パラオ情勢(2014年12月)
※この月報は、パラオ国内の新聞やテレビ報道をもとに、在パラオ日本国大使館が作成しています。
◆政治
- パラオ内政
- アダチ・コロール州知事の副大統領立候補表明
- 上院内委員会の再構成
- 臨時特別検察官によるニワ-ル州下院議員起訴
- パラオ外政
- レメンゲサウ大統領の訪日
- レメンゲサウ大統領のグアム訪問
- 新在パラオ台湾大使の着任
- 在パラオ台湾大使の離任
- 在パラオ・ミクロネシア連邦名誉総領事の就任
- 在パラオ米国大使の米上院での承認
- イスラエル核兵器放棄決議案に対する反対票
アダチ・現コロール州知事が,2016年の次期総選挙時に,副大統領に立候補する意向を表明した。アダチ知事は2006年より続けてコロール知事を務めており,現在は第3期目となる。
11日,上院にて同院内委員会を再構成する決議が可決された。これにより,委員会数が7から11に増加し,チン上院議長及びケソレイ上院副議長以外の全議員がいずれかの委員会で委員長を務めることとなり,また,全委員会において構成員の過半数が上院内新多数派となった。
8日,リー臨時特別検察官は,アルラン・ニワ-ル州下院議員及び同州政府職員1名を公金横領等のため起訴した。リー氏が11月に臨時特別検察官に任命されて以来,初めての起訴案件となり,進展が注目されている。
レメンゲサウ大統領は,16日から19日にかけ,日本政府の招待により日本を訪問した。滞在中は,天皇陛下御会見,天皇皇后両陛下主催御昼餐,日・パラオ首脳会談,共同記者会見,安倍総理主催夕食会が行われた。
19日から21日にかけて,レメンゲサウ大統領はグアムを訪問した。16日~19日の訪日後,経由地のグアムにて滞在したかたちとなり,グアムのパラオ人コミュニティが開催したスポーツイベントに出席した。
13日,当地にハリー・ツェン新在パラオ台湾大使が着任した。新大使は6年間同ポストを務めたマギー・ティエン氏の後任となる。
21日,2008年の着任以来約6年以上にわたり在パラオ台湾大使を務めたマギー・ティエン氏が離任した。離任に際しては,同氏の功績をたたえる両院合同決議がパラオ議会にて可決された。
10月9日,パラオ政府からの承認を経て,シャンジーナ・ニムウェス・マサン氏が在パラオ・ミクロネシア連邦名誉総領事に就任していたことがわかった。同氏はチューク出身であり,サム・マサン元パラオ上院議員の配偶者としてパラオに居住している。
12日,米上院議会にてエイミー・ハイアット氏の在パラオ米国大使指名が承認された。同ポストは上院議会にて承認が得られず,2013年7月より不在となっていた。
2日,国連総会にて採決にかけられたイスラエルに対して核兵器放棄を求める決議案に対し,パラオが反対票を投じた。賛成165票に対して反対票を投じた国は,パラオを除くと4ヶ国(イスラエル,米,加,ミクロネシア連邦)のみ。
◆経済
- アイライ州議会が国家海洋区提案支持決議
- 公務員賃上げ
- パラオ国家開発銀行の業務拡大
- マス・ツーリズム対策
- 11月末時点の観光客数
- 日本財団がペリリュー州に新定期船「日本丸Ⅱ」供与
- イスラエルが医薬品供与
2日,アイライ州議会は,現在国会で審議中の,パラオEEZ内での外国漁船による商業漁業を将来的に全面禁止する内容の国家海洋保護区法案を支持し,国会での早期議決を求める決議を採択した。現在,漁業権収入が州政府の大きな収入源となっているため,州議会は同法案の抵抗勢力の一つになると見られていたが,大統領が出国税増税やドナーの確保等,具体的な代替財源を提示したことで賛成に回ったと見られる。
3日,2015年10月1日付で公務員給与を2週間につき25米ドル賃上げする法律が成立した。最近実施された最低賃金値上げに対応するための措置。
5日,パラオ国家開発銀行(NDBP)が,今後3年で預金事業を行えるようにする法律が成立した。同法では,NDBPが今後1年で理事の資格条件強化及び不適格理事の交代,2年で定期預金,3年で普通預金を開始することが定められている。安価な資本調達を行えるようになることで,より譲許的な条件のローンを提供できるようになるとしている。
ここ数ヶ月で中国からの団体観光客が急増し,個人旅行客がホテルを確保できなくなっている問題について,レメンゲサウ大統領は対策に動き始めた。パラオ政府は環境保護と経済成長を両立させるため,観光業の「ハイエンド」化を目指す政策を打ち出しており,最近の安価な団体旅行の急増は望ましくないとしている。大統領は,10日付の外国投資委員会(FIB)委員長宛ての書簡で国策に反するような投資案件に安易な認可を与えないよう警告した他,同日付地元観光業者等に宛てた書簡では,ホテルの囲い込み等を認めないよう協力を呼びかけた。また,大統領は7日の記者会見で,観光客に対する査証制度を導入したり,香港やマカオからのチャーター便を減便させたりすることも検討していると発表した。
2014年の年初から11月までにパラオを訪れた観光客の総数は125,338人であり,昨年同期比に比べ31.40%増加した。内,日本人は34,448人(前年同期比8.91%増),台湾人は28,773人(同21.15%増)、韓国人は13,418人(同12.64%減)であった。他方,中国本土からの観光客は31,718人(同276.21%増)と大幅に増加を続けており,台湾を抜き,日本に次いで第2位となった。
15日,日本財団よりペリリュー州政府に定期船「日本丸Ⅱ」が供与された。ペリリュー州は,過去に同財団から供与された定期船「日本丸」が,2012年の台風被害により使用不能となったため,貨物船を客船として転用していた。離島であるペリリュー州から首都コロールへのアクセスを改善する他,同州での観光促進効果も期待されている。
イスラエル政府は,パラオ国立病院に結膜炎用目薬500個と糖尿病薬6000米ドル分を供与した。当地では10月から結膜炎が流行し,全国で目薬の在庫がなくなっており,保健大臣は迅速な支援に感謝の意を表明した。イスラエル政府は,さらなる医療機器の供与計画を表明している。
◆その他
- 天皇誕生日レセプションの開催
- 観光スポットにおける観光客死亡
4日,天皇誕生日レセプションを実施し,レメンゲサウ大統領夫妻,クアルテイ国務大臣,両院議長を始め約100人が出席した。田尻大使及びクアルテイ国務大臣によるスピーチのほか,日本酒による乾杯や広報資料の展示・配付が行われた。
7日,パラオの観光スポットの1つであるジェリーフィッシュレイクにおいて,タイ人観光客が溺死する事故が起きた。当地ツアー会社手配にてツアー参加中に起きた事故であり,コロール州レンジャーも派遣されたが,死亡が確認された。
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