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パラオ情勢(2013年6月)

2013年7月4日

※この月報は、パラオ国内の新聞やテレビ報道をもとに、在パラオ日本国大使館が作成しています。

◆政治

  1. パラオ内政
    • 大統領による各法案署名
    • 6日、レメンゲサウ大統領は、既に上下院を通過していた法案の署名を行い、2013年度予算案、パラオ電力公社・パラオ上下水道公社合併法及びタバコ規制施行法が成立した。このうち、タバコ規制施行法は、前政権時に成立した「新タバコ規制法」施行に関する詳細を規定しており、タバコ販売・製造・輸出入等に必須となる許可証の種類・取り扱い方法等が明記されている。 

    • バウレス上院副議長に実刑判決
    • 10日、昨年暴行罪で90日の実刑判決を受けていたバウレス上院副議長は、同判決仮釈放期間中の暴行事件のため、新たに30日の実刑判決を受けた。「バ」議員は、恩赦を求めており、現在は大統領より一時的執行延期が認められ、収容が見送られている。

    • 台風ボーファ被害補償金問題
    • 昨年12月にパラオを通過した台風ボーファによって被害を受けた住居に対する政府補償金につき、一部市民の本宅に対する補償が未だなされていない中、複数の政府高官・議員が別宅に対する補償金を受給していたことが明らかになり、批判を招いている。これを受け、レメンゲサウ大統領は、受給者であった副大統領及びサダン官房長官兼財務大臣に対し、補償金の自発的返還を促した。


  2. パラオ外政
    • 国連小型武器条約署名
    • 今月初め、パラオはツバルとともに、国連小型武器条約に署名し、太平洋地域からは最初の署名国となった。同条約は、武器貿易交渉の際に人権問題について考慮することを義務付けており、小型武器流入による国内情勢不安定化を防ぐことが期待されている。

    • レメンゲサウ大統領の訪米
    • レメンゲサウ大統領は9日から14日までコンパクト協定改訂案の米国議会における承認促進のため、米国を訪問した。クアルティコンパクト協定担当官及びサクマ報道長官等が随行し、バーンズ国務副長官やジュエル内務省長官、また多数の上下院議員と面会し、同改定案成立に向けた協議を行った。「レ」大統領は、帰国後の記者会見において、「バ」副長官をはじめ米国関係者からの同改定案承認に向けた支援に励まされており、最大の課題となっているコンパクト協定履行のための財源確保を実現することで米国と一致した旨述べている。また、「レ」大統領一行は、米国側からの招待を受けてアーリントン国立墓地を訪問しており、硫黄島記念碑において、任務中に亡くなった米国及びパラオ国民に向け献花を行った。なお、27日、米国上院議会にて、訪米中に面会したロン・ワイデン議員により同改定案承認を求める決議案が提出されている。

    • レメンゲサウ大統領のモナコ訪問
    • レメンゲサウ大統領は、21日から24日にかけてモナコ公国を公式訪問し、今年3月にパラオを訪問したアルベール公と面会した他、ブルー・イニシアティブのイベントに出席し、環境問題に関する基調演説を行った。

    • 厚生労働省遺骨調査派遣団のパラオ訪問
    • 日本の厚生労働省による遺骨調査派遣団が、18日から26日にわたりパラオを訪れ、ペリリュー島にて遺骨の調査を行った。また、昨年12月の台風ボーファの被害を受けた西太平洋戦没者の碑・平和記念公園の被害状況調査も併せて行われた。

    • サダン官房長官の環境省主催国際会議出席
    • サダン官房長官は、29日・30日に沖縄にて行われた環境省主催「地球温暖化防止とサンゴ礁保全に関する国際会議」に出席した。パラオ環境保護協会事務局長を務める「サ」官房長官は、29日、島嶼国における地球温暖化やサンゴ礁保護というテーマのパネルディスカッションに参加し、環境問題について議論した。

    • 中国との外交関係樹立に関する決議案提出
    • 今月、バウレス上院副議長により、中国との外交関係樹立を大統領に求める両院決議案が提出された。同決議案は、パラオと中国が国際的関心事項を共有していることや国際社会における中国の高い影響力等を根拠として外交関係樹立を主張している(当館注:同趣旨決議案は過去にも数度提出されているが、いずれも未成立)。

◆経済

    • パラオ・エアウェイの就航停止
    • パラオと台湾・香港を結ぶパラオ・エアウェイが同区間の就航停止を発表した。同区間は昨年5月より就航していたが、今年3月から減便され、4月最後の2便がキャンセルされて以降、5月は就航見合わせとなっていた。就航停止の理由としては、他の航空会社から航空機の借り上げができなかったことが挙げられており、現時点で就航再開の予定はないとしている。

    • 観光客数の減少
    • 2013年の年初から5月までにパラオを訪れた観光客の総数は45,265人であり、昨年同期比に比べ5.34%減少した。内、日本人は15,564人(前年同期比4.25%減)、台湾人は9,756人(同35.14%減)、韓国人は6,883人(同4.63%減)であった。他方、中国本土からの観光客は4.339人(同198.42%増)と、先月と同様に大幅に増加した。なお、就航見合わせとなっていたJALチャーター便は7月19日より就航再開予定となっている。

◆その他

    • 名古屋大学マルチパラメータレーダの設置
    • 先月30日、今年3月にガラロン州に設置された名古屋大学の気象観測用マルチパラメータレーダの開所式が行われ、ガラロン州知事、同州下院議員、ナカムラ元大統領、安沢参事官等約40名が参加した。

    • 米CAT車の破損事件
    • 9日早朝、米CAT(Civic Action Teams)が駐在するアイライ州カトゥキャンプにおいて、同チーム所有車4台が破損されているのが発見された。車両は窓ガラスやフロントガラス、タイヤ等が破損しており、同キャンプは一時的に閉鎖された。

    • ヤップホームカミングフェスティバル開催
    • 15日、ヤップにて、パラオ人を対象にしたホームカミングフェスティバルが開催された。同フェスティバルは、長年に渡るパラオ・ヤップ間の友好関係をたたえるものであり、ギボンズ南部大酋長、ニラクルソン裁判長、 アナスタシオ下院議長に加え、元ヤップ居住者や観光客を含めた69名のパラオ人が出席した。パラオ・ヤップ間の交流は数百年前にさかのぼり、過去100年間でも、特に米国統治時代の1950年代から1980年代にかけて、数百名のパラオ人がヤップに居住していた歴史がある。

    • 国内オリンピック委員会年間スポーツ選手表彰式
    • 22日、パラオ国内オリンピック委員会主催にて年間スポーツ選手表彰式が行われた。当館からも多くの館員が出席し、貞岡大使よりテメニル社会文化大臣や同委員会会長を務めるキョウタ下院議員に2020年東京五輪招致の公式ピンバッジを手交したところ、開会の挨拶にて、「キ」会長から東京オリンピックを支持する旨表明があった。

    • パラオにおける人身売買
    • 米国国務省が発表した「第13回人身売買報告書」によると、パラオは依然として上から2段階目である「Tier2」に属し、一定の努力は見られるものの、人身売買防止のための最低限の基準を一部満たしていないとされ、売春強要や強制労働の問題が指摘された。