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パラオ情勢(2014年6月)

 

※この月報は、パラオ国内の新聞やテレビ報道をもとに、在パラオ日本国大使館が作成しています。

◆政治

  1. パラオ内政
    • 2014年版米国務省人身取引報告書
    • 2014年版人身取引報告書が米国務省により発表され、パラオは前回と同じくTier 2に分類された。前回の報告書をめぐっては、司法長官(米国人)がパラオに不利な情報を流したといった非難が国会議員から相次ぎ、同司法長官の辞任につながった経緯があり、今回の報告書では、右経緯もパラオに於ける人身取引問題解決への努力を損ねるものとして明記されている。

    • ・前大統領による緊急事態宣言に関する判決
    • 26日、トリビオン前大統領による緊急事態宣言に対する違憲判決を無効とする判決が最高裁より下った。前回の違憲判決時には、手続き面で問題があったことが無効判決の理由とされており、同前大統領による再審理申立を受理するかたちとなった。また、今回の判決により、既に公務を離れているトリビオン前大統領は、公的立場においては国(現政府)が代わりに被告になるが、個人の立場としては依然被告として裁判が続行されることとなった。


  2. パラオ外政
    • ベルズ副大統領がミクロネシア首長サミットに出席
    • ベルズ副大統領は、5日から6日にかけて、パラオ代表として第20回ミクロネシア首長サミット(於:ヤップ)に出席した。同会議では主に保健、生活習慣病、エネルギー、観光、通信について協議が行われたほか、パラオ・ミクロネシア連邦間の光ファイバーケーブル計画共同委員会のメンバーもヤップを訪れ、同計画の進捗状況等に関する報告会を行った。

    • レメンゲサウ大統領の訪米
    • レメンゲサウ大統領は、16~17日に米国ワシントンにて開催された海洋会議に出席するため訪米した。レメンゲサウ大統領は、同会議にパネリストとして出席し、限られた海域をパラオ人のための漁場として管理し、それ以外のパラオEEZを完全海洋保護区とするための取り組みを紹介した。また滞在中には、ケリー国務長官との会談も行われ、コンパクト改定案が米議会にて承認されていない問題や駐パラオ米国大使が未だに赴任できていない問題に対する懸念を伝達し、ケリー長官の理解を得たとしている。

    • 国連人権条約報告委員会の発足
    • 5月29日付大統領令により、国連人権条約下におけるパラオの国連への報告義務遵守を目的とした委員会が発足した。パラオが加盟している国連人権条約において報告義務の期限が守れていないことを受けて発足した同委員会は、全閣僚で構成されており、国務大臣が委員長とされている。

    • 新大使8名による信任状奉呈
    • 5月22日と30日の二日間にわたり、計8カ国(ギリシャ、スロバキア、オーストリア、ベルギー、ドイツ、インドネシア、メキシコ、英国)の新大使より、レメンゲサウ大統領に対して信任状奉呈が行われた。各大使は、信任状奉呈ためにパラオを訪問したもので、通常はパラオを兼轄している自国の公館に駐在している。

    • JPACへの遺骨引き渡し
    • 6日、パラオ社会文化省より米太平洋軍統合戦時捕虜行方不明者調査司令部(JPAC)に対し、第二次世界大戦中の米軍のものとみられる遺骨の引き渡しが行われた。引き渡し式には、テメニル社会文化大臣や在パラオ米国大使館のデイリー臨時代理大使が出席した。

    • ベトナム人による違法漁業問題
    • 10日、カヤンゲル沖での違法漁業により3月より拘束されていたベトナム人の漁船乗組員が、本国に送還された。乗組員一行には、パラオ最高裁より違法判決が下っていたが、今般、在比ベトナム大使館員が必要書類を携行しパラオを訪れ、船員達の帰国に至った。

◆経済

    • 高齢者割引制度延期
    • 4日、政府は、昨年度成立した「高齢者割引法」の関連規制執行を延期する報道発表を行った。同法は、政府が60歳以上の市民に発行する割引証を提示すれば、5ドル以上の全ての商品に10%、飲食店やホテルのサービス料に25%の割引が適用されるというもの。既に200人以上が割引証に申請しているが、免税等、同割引による企業の損失補償方法が明らかにされていないため、小売・サービス業界が反発しており、レメンゲサウ大統領も同法が十分な国民との対話を経て審議されておらず、内容も曖昧であるとして問題視している。

    • EUソーラー事業開始
    • EU資金によって太平洋共同体(SPC)がミクロネシア地域で実施している北部太平洋再生可能エネルギー効率化事業(North-REP)の一環で、パラオ国立競技場に、ニュージーランドのパワースマート社により150kWのソーラーパネルを競技場観客席屋根部分に設置する工事が開始された。パラオ公共事業公社(PPUC)は、同事業によって年間6万ドル分の燃料費節減につながるとしている。North-REPは過去にも、首都移転の際に新政府庁舎にソーラーパネルを設置した等の実績がある。

    • 台湾資本200室ホテル建設計画
    • 17日、外国投資委員会は、台湾資本のパラオミラージュ開発社によるマラカル島に200室のホテルを建設する計画を承認した。投資家は当地紙アイランドタイムズに対し、計6千万ドルを投資する計画であると明らかにした。パラオではマラカル島を中心に、現在発表されている80~200室規模の新ホテル建設計画が4件、既に建設が進んでおり開業予定のホテルが2件ある。

    • コンサベーション・インターナショナル資金援助決定
    • パラオ政府と国際環境NGOのコンサベーション・インターナショナル財団は、パラオの海域の30%、森林の20%を保護区化する「ミクロネシア・チャレンジ」達成のために、100万ドルを寄付する覚書(MOU)に署名した。同MOUで、パラオ側は200万ドルのマッチング・ファンドを拠出し、毎年報告書を提出することが約束された。

    • 上水道改善計画協力準備調査開始
    • パラオ政府より要請のあった無償資金協力「上水道改善計画」に係る協力準備調査のため、JICA地球環境部水資源第一課長率いる調査団が当地へ出張し、パラオ公共事業公社等と協議を行った。27日、両者は調査のスコープと日程に合意し、署名を行った。

    • 5月までの観光客数
    • 2014年年初から5月までにパラオを訪れた観光客の総数は50,864人であり、昨年同期比に比べ12.37%増加した。内、日本人は17,136人(前年同期比10.26%増)、台湾人は12,417人(同28.59%増)、韓国人は5,871人(15.02%減)であった。他方、中国本土(含香港)からの観光客は7,000人(同49.13%増)となり、4月に引き続き、韓国以外からの観光客は大幅に増加した。

◆その他

    • マリ人による偽造紙幣持ち込み
    • 11日、パラオ国際空港に到着したマリ人が携帯していた20枚の100ドル札が偽造紙幣であることが判明し、17日、最高裁により有罪判決が下った。判決は、懲役2年としているが、1週間以内にパラオから出国することを条件とした執行猶予を付している。