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パラオ情勢(2015年6月)

 

※この月報は、パラオ国内の新聞やテレビ報道をもとに、在パラオ日本国大使館が作成しています。

◆政治

  1. パラオ内政
    • トリビオン上院議員,コロール州知事選出馬を否定
    • アイランドタイムズ紙の電話取材によると,トリビオン上院議員は,次期コロール州知事選には出馬しない旨断言した。コロール州知事選は,アルフォンゾ・ディアス前上院議員が立候補を表明しているほか,トリビオン議員以外にも複数政治家の知事選出馬の予想がされてきており, 注目度が高まってきている。

    • 上院委員会の構成変更
    • 9日,上院内各委員会のメンバー再編成が行われた。全委員会において委員長の変更は行われなかった一方,少数派(レメンゲサウ大統領派)メンバーが構成員より外され,また,構成員でなくなった少数派議員の代わりに多数派(反レメンゲサウ大統領派)議員が委員会に加わるといった変更が多くあり,各委員会において多数派議員の比率が高くなる結果となった。

  2. パラオ外政
    • レメンゲサウ大統領によるパリ訪問
    • レメンゲサウ大統領は,8日に開催される国連世界海洋の日(UN World Oceans Day)関連行事に出席するためパリを訪問した。同行事はユネスコ主催の行事で,レメンゲサウ大統領は基調講演者として出席した。なお,レメンゲサウ大統領はパリへ向かう途中にハワイに立ち寄り,在留パラオ人との交流会を行っている。

    • レメンゲサウ大統領による米国訪問
    • 11日,パリ訪問を終えたレメンゲサウ大統領は,米国ワシントンDCを訪れ,Banyan Tree Leadership Forumに出席した。戦略国際問題研究所(CSIS),Pew財団(Pew Charitable Trusts)が共同で開催した同セミナーでは,パラオの海洋資源保護に向けた取り組みをテーマにパネルディスカッションが実施され,レメンゲサウ大統領による基調講演,質疑応答も行われた。

    • レメンゲサウ大統領のセーシェル訪問
    • 26日,レメンゲサウ大統領はセーシェルを訪問するため,パラオを出発した。29日に開催されたナショナルデー式典に招待されるかたちでの訪問となり,30日にはモーガン・セーシェル大統領と会談を行い,二国間協力協定および短期滞在査証免除協定の署名式に立ち会った。レメンゲサウ大統領にはケソレイ官房副長官が同行し,一行は7月1日にセーシェルを離れパラオへ帰国した。

    • 遺骨収容事業の実施
    • 17~24日,厚生労働省派遣団がパラオを来訪し,ペリリュー島にて遺骨収容調査を行った。また,今回の訪問では,3月にパラオ側の協力のもと未開壕を開いた際に回収した遺骨を含めた計10柱を焼骨の上日本へ帰還した。

    • ミクロネシア連邦警備艇の寄港
    • 18日,ミクロネシア連邦の警備艇 “FSS Micronesia”がフィリピンのセブに向かう航路途中にパラオに寄港した。寄港時には,それぞれの国の警備艇間協力の一環として,セブにてメンテナンスを行えるよう,ミクロネシア連邦の同警備艇がパラオ警備艇レメリーク号の部品等を積み込んだ。両警備艇は豪州により供与されたものであり,FSS Micronesiaはセブからの帰路にもパラオに立ち寄るとしている。

    • マケイン米上院議員によるペリリュー戦争博物館修繕計画
    • レメンゲサウ大統領は,定例記者会見において,Banyan Tree Leadeship Forumに出席するためワシントンDC訪問中にマケイン上院議員と面会した際,同議員よりペリリュー島の戦争博物館修繕に関心が示されたとした。レメンゲサウ大統領によれば,同議員からは修繕にかかる費用積算を行った上で申請レターを提出するよう話があったとし,同議員個人の申し出である旨強調した。

◆経済

    • レメンゲサウ大統領,国家海洋保護区設置法案の審議を要求
    • 25日,レメンゲサウ大統領は,閣僚や国会議員が参加するリーダーシップ会議において,国家海洋保護区設置法案の審議をすすめるよう上院に対して呼びかけた。ポンペイで開催されたPNA閣僚会合の結果に言及しつつ,パラオが国家海洋保護区を設立することは可能だとし, 7月中旬までの上院通過が達成されない場合には,下院に対して同趣旨の法案提出を要請するとしている。

    • ビジネス環境指数113位
    • 世界銀行の2015年ビジネス環境報告書によれば,パラオのビジネス環境指数順位は,昨年の189か国中の110位から113位に落ちたが,依然として139位のマーシャル諸島共和国,145位のミクロネシア連邦よりも高い順位を保っている。マイノリティ投資家の保護や破産に関する項目の順位が低い一方,クレジットや建設許可の取得分野では高い順位となっている。

