です。

(ランニング中に見た夕焼け)

(板彫りの先生と自分の作品)
平日はだいたい6時頃起床、職場まで徒歩3分で出勤して、7時半から夕方4時半までが業務です。残業はないのでプライベートな時間もしっかり取れます。職場では英語で会話しますが、パラオ人同士がしゃべる時はパラオ語なので何を言っているか未だにほとんどわかりません。
休日はロックアイランドで泳いだり、ランニングをしたりと、体を動かすことが多いです。仕事が基本的にはデスクワークなので、休日はほとんど必ず外に出ています。スノーケルやダイビングでサメ・カメ・マンタが見えたり、ランニング中に虹や夕日を見たり、外にいると何をしていても、パラオの自然のすばらしさを実感できます。運動以外にも、板彫り(ストーリーボード)教室に通って作品を作っています(これまでに6個作成)。残りの期間、パラオにいる間は仕事だけではなく、自然や文化を全身で感じていきたいと思っています。
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