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パラオ情勢(2013年8月)

2013年9月4日

※この月報は、パラオ国内の新聞やテレビ報道をもとに、在パラオ日本国大使館が作成しています。

◆政治

  1. パラオ内政
    • 各法律の成立
    • (ア)公務員の給料引き上げ
    • 公務員の給料を、2週間につき25ドル(月額50ドル)引き上げる旨規定した法律が成立した。また、同法律において公共機関間の転任が可能となった。

    • (イ)道路使用税引き上げ
    • 道路使用税の引き上げのため、各車種による税額が再規定された。徴収された歳入分は道路整備基金に充てられることとなる。

    • (ウ)州政府会計検査・特別検察官の任務規定
    • 州政府に対する会計検査が義務化された。また、特別検察官の役割が明確化され、同職の独立性を確保する一方、司法判断の一貫性を保つため、司法長官及び司法省と協力して責務を履行する趣旨の規定がなされた。

    • (エ)社会保障規定の改正
    • 一定の条件を満たす場合、配偶者が死去した場合に受け取る手当以外にも退職手当等別種の手当の受取りが可能となるよう社会保障規定が改正された。また、月額基本手当の最低額が50ドル引き上げられ、148ドルとなった。これら改定を受け、定年を迎える年齢を現在の60歳から、2015年に62歳、2020年に63歳とする等社会保障基金の財源確保のための方策を規定する法律も成立した。

    • (オ)農・養殖業への貸付金利規定
    • パラオ開発銀行が農業・養殖業従事者に対し、2万ドルを上限とした小額貸付を、3パーセントの低金利で行うことを義務化する法律が成立した。

    • (カ)労働局の移転
    • 外国人労働者雇用をより体系化するため、労働局が天然資源・環境・観光省から司法省に移転することが定められた。同法律では、外国人労働者の転職に関する規定も改定され、雇用主が雇用契約期間中にパラオを永久に離れ、労働局により雇用が放棄されたと認められた場合には転職が可能となった。

    • インターネット環境改善に向けた施策
    • レメンゲサウ大統領は国内のインターネット環境を改善するために、「高速ブロードバンドインターネットタスクフォース」を設立した。同タスクフォースは、現在のインターネットインフラの評価、光ケーブル採用の検討や競争市場確立に向けた法体制の見直し等を行う。一方、パラオ通信公社(PNCC)は、ミクロネシア・テレコム社とともに、最先端衛星技術を安価で提供する通信会社「O3Bネットワークス」と契約を行った旨発表した。

    • ボーファ復興支援担当変更
    • レメンゲサウ大統領は、台風ボーファ復興支援担当を副大統領の下にある国家災害委員会からパラオ住宅公団に変更する行政命令を発令した。

    • 暴力犯罪防止に向けた取り組み
    • 8日、連続して発生している傷害事件を受けて、パブリックフォーラムが開催され、大統領や大酋長、司法大臣、公安局長、司法長官、その他各関連団体・省庁から犯罪防止のための提言がなされた。また、26日には具体的な行動計画が大統領等により採択され、実現に向けてコミュニティ・タスクフォースが設立された。

    • 特別検察官任命否決
    • レメンゲサウ大統領より特別検察官に指名されていたダン・ドーフマン氏の承認決議が上院にて二度行われたが、いずれも否決された。「レ」大統領はこの結果に異議を唱えており、「ド」氏を再指名する意向を示している。


  2. パラオ外政
    • 米国との乗船協定締結
    • 15日、パラオ・米国間の乗船協定の署名が行われた。同協定は、海上監視活動の強化を目的としており、2008年に締結されたパラオ法執行官の米国沿岸警備隊船舶への乗船協定が強化されるかたちとなった。具体的には、パラオの法執行官の米国法執行船舶及び航空機への乗り入れが可能となり、またパラオ法執行官が同乗しない場合にも、不審船に対する乗船・検査など、米国側に一定の法執行活動を委任できることとなった。

