ホーム>政治・経済>パラオ情勢>2015年5月

パラオ情勢(2015年5月)

 

※この月報は、パラオ国内の新聞やテレビ報道をもとに、在パラオ日本国大使館が作成しています。

◆政治

  1. パラオ内政
    • スランゲル・ウィップス上院議員による大統領立候補表明
    • 22日,スランゲル・ウィップス・ジュニア上院議員が,ラジオ出演中のインタビューにおいて, 2016年の大統領選に立候補する旨表明した。同議員の大統領立候補については,フェイスブック上で支援ページが立ち上がる等,有力候補者として見られていたが,本人が明言したのは初めてとなり,現レメンゲサウ大統領,チン上院議長に加えて,明示的に立候補を表明した3人目の候補者となった。

  2. パラオ外政
    • ニルマン保健大臣の第11回大洋州保健大臣会合出席
    • ニルマン保健大臣は,5~17日,フィジー共和国にて開催された第11回大洋州保健大臣会合に出席した。本会合は,1995年にフィジーで初めて開かれて以降,毎年開催されており,出席したニルマン大臣は,地域の保健大臣と協力し,情報共有ができる有意義な機会であった旨述べた。

    • 第7回太平洋・島サミット開催
    • 22日~23日,福島県いわき市にて第7回太平洋・島サミットが開催され,パラオよりレメンゲサウ大統領が出席した。レメンゲサウ大統領は,安倍総理とともに共同議長を務め,本会議の進行以外にも,22日の被災地視察において夫人とともに献花を行ったほか,同日夜の安倍総理主催晩餐会にてスピーチを行った。大統領以外にも,デビー大統領夫人,クアルテイ国務大臣,ケソレイ官房副長官,ウルドンEU・気候変動担当大使他が,パラオ代表団一行として訪日した

    • 台湾の友好船来訪
    • 6日~8日,台湾の艦船3隻が友好親善のためパラオに来訪した。6日,マラカル港に接岸した後,歓迎式典が開催され,ベルズ副大統領以下閣僚や政府関係者,在パラオ台湾大使等が出席した。台湾からの友好船来訪は今回で12回目。

    • PNG,パラオにおけるSIS事務所設立支援を表明
    • レメンゲサウ大統領は,27日の定例記者会見で,PALM7のため訪日中に実施されたパプアニューギニア共和国(PNG)のオニール首相との二国間会談において,同首相より,小島嶼国(SIS)地域事務所をパラオに設立するため,約370万ドルの拠出表明があった旨明らかにした。同会談では,二国間の航空協定等についても協議したとしている。

    • 米国兵の遺骨帰還
    • 1日,第二次世界大戦中に犠牲になったとされる米国兵2名の遺骨が米国へ帰還された。本遺骨は,米国国防省担当部局及びNGOのBentpropがパラオ社会文化省の協力のもと収集したものであり,遺骨帰還用の米軍機が駐機していたパラオ国際空港では,式典が開催され,ハイアット駐パラオ米国大使のほか,上下院議長,保健大臣,教育大臣等パラオ側要人も出席した。

◆経済

    • 第二四半期輸入統計
    • 2015年度第二四半期の輸入統計が発表され,輸入総額が昨年同期比で0.2%減少したことが判明した。鉱物資源や化学製品の輸入が大幅に減少した一方,食料品,車,機械類の輸入が増加した。

    • 第二四半期歳入目標上回る
    • 20日,サダン財務大臣は,2015年度第二四半期の歳入が3260万ドルとなり,第一四半期に続いて目標を上回ったと発表した。観光客数増加による出国税・ホテル税の増収と,たばこ増税を主な要因としている。

    • 天皇皇后両陛下御訪問報道1680万ドル相当
    • パラオ観光局は,4月1日~10日の日本メディアによる天皇皇后両陛下御訪問関連報道の市場価値が1680万ドル相当に上るとの試算を発表した。内訳は,主要テレビ6局1230万ドル(15秒6000ドルで計算),新聞4紙450万ドル。観光局は,この報道が日本人観光客増加につながることを期待するとしている。

