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パラオで活躍するJICAボランティア
◆パラオからAlii!(こんにちは)
JICA シニアボランティア 深澤 均
私は日本で約30年間、静岡県環境衛生科学研究所で勤務し、主に水質関係の調査研究を担当してきました。定年退職後JICAシニアボランティアとしてパラオに来ています。そして2011年の9月末に着任し早くも9ヶ月が過ぎようとしています。

(採水風景:草を掻き分け採水。強い日差しで草の成長も早いです。)
私のパラオでの配属先は、MPIIC(公共基盤・産業・商業省)の下部機関でありますマラカル下水処理場です。この下水処理場は、マラカル半島の最南端部にあり、小高い丘と、海岸線にあるアイスボックス公園に挟まれており、景観と自然環境がすばらしい所に在ります。
パラオで最も人口の多いコロール州では、そのほとんどが下水道対象地域になっています。その下水を当処理施設で水処理し、処理水を海域に放流しています。当処理場には、住民の衛生的で快適な生活を維持するのみならず、パラオの海を守る大きな役割があります。従って、パラオのきれいな海を保つためにも、放流水は浄化される必要があり、私は重要な仕事を与えられています。
配属先で私は水質を測定しています。そしてその測定結果を評価し、施設の維持管理に役立て、最終的には処理後の放流水の水質改善をするという目的でやっています。当施設は更新されてから、約7年経過していますが、その間に水質測定をした実績はありません。現在、施設の運転管理は経験に基づき実施されていますが、これからは、水質のデータを見ながら科学的に判断して、運転管理を改善していくことを目指しています。

(水質測定:少ない測定器具で奮闘中)
この処理施設は、地の利を生かし標高差を使うとともに、自然エネルギーも有効に使っています。すなわち、排水は重力による自然落下で行われ、ポンプ等の稼動は最小限で済みます。水処理方法は微生物を利用した方法で、利用する自然エネルギーは太陽の日射と高温気象です。日本とは異なる気象条件で、また処理施設も日本ではあまり採用されていない散水ろ床です。従って、通年で28℃近い気温により、処理施設で働く微生物の活性が、四季のある日本と随分違ってきます。太陽光により活性化される光合成細菌は数時間のうちに繁殖し、処理池を一気に緑色に変えてしまいます。自然の力の偉大さを再認識できます。私にとっては、新たな体験であり楽しみながら業務をしているところです。また、水質測定をしてその結果をとりまとめることがパラオ発第一号になると思うと仕事の重みを感じます。
昼休みには職場の目の前にあるアイスボックス公園で過ごすことが多いです。ここは海辺にあるためほど良い風が吹いてきます。この公園にはトタン屋根と柱だけの小さなサマーハウスがあり、ここに地元の人が休憩に多数来ます。最近では顔見知りの人が多くなりましたが、私より年配の人も多数集まります。この人たちは、仲間内では当然パラオ語で会話をしますが、私が行くと日本語で話しかけてくれます。片言からかなり流暢に話す人まで色々です。日本人由来の名前を名乗る人や、親が日本語で話していた人達、中には味噌汁の効用までしゃべる人等様々ですが、皆さんは日本や日本人に対して非常に良い印象を持っています。このような人達とわずかな時間でも話をすることは、パラオの生活習慣を知る上でも役に立ちますが、パラオ人との距離感が近くなり、日本とパラオの友好に大切であると考えています。パラオ語で話された時は全く理解できませんが、雰囲気に溶け込むように努めています。
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