    • サイパン領事館開館
    • パラオの在サイパン領事館が名誉領事のもと4年振りに開館することとなった。同館は2009年をもって財政難により閉館されていたが、2013年度予算にて1万5千ドル計上されたことにより再稼動が可能となった。

    • ベトナム大使パラオ訪問
    • ベトナムのフィリピン及びパラオ大使を兼任するグェン・ヴ・トゥ氏がパラオを訪れ、16日、パラオ珊瑚礁センター内にある水族館等を視察した。

    • レメンゲサウ大統領のPIF総会出席
    • レメンゲサウ大統領は、9月3日から6日にかけてマーシャル諸島共和国にて開催されるPIF総会に出席する。パラオ代表団は、ジュエル長官率いる米国内務省関係者とコンパクト協定に関する協議も行う予定としている。

◆経済

    • 大陸棚日本リースに関する下院決議
    • 7月末、パラオ大陸棚の日本へのリースに関する両院決議案が下院にて採択された。同決議案は大統領及び大陸棚問題を担当する領域・境界タスクフォースに対し、パラオ大陸棚の日本へのリースの可能性につき協議・調査を行うよう求めており、現在上院で審議されている。

    • 2014年度予算議会通過
    • 29日、総額6938万2100ドルの2014年度通常予算が議会を通過した。同予算案は8月上旬に大統領より総額6819万7600ドルで提出されていたもので、それに対して上院が州政府交付金等に計百万ドル以上の増額を主張、下院が各種増税及び予算減額を主張し、両院協議会で6日間にわたる協議を経て合意に達した。後日大統領の署名をもって成立する見込み。なお、パラオの会計年度は10月1日開始であるが、通常予算が会計年度開始前に承認されたことは近年ほとんどなく、両院協議会に上下院議長を含む議会の有力者が参加したことが迅速な合意に達した要因と思われる。

    • 観光客数の減少
    • 2013年の年初から6月までにパラオを訪れた観光客の総数は52,174人であり、昨年同期比に比べ9.18%減少した。内、日本人は17,196人(前年同期比6.52%減)、台湾人は12,185人(同37.97%減)、韓国人は8,066人(同9.76%減)であった。他方、中国本土からの観光客は4,770人(同199.62%増)と大幅に増加した。

    • 中国投資家による大規模ホテルの建設計画
    • 9月2日付ティア・ベラウ紙によれば、中国投資家により、全210室大規模ホテル「パラオ・パシフィック・スター・ホテル」の建設が計画されており、来年3月の開業を予定している由。

◆その他

    • 日本人観光客傷害事件
    • 12日、当地を訪れていた日本人観光客が宿泊先のホテルにて強盗・傷害の被害を受けた。犯人のパラオ人2名はコロール監獄の囚人であることが判明し、脱獄して本事件を起こした後、監獄に戻ったところを再逮捕されている。また、16日にはベルズ司法大臣や上院・下院議員より被害者の観光客に対し公式な謝罪があった。なお、この事件を受け、レメンゲサウ大統領により刑務所移転を推進するためのタスクフォースが設立されている。                          

    • 生活習慣病の研究開始
    • パラオにおける生活習慣病に関し、大阪大学・名古屋大学とパラオ保健省、パラオ・リソース・インスティチュート及びパラオ・コミュニティ・カレッジの合同研究が開始された。同研究は、パラオにおける生活習慣病抑制促進を主題としており、研究結果は記事、学問雑誌やレポートにおいて公表される予定となっている。                          

    • IAEAレビュー会合開催
    • 12日から16日にかけて、国際原子力機関(IAEA)主催のプロジェクトレビュー会合(RAS7021)が当地にて開催された。本会合は、「アジア太平洋地域における福島放射線放出の影響に関する海洋ベンチマーク研究」をテーマとした地域プロジェクトに関するもので、日本を含む21カ国及びIAEAから代表者が集い、自国・機関の研究成果を発表した。                          

    • 中国人偽造容疑で起訴
    • 中国人2名が、レメンゲサウ大統領及びロー司法長官の署名を偽造したとして起訴された。同2名はパラオにおける新会社設立を計画する中で、必要書類作成のため署名を偽造したとしている。