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パラオで活躍するJICAボランティア
◆パラオからAlii!(こんにちは)
JICA ボランティア 田中美紀雄
私は、平成24年3月にここパラオに着任した。パラオは大洋州の西の端に位置する小さな国である。人口は2万人ほど、国連加盟の国でこれより小さな国は、ニウエ、ナウル、バチカン市国の3カ国だ。陸地面積は屋久島ほどであるが、大小形も大きさも異なる600近くの島で構成されている。文字通りの群島である。
日本統治の影響もあって、先祖に日本人の流れをくむ人も多い。独立した時の大統領は、Kuniwo Nakamura(クニオ・ナカムラ)、現在のコロール州の知事はYoshitaka Adachi(ヨシタカ・アダチ)、世界屈指の親日国と言われるゆえんを垣間見るのはこうした名前だけではなさそうである。パラオ語になった日本語の多さも際立っている。Skarenauos(スカレナオス)は「疲れなおす」で、よく聞く言葉で疲れたのでリラックスしてビールを飲むと言う合言葉のようだ。Aji Daiziob(アジダイジオブ)は美味しいの意味である。
食べ物も豊富で治安も良く、日本人観光客数はこの国最大でこの国の人口の2倍近くも訪れる。全体では何と10万人以上の観光客数である。文字通りの観光大国である。通貨はUSドルを使用し、公用語は英語とパラオ語であるのも日本人には魅力的だ。
この国の首都はマレキョクMalekeok、世界で最も小さく人口わずか300人ほどだ。2006年に遷都されたものの未だに実質的な首都機能はコロール州のようだ。
私はこの国最大の都市、コロール州政府建築都市計画部局で独立のはるか前にできた都市計画マスタープランの改定作業に従事している。40年近く前にできたマスタープランの見直に取り掛かって私で3人目だ。もう6年目になるが、未だゴールが見えないところが大きな悩みである。国勢調査に基づく統計資料はほぼ5年ごとに作成されているようで、初代並びに2代目はこの2005年版のデータを元に進めてきた。その後2010年には大統領が交代した影響で予算がつかずできなかった。そして、2012年に行われた。
見方を変えるとこうした島国特有のゆったりとしたリズムやおおらかさがたまらなくここちよいとも言えるが、私は早く仕上げて、5年ごとにまた見直せる。そんな仕組みを整えたいと考えているが、事はそう簡単ではない。前任者からの引き継ぎも課題山積のコメントが多かった。悩みは深まるばかりだ。
ここ最近の大きな話題は、世界遺産となった「ロックアイランド南部ラグーン」が2012年世界遺産
となったことである。日本の富士山のちょうど一年先輩である。ロックアイランドの多くはコロール州の所管である。世界的に有名なパラオの大半のダイビングスポットはコロール州が管轄している。こうした潜在的な要素も都市計画マスタープランとは無縁でない。
都市計画マスタープランは、20年後の都市を見据えての基本的なガイドラインである。現状の課題を抽出し、その対応策を講じて課題解決に向かって進んでいくための基礎となるガイドラインとなるはずである。
こうした中、一生懸命進めているのは現状の土地利用の詳細な調査である。その後に土地の利用計画図(都市計画図)を提案していく、そんな青写真を前任者が描いてくれた。私は、面積的な把握も容易なAUTO-CADで現状に近い土地利用計画図(都市計画図)を作成した。次につながることを期待している。
田中美紀雄:地方公務員の建築技術職員としてまちづくりなど建物にかかわって幅広く培った経験を活かしたいとJICAのシニア海外ボランティアに応募。ドミニカ共和国に次いで2カ国目となった。
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