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パラオ情勢(2015年1月)

 

※この月報は、パラオ国内の新聞やテレビ報道をもとに、在パラオ日本国大使館が作成しています。

◆政治

  1. パラオ内政
    • トリビオン前大統領,次期大統領選立候補を否定
    • 27日,トリビオン前大統領は,ラジオ局のインタビューに答え,2016年の次期大統領選に出馬する予定はない旨発言した。これにより,現時点では,レメンゲサウ大統領,ベルズ副大統領及びチン上院議長3名が大統領選に出馬する候補とみられている。また,副大統領については,アダチ・コロール州知事,オイロー上院議員,メトゥール上院議員が出馬すると予想されている。

    • 上院によるパラオ国内法閲覧ウェブサイト設立
    • 7日,パラオ上院議会が,パラオ国内法閲覧ウェブサイト「Palau Legal」の運営を開始した。同サイトの設立はチン上院議長による提案であり,今までオンラインで法律を閲覧できる取り組みがなされて来なかったが,昨年「開かれた政府法」が成立したことを受け,パラオ国民が国内法を自由に閲覧できる場を提供することを目的としている。

  2. パラオ外政
    • レメンゲサウ大統領のサイパン訪問
    • 10日から13日にかけて,レメンゲサウ大統領はサイパンを訪問した。滞在中は,北マリアナ諸島新政府発足式に出席したほか,サイパンに居住するパラオ人コミュニティとも面会し,国家海洋保護区政策につき説明した。大統領にはケソレイ官房副長官,サダン財務大臣,シュムル・ペリリュー州知事等が同行した。

    • レメンゲサウ大統領のフロリダ訪問
    • レメンゲサウ大統領は,30日,米国フロリダにて開催された国際ゲームフィッシュ協会(IGFA)表彰式に出席した。レメンゲサウ大統領は,国家海洋保護区政策が評価され,同協会より環境保護賞を受賞した。大統領にはセンゲバウ天然資源・環境・観光大臣,ケソレイ官房副長官,ベラウ・ボーターズ協会関係者が同行し,フロリダ滞在中にはIGFAとパラオにおけるスポーツフィッシングの振興のための協力についても話し合ったとしている。

    • 天皇皇后両陛下のパラオ御訪問正式決定
    • 23日,閣議決定をもって4月8~9日の日程で天皇皇后両陛下がパラオを御訪問されることが決定した。右決定を受け,レメンゲサウ大統領より,パラオ国民を代表して御訪問を喜ばしく思う旨声明が発出された。

    • テイラーPIF事務局長のパラオ訪問
    • 15日から17日にかけて,メグ・テイラー太平洋諸島フォーラム(PIF)事務局長が就任以来初めてパラオを訪問した。滞在中は,次期PIF総会について協議するためPIF議長であるレメンゲサウ大統領と会談し,太平洋地域機関評議会(CROP)のマンデート・役割,小島嶼国(SIS)地域事務局をパラオに設置する件,今年5月に日本で開催される第7回太平洋・島サミット(PALM7)に向けたPIFの今後の計画等について意見交換を行った。

◆経済

    • カジノ法案否決
    • 上院は,11月に下院を11対1で通過したカジノ法案を,14日の第一回審議にて10対2で否決した。大多数の上院議員が反対を表明していたことから同法案の否決は予想されていたものの,委員会での検討なしに第一回審議で否決されたことに対し下院議員の多数が反発し,16日の下院審議で上院三法案(保護者責任法案,タイヤリサイクル法案,国内産アルコール表示法案)を否決した。

    • 伝統酋長議会とニワール州議会が国家海洋保護区支持表明
    • 19日,伝統酋長議会は,審議中の外国漁船による商業漁業を禁止する国家海洋保護区法案を提出したバウレス上院議員宛ての書簡で,同法案を支持する意向を表明した。また,20日にはニワール州議会が,昨年12月のアイライ州議会に続いて同法案を支持する決議を採択した。

    • カヤンゲル州石油試掘承認申請提出
    • 19日,パラオ・エネルギー(PE)社とカヤンゲル州は合同で,公共基盤・産業・商業省と環境保全委員会(EQPB)に対し、カヤンゲル州沖のヴェラスコ・バンク海底で15日間の石油試掘を行うための承認申請を行った。これを受けて28日,レクライ,メトゥール両上院議員はEQPBに対し,本試掘計画の承認を求める書簡を提出した。PE社は,承認が下りれば2月末頃に試掘を開始できるが,遅れた場合はパラオから撤退せざるを得ないかもしれないとしている。本試掘計画は昨年から計画されているが,環境保護や公正な利益配分の観点から懸念を示す公共基盤・産業・商業省からの承認が下りず,現在まで開始されないままとなっている。

    • 2015年度第一四半期歳入予想上回る
    • 27日,サダン財務大臣は,2015会計年度の第一四半期の国家歳入が,年間予想7700万ドルの34%に達し,当初予想を9%上回っていると発表した。大幅な観光客数の増加とたばこ税増税が歳入増に貢献している。

    • 中国系ホテル建設計画400室に拡大
    • 中国人投資家でパラオ・パシフィック・リゾート社(同名の日系ホテルとは無関係)社長のハンター・ティエン氏は,同社がアイライ州に建設を計画しているホテル「パラオ・パシフィック・スター・リゾート」について、最近の中国人観光客激増を受け,210室から400室に計画を拡大するとしている。同氏によれば,新計画は,現在同事業の審査を行っているEQPBに提出する。本建設計画は1年以上前に提出されたが,EQPBの許可が下りておらず建設が開始されていない。

    • 衛星監視システムを使い台湾違法漁船を拿捕
    • PEW慈善財団の支援で21日に運用を開始した複数の衛星中継画像を分析し,船舶登録情報と照合することで不審船を判別するシステムによる海上監視事業「Project Eyes on the Sea」により,無許可で操業していた台湾の延縄漁船一隻が発見され,司法省海上保安課の巡視船が拿捕した。

    • 2014年1年間のパラオ訪問客数
    • 2014年1年間でパラオを訪れた訪問客の総数は140,784人であり,昨年同期比に比べ34%増加した。内,日本人は37,986人(前年同期比6.66%増),台湾人は30,080人(同28.24%増)、韓国人は14,650人(同13.36%減)であった。他方,中国からの訪問客は39,383人(同317.64%増)と大幅に増加を続けており,日本を抜き第1位となった。

    • UAEソーラー事業署名
    • 17日,第5回国際再生エネルギー機関会合に参加するためアラブ首長国連邦(UAE)を訪問していたサダン財務大臣は,UAEのジャーベル国務大臣と,UAEがパラオの再生可能エネルギー事業に5百万米ドルを供与するための覚書に署名した。UAEは技術者を派遣し,ペリリュー州とアンガウル州に100kWの小型ソーラーとディーゼル発電を組み合わせた設備を整備する他,アンガウルにはこの発電設備を利用した最新の上水施設を建設する。また,パラオ国家開発銀行が実施する再生可能 エネルギー設備補助のためのソフトローンに資金提供し,コロール州内の小規模事業者や家庭による1.7kWのソーラー発電設備設置を,最大100基まで補助できるようにする。

◆その他

    • 覚醒剤の押収
    • 27日,パラオ郵便局にて,覚醒剤の一種であるメタンフェタミン450グラムが押収された。フィリピンより送られてきた荷物の中から見つかり,宛先はパラオにある学校の一つとなっていたとしており,パラオ当局により捜査が進められている。