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パラオで活躍するJICAボランティア

◆パラオからAlii!(こんにちは)

JICA ボランティア 山口 昌美

(アルモノグイ小の子供達と先生)

 「オハヨーゴザイマス」「ゲンキデスカ?」「コレハ ナンデスカ?」日本語での会話が飛び交う朝,スクールバスからは「ウエヲム~イテ アルコ~ ナミダガ コボレナイヨ~ニ・・」の歌声。手裏剣や折り鶴をひたすら折る子,二人あやとりをする子たち,「ぶんぶんごま」を高速回転させ草を刈って遊ぶ子,日本アニメの登場人物の名前の意味を質問攻めしてくる子・・・
日本に興味津々,好奇心旺盛な子ども達。算数もこれくらい習得が早かったらな~と苦笑しながら,慣れ親しんだこの地を,あと数日で去るのかと思うと,とても名残惜しく,涙が浮かんできます。

 私が所属するアルモノグイ小学校は,バベルダオブ本島西側中央に位置し,1~8年生までの全校児童53人,教職員14人で構成されています。小学校教諭として派遣された私の任務は,「所属校とパラオ全体の子ども達の算数学力の向上,先生の指導力向上」です。

 子ども達の算数学力の向上,特に四則計算力をつけるために,日常の反復練習や計算大会の実施,「使える算数・楽しい算数」を目指して,体育の中での算数ゲームや空き缶リサイクルでお金の計算,パズルやゲームなどを紹介してきました。
 先生方とは授業の準備・教材研究の他に,指導力の向上と学校・学級経営の改善をめざして毎月の公開授業研究を,低学年では保護者の協力を得るため,パラオでは初の授業参観を実施してきました。
 また他校や教育省所属のボランティアと協力して,教育省に働きかけたり,算数ソングをテレビ放映したり,ワークショップを開いたりしてきました。

(算数部会の仲間とのワークショップ)

(1年生での授業参観)

 のんびりパラオ,ゆっくりとした時間が流れているのに,なんだか自分だけが気忙しく動き回っているようで,苛立ちを感じたこともありました。少人数なので手厚い指導ができているのに思うように伸びない子どもの学力,なかなか変わらない先生の授業スタイルや時間の使い方,教育システムそのものなどに,苦悩と葛藤を覚えた日もありました。

 しかし結局私は,元気で無邪気な子どもの笑顔,柔軟でプラス思考の先生方,そして美しいパラオの大自然に,癒され救われて,いつも自然と穏やかで幸せな気分になりました。私は皆に生かされていて,助けられ,教えてもらっていることの方が断然多いことに気づかされました。

(お世話になったホストマザー)

(5年生の書き初め)

 4月からは地元長崎の小学校に復職します。長崎で教鞭をとる者として,世界平和へ自らも貢献したいと協力隊を目指しました。パラオの子ども達とは,共に平和について考え,折り鶴を折る機会が持てました。手紙やビデオでの交流で,お互いの興味が高まりました。帰国後は日本の子ども達にパラオのことを紹介し,平和のこと,環境のこと,国際協力のことなどについて,一緒に考えていきたいです。

 最後に,パラオ滞在中,実の娘のように温かく時に厳しく支えてくれたホストファミリー,いつも優しく親切に接してくれたパラオの全ての人々に,心から「Mesulang(メスーラン)」(感謝)!!
 そして,「将来は算数の先生になる」「日本に留学する」と夢を語ってくれたパラオの子ども達の将来の活躍を,いつまでも応援していきたいと思います。