パラオ情勢(2014年9月)
※この月報は、パラオ国内の新聞やテレビ報道をもとに、在パラオ日本国大使館が作成しています。
◆政治
- パラオ内政
- カジノ法案再提出
- パラオ独立20周年記念式典開催
- パラオ外政
- レメンゲサウ大統領の第3回SIDS国際会議出席
- レメンゲサウ大統領の第69回国連総会出席
- 中根総理特使のパラオ訪問
- 台湾青少年大使のパラオ訪問
- ペリリュー島の戦い70周年
- 国際団体によるレメンゲサウ大統領表彰
- 国連にて反セミティズム撲滅セッション開催
4日,13人の下院議員がカジノ合法化法案を提出した。ライセンス料からの収入は,社会保障,教育,医療等に使われる計画。パラオでは過去にもカジノ合法化が議論されており,2010年には国民投票で75.5%の反対票が投じられた。2003年にはレメンゲサウ大統領,2009年にはトリビオン大統領(いずれも当時)が拒否権を発動し,今国会では上院にもバウレス議員によって同様の法案が提出されたが,審議されないままとなっている。法案提出後,6人の下院議員がカジノを合法化したサイパンを視察した。
10月1日のパラオ独立20周年に向け,26日から30日にかけて,連日関連イベントが開催された。10月1日にはマルキョクにて記念式典が行われ,レメンゲサウ大統領,各閣僚,国会両院議長等政府関係者が出席した。日本からは,総理特使として中根外務大臣政務官が出席し,高振群・台湾外交部政務次長,バベット・ボリヴァー・在マリアナ諸島米海軍司令官等外国からの賓客も列席した。
レメンゲサウ大統領は,1~4日にかけて開催された第3回小島嶼開発途上国(SIDS)国際会議に出席するため,サモアを訪問した。同会議中には,レメンゲサウ大統領が本会議にて演説を行ったほか,パラオ代表団の一員として同行したセンゲバウ天然資源・環境・観光大臣が,世界海洋委員会報告書発表会において演説を行った。
レメンゲサウ大統領は,第69回国連総会に出席するため,16~27日の日程でニューヨークを訪問した。レメンゲサウ大統領は,26日に一般討論演説を行ったほか,22日には国連人口開発会議にて演説,25日には安倍総理主催の日本・太平洋島嶼国首脳会合に出席した。
9月30日から10月3日にかけて,パラオ共和国独立20周年記念式典に出席するため,総理特使として中根外務大臣政務官がパラオを訪問した。1日は,同式典に出席したほか,日本財団警備艇引渡し式に出席,レメンゲサウ大統領,クアルテイ国務大臣表敬を行った。2日は,ペリリュー島視察を行い,西太平洋戦没者の碑に献花を行ったほか,コロールにてシュムル・ペリリュー州知事と会談を行った。
2~5日にかけて,台湾より16名の大学生が,青少年大使(Youth Ambassador)としてパラオを親善訪問した。青少年大使プログラムは,台湾外務省により毎年実施されており,滞在中は当地短期大学,高校の生徒と交流したほか,国会や教育省表敬訪問等の活動を行った。
15日,第二次世界対戦時に日米激戦があったペリリュー島にて,同島での戦いから70周年を記念して,式典が行われた。レメンゲサウ大統領他パラオ政府関係者が出席したほか,米側から太平洋海兵隊関係者,また日本側からは,生き残り兵である土田喜代一氏も参加した。
21日,海洋保護団体「オーシャン・エルダーズ」よりレメンゲサウ大統領に対し,2014リーダーシップ賞が授与された。レメンゲサウ大統領による海洋保護区実現に向けた取り組みを評価した結果としている。
8日,ニューヨーク国連本部にて,パラオ国連代表部主催の反セミティズム撲滅のためのセッションが開催された。「Global Anti-Semitism: A Threat to International Peace and Security」のテーマのもと,イスラエル国連代表部のロン・プロザー大使を含む各スピーカーにより,反セミティズムの危険性が訴えられた。
◆経済
- 社会保障改革法成立
- 世銀ビジネス環境指数100位に
- 違法営業の外国人経営商店摘発
- 2015年度国家予算成立
- PPUC理事会トップ交代
- 8月までの観光客数
- 中国線新規就航相次ぐ
