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パラオ情勢(2014年7月)

 

※この月報は、パラオ国内の新聞やテレビ報道をもとに、在パラオ日本国大使館が作成しています。

◆政治

  1. パラオ内政
    • 大統領による特別検察官指名
    • レメンゲサウ大統領は、ロバート・チャールズ・リー氏(米国人)を特別検察官に指名した。リー氏は、米国フロリダ州にて州検事補、アメリカ領サモアにて検察官を務めた経歴がある。なお、特別検察官は、2010年5月に前任者が辞任して以来空席となっており、現政権においても、大統領によって指名された候補者に対する上院の承認が得られず、今回新たに別の候補者が指名されるかたちとなった。

    • エルニーニョ現象に対する対策
    • 6月17日、9月下旬にパラオに到達するとされているエルニーニョ現象に対応するため、国内のワーキンググループが発足した。同グループは、政府関係者に対し、エルニーニョ現象によるパラオ国内の影響を報告することを任務としており、既に大統領や国会議員に複数回報告を行っているとしている。

    • 開かれた政府法
    • 23日、憲法にて市民の権利として保障されている、公文書を閲覧し、政府機関内の審議過程を知る権利に関し、執行を具体化する法律が成立した。同法は、市民から要請があった場合は、通常10日以内に該当文書を提供しなければならない旨定めているほか、要請が十分な理由なく拒否された場合の国側の責任も規定しているが、プライバシー保護が必要とされる場合や外交機密とされる場合等、情報公開の例外となる事例も規定されている。


  2. パラオ外政
    • レメンゲサウ大統領のミクロネシア連邦訪問
    • レメンゲサウ大統領は、17日~18日にミクロネシア連邦にて開催された第14回ミクロネシア大統領サミットに出席した。ミクロネシア3国の首脳は、通信、航空、人身取引、外来種、貿易、海洋等の問題について協議した。また、20日には、パラオ代表の選手陣とともに、第8回ミクロネシアゲーム開幕式にも出席した。

    • 第45回PIF総会開催
    • 7月29日から8月1日にかけて、第45回太平洋諸島フォーラム(PIF)総会が開催された。29日には小島嶼国(SIS)首脳会合、開会式、30日には総会本会議、31日にはペリリューにて首脳リトリートが行われ、コミュニケが採択された。また、8月1日には第26回域外国対話が開催された。

    • 木原外務大臣政務官(総理特使)の当地訪問
    • 7月31日から8月1日にかけ、木原外務大臣政務官(総理特使)は、PIF域外国対話に出席するため当地を訪問した。域外国対話では、日本と島嶼国との協力関係の重要性を強調するとともに、第7回太平洋・島サミット(PALM7)への関係各国首脳の参加・協力を呼びかけた。また、レメンゲサウ・パラオ大統領をはじめ、トゥイラエパ・サモア首相、タランギ・ニウエ首相、モリ・ミクロネシア大統領及びムラー・マーシャル保健相(前外相)と二国間会談を行った。

    • 米海上監視システムデモ
    • 米太平洋司令部は28日、PIFのサイドイベントとして、自国のレーダーや熱センサー、衛星通信、飛行機等を利用した総合海上監視システム「シー・ドラゴン」のデモンストレーションを行った。レメンゲサウ大統領の他、各国PIF代表団が見学する中、24日に離島ソンソロール島に漂着したバージや、違法操業の疑いがある漁船が確認された。パラオ政府は低コストで効率的な監視システムの導入を目指しており、「シー・ドラゴン」も選択肢の一つとしている。昨年10月には、豪の無人偵察機デモも行われた。

◆経済

    • 上下水道事業赤字
    • 11日、パラオ公共事業公社(PPUC)コシバ理事長は、上下水道事業が赤字運営となっており、8月15日までに追加補助金が出なければ料金値上げに踏み切らざるを得ないと訴えた。赤字の原因は、政府規定の水道料金により発生する首都圏外事業の赤字に対して、政府補助金が340万ドル以上不足していることとしている。PPUCは融資を受けているアジア開発銀行から、10月までに全運営コストが回収できる料金体制に改善するよう求められており、コシバ理事長は政府対応の遅れを指摘している。これを受けて上院は、大統領が作成した2015年度予算案にPPUCへの補助金約290万ドルを追加したが、下院及び大統領が合意するまで予算は確定しない。

    • 医療保健基金の評価は「健全」
    • 24日、パラオ国有基金である医療保健基金の評価のため当地を訪れていたシンガポールの社会保険コンサルタント及び国際労働機関(ILO)専門家は、国会に対する調査報告を行い、同基金の運用は成功しており、財政状態は健全であると結論づけた。一方課題として、支出負担を減らすため、海外医療照会関連の支出見直しや加入者のサービスへの過度な期待を抑制する必要性が指摘された。同基金は2010年に発足し、現在は90%以上の国民が加入している。2013年度の歳入は260万ドル、支出は200万ドルだった。

    • パラオの宿泊施設が計1368室に
    • 2013年のパラオ国内宿泊施設の合計室数は、4施設が新規開業、2施設が増室、1施設が減室した結果、2012年より34室増の1368室となった。統計を取り始めた2007年の1250室からは、118室(8.7%)の増加となった。2014年に入ってからもホテルの新規開業や建設計画が相次いでいるため、来年の統計ではさらなる増加が見込まれる。

    • 6月までの観光客数
    • 2014年年初から6月までにパラオを訪れた観光客の総数は61,355人であり、昨年同期比に比べ17.60%増加した。内、日本人は19,083人(前年同期比11.16%増)、台湾人は16,235人(同34.37%増)、韓国人は7,107人(同12.30%減)であった。他方、中国本土(含香港)からの観光客は9,159人(同78.33%増)と引き続き急増しており、本年上半期では、韓国に代わり第3位となっている。

◆その他

    • 憲法記念日の名称変更
    • 4日付の大統領令により、7月9日の憲法記念日(Constituion Day)を、ベラウ憲法記念日(Belau-Constitution Day)と名称変更された。ベラウはパラオ語で「パラオ」を意味し、憲法制定を祝うとともに、パラオ人の土地回復やパラオの伝統・文化を併せて祝うためとしている。