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パラオ情勢(2015年8月)

 

※この月報は、パラオ国内の新聞やテレビ報道をもとに、在パラオ日本国大使館が作成しています。

◆政治

  1. パラオ内政
    • アナスタシオ下院議長が米国務省人身取引報告書に対する批判を表明
    • アナスタシオ下院議長は,米国務省による2015年版人身取引報告書において,パラオが前回と同じくTier 2に分類されたことに関し,抗議の意を示した書簡をブラッドリー司法長官へ提出した。同書簡では,米国が,パラオ国内において匿名で行った調査を基に,対外的な発表を目的とする報告書を作成するのは不公正であるとして,パラオ司法当局が捜査権限を行使し,同報告書のパラオ側情報源を特定することを求めている。

    • イセアル・パラオ公共事業公社(PPUC)暫定CEOが正式なCEOへと昇格
    • PPUC理事会は,イセアル暫定CEOを,正式に同社CEOへとして承認した。同氏は,2012年に,パラオ電力公社及びパラオ上下水道公社が合併して新PPUCが設立されて以来,暫定CEOを務めてきた。

  2. パラオ外政
    • レメンゲサウ大統領による第2回インド・太平洋諸島協力フォーラム(FIPIC)出席
    • 21日,レメンゲサウ大統領は,インドで開催された第2回FIPICに出席した。印・パラオ二国間会談では,防災,外交官研修,各種分野(太陽光エネルギー,保健,農業,メディア)における能力開発,EEZ内の監視強化について協力が確認された。

    • パラオ当局の地域協力による海上取締作戦への参加
    • 7月最終週から8月第1週にかけて,パラオ保安局海上取締課は,地域協力による海上取締作戦である「オペレーション・ビッグアイ2015」へ参加した。本作戦は,ミクロネシア地域,メラネシア地域及び近隣の北西太平洋地域において,太平洋諸島フォーラム(PIF)関連機関であるフォーラム漁業機関(FFA)が毎年行っている,違法漁業活動の監視・取締活動である。

    • 第2回大洋州諸島伝統的酋長会議(CPITL)サミットへのパラオ代表団派遣
    • 11日から14日にかけて,マーシャル諸島マジュロにて第2回CPITLサミットが開催された。パラオからは,パラオ伝統的酋長会議を代表して,ガッパン州の伝統的酋長以下4名から成る代表団が派遣されたほか,トリビオン前大統領もスピーカーとして出席した。

    • 海上防衛協力に関するパラオ・豪州二国間協議の実施
    • 19日,ベルズ副大統領の率いるパラオ代表団と,ブロードベント豪州国防軍・国際政策課長率いる豪州ミッションの間で,海上防衛協力に関する二国間協議が行われた。協議では,1996年に豪州によって供与された取締船「レメリーク」を,2018年以降に新大型船へと取替える計画を含む,各種協力について議論された。

    • サイパンにおける台風被害に対する復旧支援
    • 台風ソウデロアによって被害を受けたサイパンに対する復旧支援として,14日,パラオ政府は,電力・水道・下水復旧作業に従事させるため,パラオ公共事業公社(PPUC)作業員6名の派遣を表明した。

    • 米軍による機動演習実施
    • 在パラオ米国大使館及びパラオ政府関係者は,V-22オスプレイ2機を使用した避難訓練を実施した。両国関係者は,同機に乗って,パラオ国際空港及び強襲揚陸艦USSボノム・リシャール(LHD-6)間を飛行した。

    • キョータ駐米パラオ大使が駐米外交団の外交団長となる
    • 25日,米国務省からの通達により,キョータ駐米パラオ大使が,駐米外交団の外交団長となったことが確認された。同大使は,ナカムラ政権時代の1997年11月12日に任命されて以来,17年以上にわたって米国駐在を続けている。

    • フィリピン人従業者が,雇用主を人身取引被害及び労働法違反を理由に告訴
    • マラカル島にある複数のバーにおいて,人身取引問題及び労働問題が表面化している。人身取引被害及び労働法違反を理由として,雇用主に対するフィリピン人従業者による告訴が相次いでなされた。原告による申立では,パスポート没収や性的労働の強要等の不当な扱い,及び時間外労働や手当未払い等の劣悪な労働条件が指摘されている。

◆経済

    • 下院が改定版パラオ国家海洋保護区設置法案を提出
    • パラオ国家海洋保護区設置法案に対する上院での審議が難航していることから,レメンゲサウ大統領の要請を受け,下院は,「Palau National Marine Sanctuary 2.0」として同趣旨の法案を5日提出した。下院議員16名のうち,14名がこの法案に署名している。新法案は,下院を通過する可能性が高いが,上院による審議が必要となる。

