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パラオで活躍するJICAボランティア

◆パラオからAlii!(こんにちは)

JICAシニア海外ボランティア 手束 健一

 JICAシニアボランティアとしてパラオに赴任して、早くも1年9ヶ月が過ぎ、3ヵ月毎に任期を終える先輩ボランティアを送り出していたのが、いつの間にか次は自分達の順番になりました。早いものですね、あっという間の2年間でした。

(左:ケンリーさん。司法省3階の主(ぬし)。おだやかで優しいおばさん。「大臣、いる?」と訊ねる人より「ケンリー、いる?」と訊ねる人が圧倒的に多い。)
(右:ジェニファー。 PNCCのChairPersonだったり、パラオ柔道協会の偉い人だったり、いろんな顔を持つ、私のパラオ語の先生。底抜けに明るい女性。)

 私は配属先、Ministry of Justice司法省でデータベースの維持管理やIT全般のサポートをおこなっています。司法省にはIT部門がなく、赴任2ヵ月後にCP(カウンターパート、技術移転のターゲットになる現地スタッフ)が突然転職してしまいました。司法省には、管理部門・パトロール部門・消防/救急部門・ドラッグ部門・犯罪捜査部門・刑務所・海上保安部門・移民部門など数多くの部署がありますが、ほとんど全ての部署にデータベースが導入されており、改善要望への対応やさまざまなトラブルシューティングに毎日追われています。

 司法省での業務と並行して、パラオのIT分野全般の問題を考えてきましたが、改善テーマがふたつあります。

  1. 制度的・組織的なITインフラの構造改革
  2. パラオ人ITプロフェッショナルの育成

 1.については、人口2万人という小さな行政規模のパラオにあって、米国の省庁組織をそっくりコピーした現行形態がはたしてパラオにとって最適か、という観点から、「省庁毎にIT部門・IT人材・器材を囲い込む現状」から「省庁横断型ITチーム」という「身の丈にあった」組織形態を提案しています。

 2.については、現状の「各省庁でCPへ技術移転」という、属人的限界を伴ういわば対症療法的な協力活動から、「IT人材の生産工程にコミットする協力活動が必須」との認識で、いわば根本治療的な協力活動への転換を目指して、Palau Community CollegeでJICAボランティアによるIT講座の開設を企画し、2011年5月、ようやく夜間コース開講にこぎつけました。

 パラオは、いわゆる一般的な「対途上国援助」という観点では捉えきれない、困難な側面をもつ国だと思います。 それは「人口2万人、琵琶湖にすっぽりおさまってしまう極少規模島嶼国にとって、自立的な国家経営・国家運営のために必要なモノ・コトとは何か?」という問題のたてかたではじめて見えてくる困難さ、だと思います。「国家経営・国家運営のインフラが今もまだ不充分な現状をしっかり見据えた協力活動」が必須なんだろうな、とようやく気づいた2年間でした。

   (週末、テバンのイタボリ工房でイタボリ修行)

(テバン工房の親方・リンさんに絵を描いてもらって彫ってます。職人さんたちが親切に教えてくれますが、その割りに上達しない・・・)