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パラオ情勢(2015年2月)

 

※この月報は、パラオ国内の新聞やテレビ報道をもとに、在パラオ日本国大使館が作成しています。

◆政治

  1. パラオ内政
    • ディアス前上院議員のコロール州知事立候補表明
    • 7日,当地ティア・ベラウ紙によるインタビューの中で,アルフォンゾ・ディアス前上院議員が2017年のコロール州知事選に立候補する意思を明らかにした。現時点で,同ポスト立候補を明言しているのはディアス氏のみ。

    • 障害者福祉に関する法律の成立
    • 10日,レメンゲサウ大統領の署名をもって,障害者の福利厚生に関する法律が成立した。具体的には,一定の条件を満たした障害者に,退職年金を受給する資格を付与する旨規定されており,細則については国民年金委員会にて今後策定されるとしている。

    • 刑務所の収容キャパシティ問題
    • パラオ内唯一の刑務所施設であるコロール刑務所につき,施設のキャパシティ問題が指摘されており,拘置部屋不足のため,刑務所建物前の手すりに手錠でつながれている人の姿が目撃されている。同刑務所は50名を収容するキャパシティしかないとされている一方,最近は,服役者と拘置者併せて90名を超える事態となっている。これに対し,ベルズ副大統領兼司法大臣は,問題解決のため施設の改築を進めているとしている。

  2. パラオ外政
    • 中国人,入管申告詐称で起訴
    • 4日,リー臨時特別検察官により,中国人1名が入国審査時の申告内容詐称のため起訴された。同中国人は,パラオ入国回数,パラオ内滞在宿舎,滞在目的,保有する現金の額に関して虚偽の申告を行ったことが,税関検査・尋問を通じて発覚したことから,起訴につながった。

    • 中国クルーズ客船を巡る問題
    • 昨年11月よりパラオ領海に入域し,その後違法停泊したままとなっている中国クルーズ客船に関し,13日,パラオ政府は,同船所有者等を相手取り訴訟を起こした。パラオ政府は裁判所に対し,被告側による罰金支払い,原告側による船の拿捕・没収・売却を命じるよう求めており,16日,右申し立てを受け,裁判所より逮捕令状が発出され,28日には,政府より同船への無許可の接近・乗船を禁止する等,一般市民に対する告知がなされた。レメンゲサウ大統領は,パラオ政府と同船所有者側間で,2月6日までに船をパラオ領海より移動させる旨合意があったにも関わらず,同船がパラオ領海内に停泊し続けている旨述べている。

    • 天皇皇后両陛下のパラオ御訪問正式決定
    • 23日,閣議決定をもって4月8~9日の日程で天皇皇后両陛下がパラオを御訪問されることが決定した。右決定を受け,レメンゲサウ大統領より,パラオ国民を代表して御訪問を喜ばしく思う旨声明が発出された。

    • 米国による遺骨収集活動
    • 米国の遺骨収集団が,米国人パイロットの遺骨と所有品を回収するため,1月6日よりパラオに派遣された。同派遣団は,団長の陸軍大尉のラッセル・グリスビー氏のほか,考古学者,爆弾処理専門家,医師等を含む13~18人で構成されており,36~60人の地元住民も作業補助のため雇い,アイライ州内の航空機墜落現場において遺骨調査を行った。今回の作業は2月末までであり,1~2ヶ月後には別のチームが派遣され,水中航空機墜落現場2件の調査を行う予定としている。

◆経済

    • 2015年度コロール州予算50%増
    • 1月30日,コロール州政府の2015会計年度予算が,総額1400万ドルで成立し,昨年度比56%の大幅増となった。大規模な道路補修事業と州政府全職員への生活費補助手当支給が主な要因。コロール州政府は,観光客が支払う保護区立入許可証による収入で,年々予算が増加している。

    • バングラデシュ移民登録人数に誤差
    • アキタヤ上院議員による情報請求の結果,バングラデシュ移民の登録人数が,司法省移民局の記録では841名,公共基盤産業商業省労働人材局では585名,財務省歳入関税税務局では613名となっており,大幅な誤差があることが判明した。シラス歳入関税税務局長は,こうした誤差は正確な徴税の障害になるとの懸念から,すぐに調査を開始するとしている。

    • 5州議会が国家海洋保護区法案支持
    • 11日,レメンゲサウ大統領は,記者会見で,アイライ,ニワール,ガラルド,マルキョク,ソンソロールの州議会が,国会上院で審議中の国家海洋保護区法案への支持を表明する決議を採択している,と発表した。また,その他にも全16州中15州の州議会議長,伝統酋長議会,商工会議所,州知事連合がそれぞれ同法案への支持を表明しているとし,国会議員には同法案の審議を政治化させず,国民のために迅速に成立させるよう求めた。

    • 2014年度第4四半期経済統計
    • 1月13日,財務省は2014年度第4四半期の主要経済統計と分析を発表した。輸入総額は前年度同期比で26.5%減の422万ドルであった。車両等輸入額は39%増加した一方,たばこ税増税,石油価格下落,大型無償資金協力事業終了が輸入総額を押し下げた。営業税収入は,宿泊・飲食業と事務・サービス業,採掘業が昨年度同期比20~80%の大幅増となった。2014年度全体の新規事業営業許可証発行数は,宿泊・飲食業と不動産業,卸売・小売業が増加した。

