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パラオ情勢(2014年1月)

2014年2月7日

※この月報は、パラオ国内の新聞やテレビ報道をもとに、在パラオ日本国大使館が作成しています。

◆政治

  1. パラオ内政
    • バウレス上院議員の外交・国務委員会委員長辞任
    • バウレス上院議員は、14日付チン上院議長宛の書簡において上院の外交・国務委員会委員長を辞任する旨表明した。バウレス議員は、12月にチン議長をはじめとする多数派により上院副議長の席を追われたため、多数派を離脱しており、同書簡ではチン上院議長のリーダーシップ欠如を辞任の理由としている。

    • 米国務省人身取引報告書をめぐる論争
    • 米国務省が昨年6月に発表した「人身取引報告書」おいてパラオがTier 2に分類されていることに対し、米国人であるロー司法長官及び在パラオ米国大使館がパラオに不利な情報を米国に流したと非難する声が両院議員の一部よりあがっている。これに対し、ロー司法長官は、報告書は米国務省により作成されているものであり、自らは全く関与していないとしているが、下院は同長官の不信任決議案提出の準備をすすめているとされており、論争が加熱している。

    • 台風被災者が家屋修繕支援金受取
    • 29日、被災した152世帯のうち、既に申請が完了している110世帯が、財務省から家屋修繕支援金を受け取った。家屋への被害はレベル1から4に認定され、レベル1に750ドル、レベル2に4千ドル、レベル3に9千ドル(カヤンゲル州のみ1万2千ドル)が支給された。レベル4(全壊)にはプレハブ住居が支給される。


  2. パラオ外政
    • レメンゲサウ大統領のハワイ訪問
    • レメンゲサウ大統領は、今年初の外遊として、4日から7日にかけてハワイを訪問し、ダニエル・アカカ元ハワイ州上院議員を称える行事に参加した。同氏は、ハワイのみならず太平洋地域全体に広く影響力を持つとされており、1994年にパラオが独立した際にも、同氏の支持が大きな役割を果たしたとされている。

    • 石原環境大臣のパラオ訪問
    • 12日から14日にかけて、石原環境大臣が当地を訪問し、13日、クアルテイ国務大臣、センゲバウ天然資源・環境・観光大臣、オビアン公共基盤・産業・商業大臣とそれぞれ会談、また、二国間クレジット制度(JCM)署名式、アイメリーク小学校草の根無償資金協力署名式に出席した。13日晩にはパラオ政府主催の石原大臣歓迎レセプションが開催され、総勢100名以上が出席したほか、14日には、レメンゲサウ大統領を表敬した後、国会にて演説を行い、パラオ側よりパラオ名誉市民の称号が授与された。

    • 駐台湾大使の上院承認
    • 23日、レメンゲサウ大統領より指名されたディルメイ・オルケリル氏の駐台湾大使任命が、上院により全会一致にて承認され、30日には就任式が行われた。なお、同ポストは、昨年1月に現政権が発足して以来、大統領による指名が行われず空席となっていた。

    • チェコ共和国名誉領事の任命
    • 23日、元国務大臣及び副大統領であるサンドラ・ピエラントッツィ氏のチェコ共和国名誉領事就任が発表された。同氏は昨年チェコ共和国政府より指名を受けており、今般の就任においては、パラオを兼轄しフィリピンに駐在する同国大使がパラオを訪れ、公式な任命手続き等を行った。

◆経済

    • 国の台風ハイヤン復興支援(1月に発表されたもの)
    • (ア)日本
      当地を訪問中の石原環境大臣立ち会いのもと、草の根無償資金協力の「アイメリーク小学校台風被害支援計画」に署名した。カヤンゲル、ガラロン両州の小学校に続き、我が国による台風被害を受けた学校に対する草の根無償資金協力は3件総額約50万ドルとなった。

      (イ)台湾
      3日、当地台湾大使館は30フィート、300馬力のスピードボート一艘をカヤンゲル州に供与した。また、7日には追加のプレハブ住居40ユニットが到着し、プレハブ住居の供与は前回分と合わせて84ユニットになった。

      (ウ)米国
      米国防省がパラオ政府の要請に対して貸与を決定した淡水化装置が、12月25日にパラオへ到着した。パラオ駐留のCivic Action Teamがカヤンゲル州までの運搬・設置を行った。

      (エ)その他
      ミクロネシア連邦及び韓国から5万ドルずつ、アジア開発銀行から2万ドルが供与された。また、ウォンパット・グアム行政区議会議長率いる有志が1万5千ドルを寄付し、カヤンゲル州の住民27人に一人555.55ドルずつ配布された。

    • アラブ首長国連邦による救急3輪バイクの供与
    • アラブ首長国連邦は、3輪バイクの救急車26台の供与を決定し、うち13台の引渡しが完了した。

    • 付加価値税導入へ向けた公聴会開催
    • 20日以降、財務省と上院の歳入委員会によって、昨年2月に法案が提出され審議中の付加価値税(VAT)導入に関する公聴会が各地で開催された。同法案はIMFの提案に基づいて提出され、現行の経費控除前の総受領高に課税される営業税(Gross Revenue Tax)4%をVAT7%に移行するというものである。これに対し、サダン財務大臣は7%では歳入減につながるとして、12.5%を提案している。

    • 台湾経済促進基金224万ドル供与
    • 17日、台湾は2013年度4回目となる経済促進基金として、224万ドルをパラオ政府へ供与した。同資金は、道路建設や農水業事業にあてられている。当地ティエン台湾大使は、2013年度分事業は65%が完了しているが、残り35%についての説明と運用計画をパラオ政府に要請するとした。

    • コンパクト評議員会再設置へ
    • 米国とのコンパクト署名後1986年に設立され、2007年に廃止されたコンパクト評議員会を再設置する法案が成立した。同評議員会は、コンパクトに基づく米国からの援助資金の運用を監督する役割を担っていたが、廃止後は行政府の判断のみで行われていた。しかし、資金運用の透明性が薄れた等の理由から、今回再設置される運びとなった。

    • ユナイテッド便欠航相次ぐ
    • 12月30日、31日のグアム発パラオ経由マニラ行きのユナイテッド航空便が事前の通知なく欠航されたのをはじめ、1か月未満の期間に計4便が欠航となり、25日、オビアン公共基盤・産業・商業大臣がユナイテッド航空に説明を求めた。

    • 香港航空4月就航
    • 香港航空が、香港からパラオへの乗り入れを4月から開始すると発表した。香港航空は2000年に設立され、現在27機を所有している。12月に就航したメガモルディブに続き、香港線は2社となった。

◆その他

    • 米国におけるパラオ人殺害事件
    • 1日、米国コロラドにて同国陸軍入隊訓練を受けていた19歳のパラオ人男性が、銃撃され殺害された。遺体はガラスマオ州の遺族の元に返され、17日には葬儀が行われ、レメンゲサウ大統領、北部大酋長、各大臣、国会議員等が出席した。