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パラオ情勢(2015年7月)

 

※この月報は、パラオ国内の新聞やテレビ報道をもとに、在パラオ日本国大使館が作成しています。

◆政治

  1. パラオ内政
    • オイロー上院議員,副大統領選出馬を表明
    • 16日,オイロー上院議員は,2016年開催の次期副大統領選への出馬を表明した。副大統領選は,アダチ・現コロール州知事が立候補を表明しているほか,メトゥール上院議員,ベルズ現副大統領の出馬が予想されている。オイロー上院議員は,前会期及び今会期の2期にわたって院内総務を務めている。

    • 2015年版米国務省人身取引報告書の発表
    • 2015年版人身取引報告書が米国務省により発表され,パラオは前回と同じくTier 2に分類された。報告書は,各国政府の人身取引対策の度合いにより,各国を Tier 1~3(取組度高~低)の三段階に分類している。パラオについては,人口の3分の1を占める外国人労働者の劣悪な労働環境や,政府当局の腐敗対策の不十分さを指摘している。

  2. パラオ外政
    • レメンゲサウ大統領によるミクロネシア連邦合同就任式出席
    • 10日,レメンゲサウ大統領は,ミクロネシア連邦大統領・副大統領・連邦議員合同就任式に出席した。

    • レメンゲサウ大統領による第15回ミクロネシア大統領サミット出席
    • レメンゲサウ大統領は,14日から15日にかけて開催されたミクロネシア大統領サミットに出席するため,マーシャル諸島マジュロを訪問した。本サミットでは,パラオ・ミクロネシア連邦間の光ファイバーケーブル計画,パラオ国家海洋保護区イニシアティブ,IUU(違法・無報告・無規制)漁業等が議論され,ミクロネシア3大統領による共同コミュニケが採択された。

    • ベルズ副大統領による太平洋諸島フォーラム(PIF)外相会合出席
    • ペルズ副大統領兼司法大臣は,他用のクアルテイ国務大臣に代わり,9日から10日にかけて開催されたPIF外相会合に出席するため,シドニーを訪問した。

    • ウイグル人元米グアンタナモ収容者の出国
    • 7日,レメンゲサウ大統領は,2009年に米グアンタナモ収容所から釈放され,パラオが受け入れたウイグル人元収容者6名のうち,最後の1名が3月15日にパラオを出国していたことを明らかにした。残り5名はすでに出国済みであり,これら元収容者の再定住先は,安全上の理由から明らかにされていない。

    • ネパール人の強制送還
    • 14日,2014年に発覚した査証切れによる不法滞在を理由に,ネパール人女性が強制送還された。女性は,2013年にもネパール人への不法な労働斡旋とネパール人労働者に対する暴力で本国へと強制送還されており,パラオ当局により,今後同人の入国を拒否するため,不良外国人と認定された。

    • 中国人による政治亡命申請
    • 中国人男性が、中国当局により迫害を受けたとして、パラオまたは米国への政治亡命を求めて、6月末からパラオに滞在している。当地紙アイランド・タイムスによれば,男性は、中国国内で不動産関係会社2社を経営していたが、契約をめぐって中国軍関連会社とトラブルとなったとして,2013年に韓国へ逃亡し,現地米国大使館に政治亡命の申請をしたものの却下となり,2015年6月29日にパラオへ到着したとされている。当地における1回目の政治亡命の申立てはすでに却下されている。

◆経済

    • 2014年会計年度パラオ経済5.4%成長
    • 財務省の分析によると,会計年度2014年(2013年10月~2014年9月)のパラオ経済は,好調な観光業と建設業のため,5.4%成長した。2015年度も,引続き観光業と建設業の好調が予測される一方,燃料費の変動やドル高,自然災害がリスク要因として挙げられている。

    • 2015年度税収が目標を上回るペース
    • 財務省の第3四半期報告によると,2015年度税収目標4076万ドルのうち,第3四半期までにその88%にあたる3600万ドルが達成された。観光客の急増による観光業の成長が,税収の伸びに貢献している。

    • アジア開発銀行(ADB)が2015年度パラオGDP成長率予測を10%へと上方修正
    • 15日に発表されたADBによる中期経済報告書は,好調な観光業を背景として,2015年度のパラオGDP成長率予測を,当初の8%から10%へと上方修正した。同様に,2016年度GDP成長率予測も6.0%から9.0%へと引き上げられた。なお,2014年度GDP成長率は,当初の予測値6.9%を上回り,8.0%だった。

    • 2016年度予算案が下院通過
    • 28日,下院は,大統領予算案8430万ドルに若干の修正を加えて,8476万ドルとして2016年度下院予算案を可決した。2015年度は,8450万ドルの歳入が見込まれていることから,2016年度予算案は黒字となっている。

    • IUU漁業に対する罰金引上げ法の成立
    • 27日,IUU漁業に対する罰金を,従来の5万ドル~25万ドルから,50万ドル~100万ドルへと引き上げる法律が成立した。レメンゲサウ大統領は,本法律は,パラオの取締り能力強化及びパラオ国家海洋保護区イニシアティブに資するものであると評価している。