- ADB下水道改善事業開始
- UAEへ経済支援5百万ドルを申請
9月25日に成立した社会保障改革法によって,全ての社会保障(死亡保険)の受取額を50ドル以上増額し,従業員を持たない自営業者の社会保障課税対象所得を総収入の25%から10%へ減額することが決定した。さらに,2017年度から,または現在外国漁業収入から返済している公務員年金信託基金の負債返済が終了した時点で,外国漁業収入の15%を滞納している公務員への年金支払いに配分することとなった。
2014年の世界銀行のビジネス環境(Ease of Doing Business)指数で,パラオは189か国中100位となり,昨年の114位から順位を上げた。担保の管理を一元化し,担保となる資産の種類を拡大する等の法律を整備したことにより,クレジット取得の分野で昨年の最下位から86位に飛躍したことが主な要因。
グアム銀行は、パラオ国家開発銀行の保証による、1件10万ドルを上限とした総額5百万ドルの住宅ローンの融資を開始した。パラオ国家開発銀行は、民間の高度なサービスと国による保証を組み合わせた新たな試みだとしている。
外国人経営が禁止されている小売業の分野で,パラオ人の経営であると虚偽の申請をして違法営業していた商店が摘発され,実質的経営者のバングラデシュ人2人と,名義経営者のパラオ人1人が告発された。当地では国民経済を保護するため,小売・卸売の他にも複数の分野で外国人の経営が禁止されている。また,ベルズ副大統領兼司法大臣は,10日よりバングラデシュ移民の受入れを一時停止すると発表した。急増している移民労働者の技術不足,不正出入国手続きの頻発等を要因に上げている。
アジア開発銀行(ADB)の助言に沿って水道料金値上げを主張した,パラオ公共事業公社(PPUC)の理事長と副理事長が交代した。首都圏以外の水質が規定を下回る状況が続くなか,サービス改善のないまま値上げに踏み切ろうとしたことが,レメンゲサウ大統領はじめ多数の不評を買ったことが原因とみられる。
2014年年初から8月までにパラオを訪れた観光客の総数は87,611人であり,昨年同期比に比べ24.13%増加した。内,日本人は26,172人(前年同期比12.06%増),台湾人は23,154人(同31.24%増),韓国人は10,112人(5.64%減)であった。他方,中国本土(含香港)からの観光客は15,595人(同130.52%増)となり,引き続き激増している。
16日,米国拠点のダイナミック航空が,月6便の計画で香港-パラオ線の運航を開始した。これまでメガ・モルディブ航空が同路線を週2便運航し,中国からの観光客増加に貢献している。一方,タイ拠点のアジアン・エアが26日,マカオ経由バンコク-パラオ線のチャーター便を就航した。また,台北-パラオ間を運航してきた中華航空は,現在の週5便から週7便に増便する計画を表明している。
5日,PPUCと事業執行支援(PIA)社が契約書に署名し、ADBの借款による下水道改善事業が正式に開始した。PPUCによれば,PIAの15人の専門家が39週にわたって,同事業のコンサルティングを行う。
サモアで開催されたSIDS国際会議にて,センゲバウ天然資源・環境・観光大臣は,アラブ首長国連邦(UAE)代表団と会談し,パラオが申請している5百万ドルの経済支援の可能性について話し合った。パラオの申請は,再生可能エネルギー関連の支援を中心としている。UAEは9月中にも代表団をパラオへ派遣し支援を検討する予定で,来年1月の合意を目指している。PPUCの太陽光発電と離島上水整備事業に3.8百万ドルの拠出が約束されたとの報道もある。
◆その他
- 生け花ワークショップの開催
6~7日,大使館とベラウ観光協会主催のもと,生花ワークショップを開催した。日本より草月流華道家の横井紅炎氏を講師として招き,初日には,参加者に実際に生花を体験してもらうワークショップ,2日目にはコンテスト,講師による 生け花デモンストレーション,レセプションを開催し,のべ約150人の参加があった。
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