    • 海底ケーブル事業関連法案をめぐる攻防
    • 本ケーブルの調達及び管理のため新しく設立する専門公社と,すでに存在する国営のパラオ通信公社(PNCC)の競合関係をめぐり,パラオ政界内外で攻防が続いている。19日,少数派(大統領派)の上院議員6名に,多数派(大統領反対派)のバウレス上院議員が加わった7名によって,海底ケーブル事業関連法案成立へ向けた行動を要求する,チン上院議長宛共同書簡が提出された。上院エネルギー・公共事業・公共基盤委員会(EPUI)における審議が難航していることから,上記共同書簡は,同関連法案の審議の場を,EPUIから上院へと移すようチン上院議長に求めている。

    • ガソリン代が1ガロン4.4ドルで高止まり
    • 全世界的な原油価格の低迷に伴い,ガソリン代も下落しているが,米国で1ガロン2.17ドル,グアムで3.77ドルまで下がっているのに対し,パラオにおいては,4.4ドルで高止まりとなっている。

    • メガ・モルディブ航空がマカオ-パラオ間定期便就航に関心
    • 当地紙アイランド・タイムスによれば,メガ・モルディブ航空がマカオ-パラオ間定期便の就航に関心を示している。本航空会社は,現在,週に数回マカオ-パラオ間チャーター便を運航している。

    • 7月までの訪問客数
    • 2015年年初から7月までのパラオ訪問客の総数は97,624人であり,昨年同期に比べ32.44%増加した。内,日本人は17,319人(前年同期比20.57%減),台湾人は8,517人(同56.81%減),韓国人は7,048人(同16.97%減)と大幅に減少し,7月の日本・台湾・韓国からの各訪問客数は,過去5年間で最低の数字となっている。これに対し,中国本土(含香港)からの訪問客は,54,155人(同340.89%増)と激増を続けており,総数の半分以上を占め,訪問客数第1位となっている。

◆経済協力

    • 台湾によるパラオ経済刺激プロジェクトへの資金供与
    • 17日,財務省は,在パラオ台湾大使館より,2014年度経済刺激プロジェクトに対する資金として,約219万ドルを受領した。同様に,22日には,2013年度小規模無償資金プロジェクト及び経済開発プロジェクトに対する資金として,50万ドルを受領した。

    • 在パラオ台湾大使館による奨学金授与者オリエンテーションの開催
    • 17日,在パラオ台湾大使館は,台湾外交部及び国際協力開発基金(ICDF:台湾の援助機関)による奨学金授与者向けオリエンテーションを開催した。本年度のパラオ人授与者は7名となっている。現在,同奨学金を通じて,29名のパラオ人が台湾に留学中である。

    • 台湾・新光呉火獅記念病院医療団の訪問
    • 19日から翌月2日までの予定で,台湾の新光呉火獅記念病院より医療団がパラオを訪問し,無料で医療診察を行っている。パラオへの台湾医療団の派遣は,台湾政府による対パラオ支援の一環であり,今回で9回目の実施となる。

    • 3名のパラオ人学生がゲイツ・ミレニアム奨学金を獲得
    • 5日,下院は,2013年度,2014年度及び2015年度のゲイツ・ミレニアム奨学金授与者(本年度は3名)を祝福する議会決議を採択した。同決議は,本奨学金及び同種の奨学金プログラムがこれまで十分に活用されてこなかったとして,教育省に対し,高校生への奨学金関連支援を強化するよう求めている。

    • 米内務省島嶼局によるパラオ国際サンゴ礁センター(PICRC)への無償資金供与
    • 18日,米内務省島嶼局によるサンゴ礁イニシアティブプログラムの一環として,米領サモア,グアム,北マリアナ諸島,米領ヴァージン諸島及びパラオを含む自由連合盟約国に対し,約92万ドルの無償資金の供与が発表された。そのうち,パラオに対する支援としては,台風ボーファ及びハイヤンによって壊滅的被害を受けたサンゴ礁の回復に関するプロジェクト資金として,11万ドルが,パラオ国際サンゴ礁センターに供与される。

◆その他

    • 司法当局がボート・オペレーターを起訴
    • 18日,司法当局は,ボート・オペレーターのテオドール氏を,故殺罪及び業務上過失傷害罪で起訴した。同氏の運転するボートが,同月4日,シュノーケリング中の中国人観光客をエンジンに巻き込んで重傷を負わせたことから,今回の起訴につながった。なお,同被害者は,パラオ国立病院に搬送されたものの,10日後に死亡している。その後の捜査により,テオドール氏のライセンスが本年5月に期限切れとなっていたほか,事故発生時にボートに同乗していた中国人ガイド助手が,観光ビザで働いていたことが判明している。

    • 「太平洋地域における環境保全シンポジウム」の開催
    • 31日,国際協力推進協会(APIC),在パラオ日本国大使館及び上智大学の共催で,「太平洋地域における環境保全シンポジウム」が開催された。主に政府関係者及び環境関連団体を対象として,アン・マクドナルド上智大学教授及びトリーナ・レベレルNGO職員(The Nature Conservancy)による講演が行われた。