パラオ情勢(2014年10月)
※この月報は、パラオ国内の新聞やテレビ報道をもとに、在パラオ日本国大使館が作成しています。
◆政治
- パラオ内政
- 特別検察官の否決
- 奨学金に関する法律成立
- 首都圏計画断水
- WHOによるエボラ出血熱対策ブリーフ
- パラオ外政
- 独立記念日
- 日本遺族会のパラオ訪問
- 台湾の国慶節
- フィジーのPIF参加資格停止措置解除
- UNEPによるレメンゲサウ大統領表彰
14日の上院会議において,レメンゲサウ大統領より特別検察官に指名されていたロバート・リー氏が,3分の2以上の票を獲得できず((上院総議席13のうち賛成7票,反対2票,欠席4名),否決された。右特別検察官のポストは,2010年より4年以上空席となっている。レメンゲサウ大統領は,リー氏の経歴を見ても特別検察官にふさわしいとし,上院における早期の可決を呼びかけている。
24日のレメンゲサウ大統領による署名を受けて,パラオ政府奨学金制度に関する法律が成立した。同法は,年間150万ドル(もしくは国内歳入額の0.3%)を奨学制度基金に充てること,また奨学金対象者には学校が始まる2週間前には奨学金を支給すること,基金の25%は奨学金委員会の定める規制に従って,貸出金とすることを定めている。。
11日より水供給量が激減し,翌日よりコロール,アイライ両州の首都圏で1日16~18時間の計画断水が始まった。日本パラオ友好橋下の海底を通る2本の送配水管のうち1本が大規模な漏水を起こしているのが原因で,昨年同時期に漏水が見つかり暫定措置として補修した管が再び破損した。パラオ公共事業公社(PPUC)は破損した管への送水を停止し,別目的で配分されていた今年度予算の一部を使い,海中で破損した管を切断して引き揚げ,橋の上の歩道に通すための暫定工事を始めた。PPUCは工事完了まで1ヶ月程度を要するとしている。
10日,WHOにより,レメンゲサウ大統領他政府関係者に対し,エボラ出血熱対策に関するブリーフィングが行われた。西太平洋地域においては未だ感染者は確認されていないものの,保健省に対し,緊急対策計画の見直しや,監視システムの強化等,今後の対策につき提言が行われた。
1日,パラオ独立20周年記念式典が首都マルキョクにて行われ,パラオ国外より,中根総理特使(外務大臣政務官),高振群・台湾外交部政務次長,バベット・ボリヴァー・在マリアナ諸島米海軍司令官,グレン・ワカイ・ハワイ州議員,ラルフ・トレス・北マリアナ諸島上院議長及び韓国,イスラエル等各国大使が出席した。
12日から17日にかけて,日本遺族会が慰霊のためパラオを訪問した。13日に大使館を訪問した後,4日間にわたりバベルダオブ島やペリリュー島で慰霊巡拝・追悼式を行った。16日には,ミクロネシア連邦を訪問していた別のグループも参加の下,大使館との懇親会があり,田尻大使が出席した。
9日,台湾の国慶節103周年(10月10日)を祝うため,在パラオ台湾大使館主催で,パレイシアホテルにおいて記念式典が開催された。レメンゲサウ大統領をはじめ,政府関係者も出席し,ティエン台湾大使に続き,クアルテイ国務大臣もスピーチを行った。
レメンゲサウ大統領(現在パラオはPIF議長国)は,29日の記者会見において,フィジーのPIF参加資格停止措置解除は事実と認め,PIF会議に今後フィジーが出席するかどうかはフィジー自身の判断によるとの意を表した。また,フィジーのPIF復帰を歓迎するとし,来年日本の島・サミットにおいてもフィジーの参加を期待すると述べた。
レメンゲサウ大統領は,今年度の国連環境計画(UNEP)のChampion of Earth for Policy Leadeshipを受賞した。レメンゲサウ大統領のミクロネシア・チャレンジやパラオEEZの海洋保護区化提案等の環境保護政策が評価されたと見られる。
◆経済
- 海洋サミット開催
- フィリピン違法漁船拿捕
- 漁業権収入を各州に分配