    • PNA加盟国がパラオ隻日数取引継続を支持
    • 27日,レメンゲサウ大統領は,第7回太平洋・島サミットの機会にナウル協定(PNA)加盟国首脳らと会談し,全ての国が,パラオが国家海洋保護区設置した後も他国海域操業を条件とした隻日数取引の継続を支持した,と発表した。アコラウPNA事務局長は同問題に関し,取引継続はできないという個人的見解を述べながらも,最終的には加盟国次第である,と発言していた。

    • ベトナム違法漁船拿捕
    • 7日と18日,それぞれ3隻と2隻のベトナム漁船が,パラオ領海内で違法ナマコ漁をしていたとして拿捕された。船長5人のうち3人は訴追され,2人は漁具等を外された2隻の漁船に船員全員を乗せてパラオEEZ外に退去することとなった。残り3隻の漁船は焼却される。

    • 4月までの訪問客数
    • 2014年年初から4月までのパラオ訪問客の総数は61,485人であり,昨年同期比に比べ45.79%増加した。内,日本人は11,854人(前年同期比21.16%減),台湾人は5,321人(同43.57%減)、韓国人は4,217人(同13.94%減)と,大幅に減少するなか,中国本土(含香港)からの訪問客は33,210人(同482.12%増)と,チャーター便数規制にも関わらず激増を続けており,総数の半分以上を占め,訪問客数第1位となっている。

    • 上水道設備改善計画E/N署名
    • 20日,日本外務省にて,城内外務副大臣と,第7回太平洋・島サミット出席のため訪日中のクアルテイ国務大臣は,18億円の無償資金協力事業「上水道設備改善計画」の交換公文(E/N)に署名した。事業には,老朽化した送配水管の交換,送配水区の再構成,新貯水池の建設と送水管の延長が含まれており,着工後2年半で完工予定。クアルテイ大臣は,日本国民に対し,パラオを訪れ,日本からの支援のパラオ発展への貢献を見てほしい,と述べた。28日,オビアン公共基盤産業商業大臣とJICA松井パラオ支所長は,同事業の贈与契約(G/A)に署名した。

    • 台湾が500万ドルの食糧安全保障ソフトローン提案
    • 台湾のツェン大使は,レメンゲサウ大統領宛の書簡にて,養殖・畜産にかかる500万ドルのソフトローンの提供を提案した。パラオ政府は現在,提案の詳細と手続きについて精査している。

    • EU・SPC支援のソーラーパネル設置工事完了
    • 1日,ヨーロッパ連合(EU)と太平洋共同体事務局(SPC)の支援で設置された総発電量150kWのソーラーパネル起動式が行われ,EUのジェイコブズ太平洋島嶼国担当大使やベルズ副大統領他要人が出席した。同パネルの設置により,パラオの総発電量の3%が再生可能エネルギーで賄われることとなった。

    • 大統領,ADB海底ケーブル事業実現に危機感
    • 4月28日,サダン財務大臣はシラス歳入関税税務局長に対し,通信関連の優先課題に専念するため一時的に同局長職を離れるよう指示し,局長代理にバウソー前税務課長を任命した。シラス氏はパラオ通信公社(PNCC)の理事として,海底光ファイバーケーブル・タスクフォースの議長を務めてきた。アジア開発銀行(ADB)は,ヤップ-パラオ間海底ケーブル敷設のための有償資金協力事業を既に承認しているが,事業実施の条件となっている専門公社設立法成立が遅れており,レメンゲサウ大統領は遅延によるコスト増大に対する危機感を示している。

◆その他

    • 中国人観光客の死亡事故
    • 5日,67歳の中国人観光客が,ロックアイランドにてシュノーケル中に死亡する事故が起きた。その後,遺体は本国へ搬送されたが,ツアー中の事故であったため,ツアー会社側の監督能力について問題が指摘されている。