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パラオ情勢(2014年3月)

2014年4月3日

※この月報は、パラオ国内の新聞やテレビ報道をもとに、在パラオ日本国大使館が作成しています。

◆政治

  1. パラオ内政
    • 司法長官の辞任
    • 28日、ロー司法長官は、声明を発出し、辞意を表明した。理由としては司法大臣であるベルズ副大統領との意見の不一致を挙げており、同長官が警察局長代理として行った組織改革や、米国務省による人身取引報告書のパラオに関する記述をめぐったパラオ議会との対立が背景にあると見られている。辞任後は、ケンドル司法次官補が代理を務めることとなる。


  2. パラオ外政
    • フィジー大統領のパラオ訪問
    • 17日から19日にかけて、フィジーのナイラティカウ大統領が、同国元首として初めてパラオを訪問した。18日晩にはレメンゲサウ大統領他主催の公式晩餐会にてスピーチを行い、二国間関係の公式化や、パラオの太平洋諸島開発フォーラム(PIDF)加入を促した。

    • PIF事務局長のパラオ訪問
    • 7月末に開催される第45回太平洋諸島フォーラム(PIF)総会に向けた準備のため、22日から28日にかけ、スレードPIF事務局長がパラオを訪問した。パラオ政府との打ち合わせのほか、25日にペリリューにて行われたPEC基金による淡水化装置開所式にも出席した。

    • ベトナム人による違法漁業
    • 19日、カヤンゲル沖にて違法漁業を行っていたベトナム人8名が逮捕され、被告側が無罪を訴える中、現在裁判が行われている。ベトナム国籍者が違法漁業のため逮捕されるのは初めてとなるが、母船は拘束することができなかったため、母船籍国は分かっていない。なお、その後の検査により、8名のうち半数が結核にかかっていることが判明している。

◆経済

    • 看護師・教員の雇用体系改変
    • 今月より、昨年末に決定した保健省職員である看護師の雇用・給与体系改変が実施され、保健省人事部と看護師は雇用契約改定に関する協議を行っている。レメンゲサウ大統領は20日、看護師との懇談会において、次なる雇用体系改変対象は教育省職員である教員であると発表し、2014会計年度末の実施が見込まれているとした。同改変によって、該当職員の昇給が行われる他、より実際の勤務体系に即した雇用契約に改定される。

    • PEC基金によるペリリュー州への淡水化装置設置
    • 25日、ペリリュー州にて、我が国PEC基金によって整備されたソーラー式海水淡水化施設の開所式が行われ、当館より安沢臨時代理大使が出席した。レメンゲサウ大統領を始めとする閣僚、上下院議員、州有力者、地元住民等、多数の出席があった。同装置は、太陽光発電で発電した電力で海水の淡水化を行い、住民に飲料水や生活用水を提供するものであり、同州上水の供給安定化が期待されている。

    • IMF4条協議最終文書
    • 2月27日、国際通貨基金(IMF)による2013年パラオ4条協議における最終文書が発表された。2013年のパラオの経済成長は0%で、一部航空会社線の運行休止、観光費値上げ、ドル高等の影響で-7%となった観光業の不調が影響したとされている。経常赤字はGDPの6.5%で、無償資金協力と海外直接投資の増加により縮小傾向にあり、財政赤字は同12.25%となっている。新規に合意したアジア開発銀行からの借款についても返済可能との観測を示している。今後の財政状況改善に向けては、既に進められている税制改革、公務員給与支出の削減、年金・社会保障基金改革、投資環境改善、観光市場の拡大、銀行制度改革が課題としている。

    • 中国資本ホテルの建設計画
    • 11月付当地アイランド・タイムズ紙によると、210客室の中国資本ホテル(パラオ・パシフィック・スター・リゾート)が新たに建設される予定となっており、現在、環境管理委員会(EQPB)による建設許可を待っているとしている。なお、既に建設が開始されていた別の中国資本ホテル(パラオ・バケーション・ホテル)は、付近の国立公園内に浄化槽を設置工事中であることに対し、1073名分の反対署名が集まるなど、関係団体や地元民の反発を受けている。

    • 2月までの観光客数
    • 2014年年初から2月までにパラオを訪れた観光客の総数は21,670人であり、昨年同期比に比べ2.36%増加した。内、日本人は7,650人(前年同期比5.39%増)、台湾人は4,587人(同5.13%減)、韓国人は2,892人(同7.07%減)であった。他方、中国本土からの観光客は3,497人(同35.07%増)と大幅に増加した。

◆その他

    • 養鶏場で170羽を超える鶏が死亡
    • 天然資源・環境・観光省農業局長によると、アイライ州にある養鶏場にて、31日時点で170羽を超える鶏が死んだとされ、現在多量死の原因につき検査を行っているとしている。また、養鶏場従業員2名が体調不良を訴えており、公共衛生局が症状をモニタリングしている。

    • 平成25年度帰国留学生懇親会の開催
    • 7日、平成25年度の帰国留学生懇親会が開催され、今後の奨学金に対する帰国留学生の支援や日本文化紹介方法について話し合った。なお、1982年に奨学金制度が始まって以来、これまで51名のパラオ人が日本へ留学しており、現在1名が専修学校に留学中のほか、今年は研究生と専修学校生として各1名ずつ採用された。

    • 当館教育広報の開催
    • 3月中旬の「教育啓発週間」に合わせ、在外公館広報事業として当地の小学校4校を当館職員が訪問し、生徒・教師合わせて200名以上を対象に日本とパラオの歴史的・文化的関係や、パラオにおける日本大使館の役割等についてプレゼンテーションを行った。また、日本に関するクイズや、折り紙を体験してもらい、日本に対する興味を高めてもらう機会を提供した。