    • 主要銀行の電子決済が2日間停止
    • 4日から5日かけて,パラオ国内の主要銀行であるグアム銀行とハワイ銀行の電子決済システムが停止し,ATMとデビットカードが使用できなくなった。

    • 不動産,建設業界が好調
    • 財務省によれば,2015年度第一四半期の営業税徴税額は,昨年度同期比で12%増加した。主な要因として,不動産業からの113%増収が挙げられる。他にも観光客数増加に伴い,宿泊飲食業や事務支援業で二桁の伸びが見られた。また,建設業従事者の給与合計は昨年度同期比で40%増加し,全業界の給与合計9%増加を牽引した。

    • PNGと航空サービス協定締結へ
    • 3日,オビアン公共基盤・産業・商業大臣は記者会見で,パプアニューギニアとの航空サービス協定締結に向けた協議が90%完了している,と発言した。同協定に係る協議は,第7回太平洋・島サミット出席のため訪日したレメンゲサウ大統領とオニールPNG首相の会談を受けて開始されたもので,協定締結後ニューギニア航空が就航すれば,パラオ初の南大洋州直行便となる。

    • センゲバウ大臣のPNA閣僚級会合参加
    • センゲバウ天然資源・環境・観光大臣は,24日の定例記者会見において,ミクロネシア連邦ポンペイにて開かれていたPNA閣僚級会合結果につき報告を行い,PNA加盟国がパラオ隻日数取引継続を支持している旨強調した。会合後のPNA公式報道発表においても,パラオによるEEZ内国家海洋保護区設置にかかるプレゼンテーションを支持する旨明記されている。

    • コロール州が看板の大きさと言語を規制
    • コロール州は,1日付で州内にある看板は,大きさが4×6フィート以下で,パラオ語または英語の訳をつけなければならないという新条例の執行を開始した。中国語の巨大な看板が増えてきていることに対する措置と見られており,同州は,右規制により交通への影響を防ぎ,景観を守ることができるようになるとしている。

    • 拿捕した違法ベトナム漁船を焼却
    • 11日,パラオ海上保安当局は,違法ナマコ漁操業の罪で拿捕したベトナム漁船6隻のうち4隻を,海上で焼却処理した。船長2名は国内に残り起訴され,残り77名の船員らは2隻の漁船で国外に出されている。2014年以降拿捕されたベトナム違法漁船は15隻に上っており,レメンゲサウ大統領は,今回の措置は違法漁業者に対するメッセージである,と述べた。これに対しトリビオン上院議員が,船員らの人権や法の支配を軽視した措置であるとして批判している。

    • 5月までの訪問客数
    • 2015年年初から5月までのパラオ訪問客の総数は74,190人であり,昨年同期比に比べ45.86%増加した。内,日本人は14,155人(前年同期比17.40%減),台湾人は6,372人(同48.68%減)、韓国人は5,177人(同11.82%減)と,大幅に減少するなか,中国本土(含香港)からの訪問客は40,050人(同472.14%増)と,チャーター便数規制にも関わらず激増を続けており,総数の半分以上を占め,訪問客数第1位となっている。

◆経済協力

    • 笹川平和財団がエコツーリズム調査実施
    • センゲバウ天然資源・環境・観光大臣は,笹川平和財団がエコツーリズムに関する支援のためのフィージビリティ調査を実施したと発表した。センゲバウ大臣は,調査の結果を踏まえて笹川平和財団とエコツーリズムに関する具体的な計画を協議するとしており,ダイビング以外にもカヤックやスポーツフィッシングといった観光アクティビティの多様化を目指したいと述べた。

    • UAEによる太陽光発電・淡水化装置供与計画
    • 29日,アラブ首長国連邦(UAE)政府による太陽光発電・淡水化装置供与プロジェクトの一環として,パラオ公共事業公社(PPUC)と,同プロジェクトの下請工事を落札したフィジーのCBS Power Solutionsの間で契約書の署名が行われた。同プロジェクトを通じ,ペリリュー島における太陽光発電装置およびディーゼル発電機の設置,アンガウル島における同様の太陽光発電装置,ディーゼル発電機および海水淡水化装置の設置が実施される予定であり,CBS Power Solutionsによれば,設備の部品調達に約半年かかり,入手次第実際の設置にとりかかるとしている。

◆その他

    • 第10回ベラウゲームの開催
    • 19~28日,10日間にわたり16州対抗で行われるスポーツ行事である第10回ベラウゲームが開催された。野球,バスケットボール,カヌー等計15種目にて競技が実施され,最終メダル数は、1位コロール州,2位ガスパン州,3位ソンソロール州となった。