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パラオ情勢(2014年11月)

 

※この月報は、パラオ国内の新聞やテレビ報道をもとに、在パラオ日本国大使館が作成しています。

◆政治

  1. パラオ内政
    • パラオ上院議会内の抗争
    • 4日,パラオ上院議会(定数13名)において,レメンゲサウ大統領支持派であるフィリップ・レクライ上院副議長を解任し,反大統領派であるキャシー・ケソレイ議員を新副議長とする議決案が可決され,チン上院議長が大統領支持派であった多数派(7名)を離脱し,反大統領派(6名)に加わったことが明らかになった。この結果,大統領支持派が少数派(6名),反大統領派が多数派(7名)となり両派の立場が逆転することになった。

    • 臨時特別検察官の任命
    • 5日,ロバート・リー氏は,ブラッドリー司法長官に臨時特別検察官に任命され,26日に就任式が行われた。臨時特別検察官は,4月に成立した法律により特別検察官が6ヶ月以上不在の場合任命することができるポストで,リー氏が上院議会にて特別検察官として承認が得られなかったことを受けて任命された。

    • 刑務所の運営問題
    • 25日,パラオ最高裁判所は,コロール刑務所内独房に人道上の問題があるとし,改善を求める命令を下した。同令によれば,独房の衛生状態及び使用状況は残酷かつ非人道的であり,パラオ憲法に反し,国際的な人道基準も満たしておらず,刑務所の内部規定にも反しているとした。また,審問では刑務所設備の収容キャパシティに対する囚人数が約2倍にのぼっているといった刑務所全体の運営に関する問題も提起された。なお,同令に対しては,ベルズ副大統領兼司法大臣が,独房使用には然るべき理由があるとしながらも,刑務所運営改善,及び刑務所の移転を検討中である旨発言している。

    • 首都圏上水道復旧
    • 12日,イセアル・パラオ公共事業公社(PPUC)CEOは記者会見で,10月11日より大規模な計画断水を行っていた首都圏の上水道復旧工事が終わり,2日間のテストの後復旧できる見込みとの発表を行った。13日以降,首都圏での上水の供給は24時間行われている模様。

  2. パラオ外政
    • レメンゲサウ大統領のシンガポール・豪州訪問
    • 5日,レメンゲサウ大統領は,アルベール2世モナコ公主催のファンドレイジングイベントに出席するためシンガポールへ向かった。パラオの海洋保護区政策及びモナコ・ブルー・イニシアティブのための資金集めを目的として開催された。また,レメンゲサウ大統領は,訪問後に豪州シドニーを訪れ,国際自然保護連合(IUCN)が開催した自然公園会議で演説を行い,パラオ保護区ネットワークの実績や国家海洋保護区設置に向けたイニシアティブを紹介した。センゲバウ天然資源・環境・観光大臣他が同行した。

    • 天皇皇后両陛下御訪問調整グループの創設
    • 4日付大統領令をもって,パラオ政府内に天皇皇后両陛下御訪問調整グループが編成された。国務大臣及び公共基盤・産業・商業大臣が共同議長となる他,社会文化大臣,財務大臣,ペリリュー州知事,公共事業局長,国務省儀典長,社会文化省芸術・文化局長,環境保護委員会代表がメンバーとなっており,天皇皇后両陛下の御訪問準備を日本と協力しつつすすめていくこと等が明記されている。

    • 中国クルーズ客船を巡る問題
    • 13日,全180室のクルーズ船が上海よりパラオ領海に入域し,マラカル(コロール)の沖にて停泊していることが判明した。パラオ当局によれば,同船はパラオ国旗を掲げて航海していたと見られ,全乗組員はすでに航空便にてパラオを出国済みであることが判明した。現在,パラオ国際船舶登録がパラオ領海入域を許可した経緯や,今後の対応等について司法長官の下で調査が行われている。

    • 在パラオ台湾大使の離任
    • 21日,2008年の着任以来約6年以上にわたり在パラオ台湾大使を務めたマギー・ティエン氏が離任した。離任に際しては,同氏の功績をたたえる両院合同決議がパラオ議会にて可決された。

