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パラオで活躍するJICAボランティア
◆パラオからAlii!(こんにちは)
JICA ボランティア 島田 風太

(授業風景)
「かん、かん、かん」と鐘が鳴り、1日が始まります。そして国歌斉唱、黙祷、そして体操(日本のラジオ体操)。その間も遅れてきた生徒がこそこそと駆け寄ってくる。これが私の通っている高校の朝の集いの風景です。ここはパラオのガッパン州イボバン村。私がその村の中にある私立ベラウ・モデクゲイ高校に理数科教師として赴任してから1年3か月が経ち、すっかりこの光景も見慣れたものになってきました。
この高校はパラオ人の生徒に、中国からの留学生も含めた全校生徒40人ほどの小さな高校です。この高校では特色として通常の授業の他にも、魚の取り方、畑仕事、家畜の世話や建築といったパラオ人の日常の生活に活かすための授業も行われています。

(生徒たちに囲まれて)
私は2名のカウンターパートと共に9年生、10年生(日本の中学3年、高校1年に当たる)の代数学と全校生徒の体育の授業を担当しています。体育の授業では生徒たちに主にバスケ、バレー、野球やソフトボールをさせています。またパラオでは1年間を通して全高校(5校しかありませんが)対抗で各種の大会が行われており、そのための選手の選出やスケジュールの確認、生徒の引率も仕事の1つです。数学の授業ではカウンターパートと交互に授業を行い、お互いに教授方法を学んだり、生徒の理解度を確認・認識しあい、どの様に教えればいいか、どの部分が生徒たちに必要かを話し合ったりします。そうして行った活動の中に、「教室の中に符号の掛け算・足し算の仕方を書いた紙を教室に張る」というのがあります。「何故高校生の教室に・・」と思う方もいるかもしれませんが、パラオでは9年生や10年生の授業の中でも数学の基本となる符号や数字の四則演算が理解できていなかったり、曖昧になっている生徒たちが半数以上を占めている状態です。何回教えても次の日には忘れている。また教える。毎日がその繰り返しですが、たまに生徒たちが自分の説明したことを理解してくれたり、理解しようと努力しているところを見た時は、活動をしていてよかったと思える時間の1つです。

(イボバン村での生活)
この高校の大半の生徒が寮 (バンガロータイプ)に住んでおり、私もその中の1つに住み寝食を共にしています。朝、昼食は村から来たコックが作ってくれますか、夕食は生徒が持ち回りで作るので、量や味がまちまちで夜になるとよくお腹を空かせた生徒が食料を求めて私の寮にやってきます。放課後のまだ明るいうちには生徒たちと一緒にバレーボールやバスケットボールをしたり、アメリカから来ているボランティアの人と散歩をしたり。たまにですがテストの前など、生徒が勉強を教えて欲しいと来ることもあり、普段はなかなか言うことを聞かない生徒がそういう時には必死に数字と格闘しているところを見ると感心してしまいます。
大学を卒業してすぐ協力隊員となり、パラオの助けになろうと思いながら活動を続けてきたこれまでの1年3か月ですが、実際には私の方が活動や暮らしの中で生徒や、同僚、村の人たちから学んだり助けられることが多い毎日でした。
残りの9か月、この戻ってくることのない大切なパラオでの時間を、悔いることの無いように過ごしていきたいです。
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