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パラオ情勢(2014年5月)

 

※この月報は、パラオ国内の新聞やテレビ報道をもとに、在パラオ日本国大使館が作成しています。

◆政治

  1. パラオ内政
    • シュムル知事に対する起訴の棄却
    • 4月11日、パラオ最高裁は、被告から検察に対して提出が求められていた訴訟明細書が期限までに提出されず、十分な訴訟理由が明示されなかったことを理由に、買春容疑で起訴されていたシュムル・ペリリュー州知事に対する訴訟を棄却した。裁判所は、度々の修正要請にも拘わらず、複数件の訴訟内容が一件の訴訟明細書の中で混同しており、修正作業を進めなかった原告側の不手際を指摘している。

    • カヤンゲル州プレハブ住居組立事業契約完了
    • 昨年12月に台湾赤十字社から供与されて以降、組立作業が滞っていたプレハブ住居82ユニットについて、カヤンゲル州に送られた分についての総額60万ドルの組立事業契約が、ようやく中央政府とスランゲル社の間で結ばれた。

    • 上院法律顧問の身内雇用問題
    • 上院が米国人エスティー上院法律顧問の妻を同顧問補佐として雇用したことに関し、メトゥール上院議員らが親族の雇用を禁止した法律の違反にあたるとして異議を申し立てている。エスティー顧問は補佐雇用のため公費で渡米した結果、自身の妻を候補として紹介し、上院の承認により雇用された。エスティー顧問は、雇用は同法の対象とならないとしており、チン上院議長は倫理委員会に勧告的意見を求めた。これに対しドーフマン倫理委員会法律顧問は、同人の雇用は複雑であるとして注意を促しながらも、法的意見は差し控えると回答した。チン議長は、意見差し控えは同委員会の基本的な責務の放棄であるとして批判し、論争が広がっている。

    • 各法律の成立
    • 14日、大統領の署名をもって、野焼きを行う際は、公安局消防課に前もって通知しなければないとする「野焼き規制法」と、海洋資源局がシャコ貝の養殖等に利用できるリボルビング基金を国庫内に設置する「シャコ貝種苗持続的生産事業基金法」が成立した。

    • 大統領指名4名が上院で不承認
    • 22日、大統領が指名したパラオ観光局理事候補、コンパクト信託基金評議会委員候補2名、及びパラオ公有地当局委員候補の計4名が、上院の投票で必要な9票を得られず、不承認となった。


  2. パラオ外政
    • ベトナム違法操業漁船員に執行猶予判決
    • 3月に違法操業で拿捕されたベトナム船籍漁船の乗組員8名が、当初否認していた無許可違法漁業ほう助の罪を認め、4月22日、1年の執行猶予判決が下された。パラオの司法関係者は、在比ベトナム大使館と協議を進めており、ベトナム側は旅券等の発行、航空券代の捻出等のため努力しているとしている。8名は現在、パラオ国内のカトリック教会で保護されている。

    • インド名誉総領事指名
    • パラオ在住インド人のロバート・ジョン・スカリア氏が、インド政府から新たに名誉総領事として指名された。スカリア氏はパラオ居住歴15年で、同国で唯一のインド料理店を経営している。

    • 米沿岸警備隊との合同演習
    • 12日から21日にかけて、グアムから総重量100トンの米沿岸警備船「ワシントン」がマラカル港に寄港し、パラオ海上保安局及び国家非常事態管理事務所(NEMO)の職員に対し訓練を行い、19日にはパラオからミクロネシア連邦の海域において飛行機が墜落したという設定で、パラオの海上警備船との捜索・救助合同演習を実施した。

    • ウイグル人元収容者の出国
    • レメンゲサウ大統領は、2009年に米グアンタナモ収容所から釈放され、パラオが受け入れたウイグル人元収容者6名のうち多数が既にパラオを出国しているという情報に対し、何名かは既に出国しており、全員の他国への再定住を最優先に進めていると認めた。元収容者の行き先については、最後の元収容者の再定住が完了するまで明かせないとした。当初米政府から供与された60万ドルはすでに枯渇しており、今年度の補正予算では5万ドルが再定住支援費として盛り込まれた。

◆経済

    • ユネスコが5.6万ドル供与
    • 国連教育科学文化機関(ユネスコ)は6日、教育省にて教育・文化関連事業のための資金、総額5万6183ドルを引き渡した。供与先は台風被害を受けたアイメリーク小学校の再建計画、教育省の持続可能な開発教育(ESD)事業、社会文化省歴史保存事務所の三事業。

    • 台湾医療事業による支援
    • 台湾の新光呉火獅記念病院の協力により、パラオ国立病院に新たな栄養センターが開設された。同国で蔓延する生活習慣病(NCD)対策のため、無料で食生活に関する指導・カウンセリングや血圧などの簡易な検査を行う。同センターは、新光呉火獅病院で訓練を受けたパラオ人職員が運営を担う。また、29日には、同じく台湾医療事業により保健クラウドシステムが開設され、医療照会先の海外の病院からでも患者のカルテ情報にアクセスできるようになる。

    • 2014年度補正予算成立
    • 14日、レメンゲサウ大統領は議会が合意した109万1千ドルの補正予算案を、86万1千ドルに削減した上で署名し、2014年度補正予算が成立した。大統領によって、国会審議の課程で増額された上下両院、副大統領府、パラオ日本友好議員連盟に対する予算が削減された。大統領は当初、85万2千ドルの予算案を提出し、下院は135万2千ドルへの増額を主張、それに対し上院が89万7千ドルを主張しており、11日に両院審議会にて109万1千ドルで合意が形成されていた。通常予算と補正予算を合わせて、2014年度の国家予算は6925万8100ドルになった。

    • 4月までの観光客数
    • 2014年年初から4月までにパラオを訪れた観光客の総数は42,173人であり、昨年同期比に比べ7.08%増加した。内、日本人は15,035人(前年同期比7.43%増)、台湾人は9,429人(同19.58%増)、中国本土からの観光客は5,705人(同27.29%増)、韓国人は4,900人(14.43%減)となり、韓国以外からの観光客は大幅に増加した。

◆その他

    • 密輸銃押収
    • 通関職員が、グアムからマラカル港に荷揚げされたコンテナの中から、ライフル銃5丁と拳銃7丁の計12丁の密輸銃及び付属品を押収した。パラオでは一般市民の小火器類及び弾薬の所持は違法で、違反者には5~15年の禁固刑が課される重罪となっている。