    • レメンゲサウ大統領UNEP表彰式出席
    • レメンゲサウ大統領は,今年度の国連環境計画(UNEP)のChampion of Earth for Policy Leadeshipを受賞者となったため,19日に米国ワシントンDCにて開催された表彰式に出席した。

◆経済

    • ベトナム違法漁船拿捕相次ぐ
    • 違法操業をしていたとしてパラオ巡視船に10月30日に拿捕され,係留されていたベトナム漁船2隻が逃走した。船長2名はコロール市内の刑務所に留置されており,方向誘導システム等を外されていたが,監視の手薄になった夕方に逃走した。翌日,高速小型巡視艇がコロール沖合で2隻を発見,再度拿捕したものの,11月2日に再び逃走した。また,5日には別のベトナム漁船5隻がカヤンゲル州の保護区内で操業しているところを発見され,3隻と38名の船員は拿捕されたが,2隻は逃走した。8日,さらに別のベトナム漁船3隻と43人の船員がカヤンゲル州保護区内で拿捕され,残りの3隻は逃走した。拿捕されたうちの1隻は,コロールへ曳航中に炎上した。漁船には,ナマコ,ウミガメ,ロブスターなどの漁獲物が積載されていた。

    • ゴルフ場用地リース問題
    • 4日,アイメリーク州有地委員会は,パラオゴルフ社に対し,200万平方メートルの州有地を220万ドルで99年間リースする契約を承認した。パラオゴルフ社は,1998年に州有地委員会との間で,同地を年間6万ドル(5年毎に10%値上げ)で借用するというリース契約を締結したが,事業は現在も開始されておらず,2010年よりリース料支払いを滞納していた。州有地委員会は2012年に同契約を解除し,レクライ州知事が未払い分回収のため同社を提訴していた。州有地委員会は,新契約で未払い問題解決の目処がついたとしているが,決議をボイコットした委員会の少数派4名及びレクライ知事は,破格の新契約が州民の利益や州規制に反するとして反対している。知事は,委員会への働きかけや法的手段で決定を覆そうと様々な方法を模索しているが,どれも成功には至っていない。

    • 2014年度予想を上回る歳入
    • 12日,財務省は2014会計年度(2013年10月~2014年9月)の国家歳出・歳入に関する報告を提出した。中国人を中心として観光客が激増した影響で,ホテル税や出国税からの税収が大幅に増え,年度当初の予想7千万ドルを14%上回り,約8千万ドルの歳入があった。

    • カジノ法案下院通過
    • 21日,8月に提出されたカジノ合法化法案が,下院第3回審議にて11対1で可決された。同法案は上院に送られ,審議される。

    • 第2回経済シンポジウムの開催
    • 20日,パラオ商工会議所による第2回経済シンポジウムが昨年に引き続き開催された。レメンゲサウ大統領からはクアルテイ国務大臣を通じてメッセージが寄せられた他,ハワイの観光学院長,パラオ政府観光局長等のパネリストから発表があり,今後のパラオの観光産業のあり方につき議論が行われた。パラオの政治及び経済関係者100以上が出席した。

    • 香港チャーター便就航
    • 7日,10月に就航したダイナミック航空に続き,パラオパシフィック航空が香港-パラオ線を就航した。香港チャーター便就航は3社目で,マカオ線1社と合わせて中国本土からの観光客急増につながっている。

    • 不発弾除去に感謝決議
    • 14日,上院は,ペリリュー州を中心に不発弾処理を行っている英NGO,クリアード・グラウンド・デマイニング(CGD)の活動に感謝する合同決議を採択した。決議では,CGDが2009年以降,3万2千以上の不発弾を除去,10万平方キロメートル以上の土地を安全化し,22人のパラオ人を雇用・訓練したことが評価されている。CGDは主に豪州政府の支援を得て,パラオでの活動を行っている。

◆その他

    • 第5回日本フェアの開催
    • 23日,日本大使館は平成26年度文化事業「第5回日本フェア」を開催し,日本語補習校生徒やパラオ学生による日本の歌,パラオ柔道連盟による柔道の実演、JICA青年海外協力隊によるプレゼンなどを行った。当日は,フランク・キョータ下院議会教育・青少年委員会副議長等の当地要人や,招待された学生約300名など,合計600人近くの人々が訪れた。