    • 海底ケーブル事業関連法案が期限前に成立せず
    • アジア開発銀行(ADB)は,海底光ファイバーケーブル事業(注1)実施のためのローン融資条件として,専門公社の設立を提示している。本年9月にADBによる正式な融資の承認を目指すためには,専門公社設立法案を本月31日までに成立させる必要があったが,同法案は,成立することなく31日の期限を迎えた。上院のエネルギー・公共事業・公共基盤委員会で争点となっているのは,今回新しく設立する専門公社とすでに存在する国営のパラオ通信公社(PNCC)の競合関係である。今後,仮に本法案が成立したとしても,SEA-USコンソーシアム(注2)への頭金160万ドルの支払いを8月31日までに完了させるため,当支払いを承認する別法案を成立させる必要がある。

      (注1)2013年9月に,パラオとミクロネシア連邦(FSM)間で合意された海底光ファイバー敷設計画で,パラオからヤップ及びグアムを結ぶ。本計画にかかる費用は両国で分担することとなっており,パラオはADBによる融資を本分担金資金とする予定。FSM・パラオ共同タスクフォース(Micro-Pal)が設置され,事業の調整を行っている。

      (注2)SEA-USコンソーシアムは,米国と東南アジアを結ぶ海底光ファイバーケーブル計画を実施するため,米国,インドネシア及びフィリピンの通信事業者7社によって結成されたもので,上記(注1)と直接の関係はない。本ケーブルは,パラオ,ヤップ付近を通過しグアムを経由する予定であることから,FSM・パラオ共同タスクフォースは,独自のケーブル敷設よりも,本7事業者による共同ケーブル敷設に加わる方が費用対効果が高いとして,コンソーシアム加入を交渉している。

    • パラオゴルフ社(PGI)出資の中国人投資家が中国で拘禁
    • 当地紙アイランド・タイムスが中国メディアを引用しつつ報道するところによれば,アイメリーク州ゴルフ場計画に関与しているパラオゴルフ社の出資者の一人である中国人投資家が,先月2日,汚職の疑いで,北京において拘禁された。アイメリーク州ゴルフ場計画は,本年2月に州有地委員会,レクライ州知事,中国資本のパラオゴルフ社,香港投資家の4者間で合意されたもの。

    • 2015年パラオ観光会議の開催
    • 27日,パラオ観光局,パラオ商工議会及びパラオ観光協会によって,2015年パラオ観光会議が開催された。本会議は,高付加価値観光の推進を目的として,センゲバウ天然資源・環境・観光大臣の冒頭挨拶や,アジア開発銀行エコノミストの基調講演,パネルディスカッションが行われた。

    • トルコ空港がパラオ線就航に関心
    • 当地紙アイランド・タイムスがオビアン公共基盤・産業・商業大臣にインタビューしたところによると,トルコ航空がパラオ線就航に関心を示している。

    • メガ・モルディブ航空が香港-パラオ間定期便就航に関心
    • 当地紙アイランド・タイムスによれば,メガ・モルディブ航空が香港-パラオ間定期便の就航に関心を示している。本航空会社は,2013年12月から,週2回香港-パラオ間チャーター便を運航している。

    • 6月までの訪問客数
    • 2015年年初から6月までのパラオ訪問客の総数は85,319人であり,昨年同期に比べ39.06%増加した。内,日本人は15,580人(前年同期比18.36%減),台湾人は7,319人(同54.92%減),韓国人は6,063人(同14.69%減)と,大幅に減少するなか,中国本土(含香港)からの訪問客は46,822人(同411.21%増)と,チャーター便数規制にも関わらず激増を続けており,総数の半分以上を占め,訪問客数第1位となっている。

◆経済協力

    • 台湾支援による裁判所庁舎開所式を実施
    • 24日,民事訴訟裁判所及び裁判所書記官用の2階建新庁舎の開所式が実施された。この新庁舎の建設は,2工期にわたって行われ,第1工期は,2014年6月から10月までパラオ政府によって30万ドルで施工,第2工期は2014年11月から2015年7月まで台湾政府の支援によって43.2万ドルで施工されている。

◆その他

    • パラオが肥満国ランキング第2位
    • 世界保健機構(WHO)の発表によれば,パラオは人口の43.1%が肥満とされ,肥満国ランキングで第2位となっている。なお,第1位のクック諸島をはじめ,10位までのうち8カ国が太平洋島嶼国となっている。

    • パシフィック・ゲームへのパラオ選手団の参加
    • パラオ選手団は,パプアニューギニアの首都ポートモレスビーにて4日から18日にかけて開催されたパシフィック・ゲームに参加した。

    • 2015年ミクロネシア諸島自然体験交流事業の実施
    • 21日から28日にかけて,独立行政法人国立青少年教育振興機構一行計25名(うち中学生以下の子供16名)がパラオに来訪し,大使館訪問,無人島体験,ホームステイ等が実施された。