- 9月までの観光客数
- 上水道改善計画協力準備調査第二回現地調査
- 笹川平和財団小型巡視艇引渡式
政府は9日,国会議員,州知事,伝統酋長,経済人や住民等を招き,大統領が推進するEEZ内外国漁船商業漁業禁止提案を紹介する国内会議「海洋サミット」を開催した。漁業,海洋生態学,観光等の専門家が,それぞれの分野の視点から同提案に賛同する内容のプレゼンテーションを行った。内部で意見が割れているとして立場を明確にしなかった商工会議所を除き,各参加者からは概ね好意的な発言がされた一方、代替財源確保と取締り強化を求める声があがった。
21日,パラオの海上取締船レメリーク号は,フォーラム漁業協定(FFA)の合同取締演習中,パラオEEZの北方でフィリピン船籍の違法漁船3隻を拿捕した。このうち2隻は,積載していた漁獲物を投棄させた後その場で釈放したが,1隻とその乗組員27名はコロール州へ連行した。司法省海上保安課は,司法長官事務所作成の罪状を明記した約定に署名させるのみで,公式な訴追は行わないとしている。釈放条件の一つとして,20日間漂流していたところを,5日に日本の水産庁派遣船に発見・救助された別のフィリピン漁船の船員7名をフィリピンに連れ帰ることを約束させる。
9月29日,サダン財務大臣より,2014会計年度最終四半期分の漁業権収入のうち85%の約88 万ドルが,各州の人口比率に応じて全16州の知事に小切手で手渡された。漁業権収入はパラオEEZ内での外国漁船操業の対価として政府に支払われるもので,州政府や各州を代表する下院議員らはEEZ内での外国漁船商業漁業禁止を推進している大統領に対し,代替財源の確保を求めている。
2014年年初から9月までにパラオを訪れた観光客の総数は99,475人であり,昨年同期比に比べ24.72%増加した。内,日本人は29,483人(前年同期比11.36%増),台湾人は25,564人(同26.22%増),韓国人は11,131人(10.75%減)であった。他方,中国本土(含香港)からの観光客は19,603人(同163.84%増)となり,引き続き激増している。また,9月の一ヶ月間にパラオを訪れた観光客数でみると,中国本土(含香港)が4,008人で,一番多くなっている(日本,台湾,韓国はそれぞれ,3,311人,2,410人,1,019人)。
9日,当地出張中のJICA地球環境部田村水資源第一課長は,オビアン公共基盤・産業・商業大臣,PPUCイセアルCEOとともに,上水道改善計画協力準備調査第二回現地調査結果に関する覚書に署名した。本事業は老朽化が深刻なコロール,アイライ両州の上水設備の改善を目指すもので,覚書では送配水管の取替えや水貯蔵タンクの建て替えをスコープの中心とすることへの同意等が確認された。
1日の独立記念式典に合わせ,ニワール港にて笹川平和財団より供与された小型巡視艇の引渡式が行われた。パラオ側からはレメンゲサウ大統領やベルズ副大統領を含む政府要人,財団側からはグループの日本財団より海野理事等が出席し,田尻大使も独立記念式典出席のため当地出張中だった中根政務官とともに参加した。笹川平和財団から供与された巡視艇は二隻目で,一隻目と同じ仕様であり,パラオの伝統的な一時的禁漁制度の名をとって「ブル」と名付けられた。
◆その他
- 国連の日
- 結膜炎の流行
24日,国連の日を祝うため,各国によるパレード及び式典が行われた。同パレードには大使館員の他,日本語補習学校生徒や在留邦人が日本代表として参加し,レメンゲサウ大統領他政府関係者が列席した式典には田尻大使が出席した。
パラオ保健省より,パラオ国内にて結膜炎(pink eye)が流行している旨発表があった。1ヶ月間で550名が感染しているとしており,手洗いを励行する等衛生管理を徹底するよう呼びかけている。
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