    • JTB調査団がパラオ訪問
    • JTB代表取締役会長で,日本旅行業協会会長も務める田川博己氏率いる調査団がパラオを訪問し,田尻大使表敬のほか,観光名所の視察や大統領を含む政府要人との面談等を行った。田川氏はパラオの将来性を高く評価し,JTBグループ企業の商品開発や営業支援等への協力の可能性を示した。今回の調査団訪問は,パラオ政府観光局のアレンジにより実現した。

    • アイメリーク州ゴルフ場合意
    • アイメリーク州有地リースをめぐり,州有地委員会主流派と州知事派の対立が続いていた問題で,7日,州有地委員会,レクライ州知事,パラオゴルフ社(PGI),香港の投資家の四者は,州有地のゴルフ場建設事業の合意文書に署名した。同文書の中で,PGIがこれまでの滞納分返済のための130万ドルを含む3500万ドルを83年間のリース期間にわたって支払うことが合意された。州知事派は,以前の別のリース契約では99年間220万ドルとリース料が安すぎること,同社のこれまでのリース料滞納を問題視しており,今回はPGIと別の投資家が提携し,これらの問題を解決した。

    • EQPB,中国ホテルの下水タンク建設申請を却下
    • 環境保全委員会(EQPB)は,中国資本のパラオバケーションホテルによる,ロングアイランド公園下水タンク建設許可申請を全会一致で却下した。EQPBは同申請に対し2014年に一度許可を出したものの,1000人以上の反対署名等住民の反対意見を受けて許可を取り下げた経緯がある。コロール州政府と州議会が下水タンク建設計画を支持し,同ホテルは再申請を行っていた。同ホテルは現在,毎日汚水を抜き取り,下水処理場まで運んでいる。

    • 2015年1月の観光客数
    • 2015年1月のパラオ訪問客の総数は15,921人であり,昨年同期比に比べ50.24%増加した。内,日本人は3,188人(前年同期比10.60%減),台湾人は1,253人(同42.44%減)、韓国人は1,756人(同1.92%増)と,日本人と台湾人が減少した。他方,中国本土(含香港)からの訪問客は7,896人(同359.07%増)と,昨年に引き続き大幅に増加している。

    • 日本財団海上保安・観光分野の新支援提案
    • 10日,日本財団海野常務理事はレメンゲサウ大統領に対し,新支援パッケージ「21世紀日本・パラオ持続可能な海洋同盟」を提案した。巡視船1隻と小型警備艇1艇の供与,海上保安課波止場と事務所の増築,日本の元海上保安官の配置,必要時の観光用民間小型航空機利用,パラオ海上保安局の設置,エコツーリズム研究事業が含まれている。日本財団は,既に小型警備艇2艇の供与等の協力を行ってきており,同提案は昨年12月大統領訪日時の追加支援要請を踏まえたもの。レメンゲサウ大統領は,パラオ政府の方針に合致しているとして歓迎した。

    • NGO連携無償不発弾処理案件第3期署名
    • 23日,当館にて,日本NGO連携無償資金協力「コロール州周辺海域における不発弾(ERW)処理事業」の第3期贈与契約を,国務省アキヲ内務局長立会いのもと,田尻大使と(特活)日本地雷除去を支援する会の和田現地代表との間で署名した。第3期では,沈船内の爆雷処理を完了し,周辺海域での不発弾探査やパラオのレンジャー隊員らへの技術指導を行う計画。

    • 台湾インフラ支援
    • 1月30日,台湾のツェン大使は,2014年度無償資金協力である「学校設備改善・補修・器材整備事業」及び「台風ハイヤン復興事業」の2事業のため,総額約2百万ドルの小切手をサダン財務大臣に手渡した。台風事業では,台湾赤十字社が供与したプレハブ住居の設置・強化工事を行う。11日には,経済促進基金(2013、2014年度分)を財源とした10案件(総額270万ドル)の起工式が一斉に行われた。裁判所増築,パラオ国際サンゴ礁センター研究施設建設の他,道路の舗装・補修4事業,ガラスマオ州の橋修繕事業が含まれている。また,同日には同じく経済促進基金を通じて補修・舗装された3道路(総額96万ドル)の引渡式も行われた。

    • 台湾の病院が8歳の脳腫瘍患者治療支援
    • 台湾のツェン大使の働きかけにより,台湾の新光呉火獅記念医院が,脳腫瘍を患う8歳のパラオ人少女の治療費を2割減免して受け入れることを発表した。少女はフィリピンの病院で二度治療を受けたが回復しなかった経緯があり,支援発表の1週間後に新光医院に受け入れられた。同医院はパラオへの医療関連支援を継続的に行っている。

    • トンガ・パラオ沿岸保護協力
    • パラオとコロール州の議員・公務員からなる代表団はトンガを訪問し,海面上昇による海岸浸食対策について学んだ。同訪問はコロール州の提案で,太平洋共同体(SPC)と欧州連合(EU),パラオ中央政府の支援で実現した。パラオでは近年海面上昇による影響への懸念が生じており,既に被害を受けているトンガにおいて実施されている,土砂堆積を促進する構造等の対策を学んだ。

◆その他

    • 携帯電話3Gサービスの開始
    • 9日,パラオ通信公社(PNCC)による携帯電話3Gサービスが正式に開始された。新規の契約は不要であり,1MBのデータ通信あたり15セントの課金制にて,携帯電話でのインターネットの利用が可能となった。