パラオ情勢(2013年7月)
2013年8月7日
※この月報は、パラオ国内の新聞やテレビ報道をもとに、在パラオ日本国大使館が作成しています。
◆政治
- パラオ内政
- 官房長官の交代
- 国務大臣、国連大使、駐日大使の就任
- 特別検察官の指名
- 2013年度補正予算成立
- タバコ税法案・公務員倫理規定改正法案成立
- 2014年度予算法案の提出
- 新PPUCの運営開始
- パラオ外政
- 第13回ミクロネシア大統領サミット開催
- 大統領の米国シアトル訪問
- 在パラオ米国大使の任期終了
- フィリピン名誉領事館の開設
8日、レメンゲサウ大統領よりセシリール・エルデベエル氏が官房長官に任命され、エルブエル・サダン氏に代わり同ポストに就任した(官房長官は上院の承認は不要)。「エ」氏は今年1月に財務大臣に指名されたが、4度の投票を経ても上院の3分の2以上の承認が得られず、その後4月に「サ」氏が指名・承認され官房長官と財務大臣を兼任していた。
16日、ビリー・クアルテイ氏の国務大臣就任及びカレブ・オットー氏の国連大使就任が上院にて承認された。「ク」氏は、今月始めにレメンゲサウ大統領より国務大臣に指名され、今後は本年3月より務めてきたコンパクト協定担当官と国務大臣を兼任することとなる。一方、「オ」氏は4月に大統領より国連大使に指名されて以来、上院の承認待ちとなっていた。31日には、両氏及び5月に上院より承認を得ていたフランシス・マツタロウ次期駐日大使の合同就任式が行われ、当館から貞岡大使が出席した。
2日、レメンゲサウ大統領はダン・ドーフマン氏(米国人)を特別検察官に指名した。就任には上院の3分の2の承認を得る必要があるが、「ド」氏は、米国にて15年以上にわたり開業弁護士として活躍してきた経歴がある一方、刑事訴追分野の経験に欠ける点を批判する声もある。なお、特別検察官は、2010年5月に前任者が辞任して以来、前トリビオン政権においても上院の承認が得られず、3年以上空席となっている。
31日、2013年度の補正予算として、261万5000ドルの追加予算が大統領の署名をもって成立した。同補正予算案は、今月初旬に大統領より提出されていたもので、上下院にて審議される中で約5万ドル増額された一方、大統領からは、政府の社会保障負担利子支払いのための予算が承認されなかったことに対し懸念が示された。なお、総額のうち100万ドルは水道システム補修のために計上されており、その他項目にはウイグル人のための住居手当(3万ドル)も含まれている。
2013年度補正予算案と併せて、タバコ税に関する法案、及び公務員倫理規定改正法案が上下院を通過し、大統領の署名を経て成立した。前者は、タバコ輸入製品に1箱あたり2ドルの増税を実施するもので、2014年には3ドル、2015年には5ドル増税する旨規定している一方、後者は、公務員(国会・地方議員を含む)に課せられている倫理委員会への資産報告義務に関し、伝統的酋長が選挙を経ずに公務に就いている場合は対象外とする旨定めている。
レメンゲサウ大統領は、パラオ国会に総額6819万7600ドルの2014年度予算案を提出した。2013年度予算と比較すると3%少ない額になっており、行政府予算に約3430万ドル、立法府予算に約220万ドル、司法府予算に約420万ドル、州政府交付金に約520万ドル、教育支援に約440万ドル、病院信託基金に約260万ドル、パラオ保護区ネットワーク基金に約450万ドルが計上されている。
6月に成立したパラオ電力公社(PPUC)・パラオ上下水道公社(PWSC)合併法に基づき、大統領令が公布され、新PPUCの運営開始を命じた。一方、レメンゲサウ大統領より指名された同社の役員7名のうち3名については上院の承認が得られなかったため、4名の役員による始動となり、フリッツ・コシバ大統領特別補佐官が暫定的に役員会会長を務めることとなった(8月に入り新たに1名が承認されている)。
10日~12日にわたり、当地にて第13回ミクロネシア大統領サミットが開催され、ミクロネシア連邦及びマーシャル諸島共和国より代表団が来訪した。10日の開会式では、レメンゲサウ大統領より本年のサミットの課題として気候変動、環境保護、海底ケーブル及び海上・航空交通が挙げられ、最終日には三国の大統領によりコミュニケが採択された。
レメンゲサウ大統領は、米国在住のパラオ人総勢500~600名との交流のため、25日から29日にかけてシアトルを訪れた。なお、シアトル訪問前に予定されていた台湾への公式訪問は、台湾における台風被害のため延期された。
2010年9月より初代駐パラオ米国大使として当地に赴任していたヘレン・リードロウ氏が今月離任した。これを受け、パラオ議会では「リ」氏に謝意を示す両院決議案が採択された。
15日より、フィリピン名誉領事館が開館し、エリック・ウィップス名誉領事のもと、書類認証等の業務が開始された(当館注:フィリピンは昨年7月に在パラオ大使館を閉鎖しており、今回領事業務の一部を再開するかたちとなった)。
◆経済
- トランスアジア航空の就航開始
6日より、トランスアジア航空による台湾・パラオ間の直行便の運航が開始された。島嶼国観光の人気が高まっていることを主な理由としており、週2便(水曜・土曜)の運航を行っている。なお、既に同区間にて週4便運航中のチャイナエアラインは、9月より日曜便も開始し、週5便とする計画を発表している。
◆その他
- 傷害事件の多発
12日から21日にかけて、複数の傷害事件が発生した。12日及び14日には同一犯による刃物を使用した傷害事件がコロール州にて発生したほか、20日・21日の週末にかけては、アイライ州及びコロール州にて計3件の傷害殺人事件が発生した。このうち20日に発生した事件では、被害者のパラオ人1名が水中銃で腹部を撃たれ死亡しており、21日の傷害事件においても、エアガンが使用されており、被害者は重傷を負っている。また、31日、レメンゲサウ大統領は緊急会議を開き、犯罪防止対策を議論するためのパブリック・フォーラムを8月8日に開催することを決定した。
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