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パラオ情勢(2013年5月)

2013年6月4日

※この月報は、パラオ国内の新聞やテレビ報道をもとに、在パラオ日本国大使館が作成しています。

◆政治

  1. パラオ内政
    • 政権交代による国家公務員の辞職・解雇
    • 当国では1月17日にレメンゲサウ新政権が発足して以来、政治任命でない国家公務員においても休職及び解雇処分が続いており、休職処分となっていたアレクサンダー社会文化省芸術文化局長が、4月30日解雇された。この他にも、レングルバイ公共基盤・産業・商業省公共事業局長は休職処分後辞職。オルケム天然資源・環境・観光省海洋資源局長は休職処分になる前に辞職。ヤノ司法省治安局長とオルゲリル副局長は休職処分後、辞職。メンロイ財務省歳入・関税・租税局長、ソアラブライ財務省国庫局財務会計課長は休職処分となっている。さらにオイロー財務省予算管理局長が2月に辞職、マサヨス財務省人事局長が新政権発足前に辞職している。なお、国務大臣及び教育大臣は依然空席。 

    • 国外送金に対する課税措置
    • 4月30日、国外送金に対する課税法案が成立した。これに伴い、10月以降パラオ人を除く外国人が国外送金する際に4%の税が課せられることとなる。罰金は最高500米ドル。例外として、パラオ政府やその関係機関による送金、米国連邦預金保険公社の規則に沿って行われる送金、米国郵便制度を通じた送金、パラオ国内で利用される物やサービスを入手するための送金には、税金が免除される。パラオには4000人を越すフィリピン人や、バングラデシュ人など多くの外国人労働者が働いており、今回の措置は外国人労働者が国外送金し、資金が国外に大量に流出している現状を改善することを目的としている。パラオ商工会議所や、フィリピン人、バングラディシュ人のコミュニティーは反対を表明している。

    • 各種委員会の設立
    • (ア)海洋保護区検討委員会の設置:レメンゲサウ大統領は17日の大統領令で、パラオEEZでの商業漁業全面禁止の実現可能性を検討する委員会の設置を発表した。メンバーは、天然資源・環境・観光大臣、イデオン同省特別顧問、同省海洋漁業管理局長、自然環境保護団体、ベラウ観光協会、パラオ商工会議所の関係者で構成される。
      (イ)不発弾処理基準委員会の設置:レメンゲサウ大統領は14日に大統領令で、国内における不発弾処理の基準を確定するための委員会を設置することを発表した。同委員会は国連の国際地雷対策基準や、パラオが締約国となっているその他の条約に沿い、安全かつ環境や文化に配慮した不発弾処理の基準を制定する。委員会構成員は、社会文化大臣、国務大臣、公共基盤・産業・商業大臣、天然資源・環境・観光大臣、司法大臣、コロール州知事、ペリリュー州知事、アイメリーク州知事、知事連合、環境保護委員会となっている。
      (ウ)パラオ・ユネスコ委員会の設置:レメンゲサウ大統領は17日の大統領令で、機能不全に陥っていたパラオ・ユネスコ委員会を新たに設置し、ユネスコ憲章に則った活動を行うことを発表した。

    • 2013年度予算案の上下両院承認
    • 2012年10月1日以降、2013年度予算(期間2012年10月1日ー2013年9月30日)が成立するまで、2012年度予算の額に基づき支出が継続されてきたが、5月24日、上下両院の一部議員からなる予算審議会議は合意に達し、大統領案を下回る総額6505万600ドルの予算案が上下両院の承認を得た。予算案は大統領の署名を経て成立する見通し。予算案では、大臣が未だに任命されていない教育省、国務省の予算が削減された。内訳では、行政府予算3752万2500ドル、立法府予算417万ドル、司法府予算220万ドル、各州への配付金516万3600ドル、台風24号被害復興費用500万ドル、パラオ保護区ネットワーク基金400万ドル、生活手当130万ドルなどが計上された。

    • パラオ電力公社・パラオ上下水道公社合併法案の上下両院通過
    • パラオ電力公社(PPUC)と、パラオ上下水道公社(PWSC)を合併し、役員会、請求・会計システム、顧客サービスなどを共有することにより、年間で最大40万ドルの経費の削減を目指す法案が上下両院を通過した。同法案は大統領の署名後に成立する。


  2. パラオ外政
    • レメンゲサウ大統領のハワイ訪問
    • レメンゲサウ大統領は5月7日から15日までハワイを訪問し、米太平洋軍の高官と会談を行った。

    • レメンゲサウ大統領のマーシャル諸島訪問
    • レメンゲサウ大統領は環境保護区ネットワークの会議に出席するため5月末にマーシャル諸島を訪問した。

    • ハワイ州名誉総領事の任命
    • レメンゲサウ大統領は6月1日から5日ハワイを訪問し、同州のグレン・ワカイ上院議員を名誉総領事に任命した。同上院議員はパラオ人移民のハワイ州への経済的影響などにおいてパラオを擁護し、その功績が評価された。

    • 台湾よりの350万ドル経済協力
    • 24日、在パラオ台湾大使よりサダン財務大臣に対し、2013年度経済協力として356万ドルの贈呈式が行われた。うち21万ドルは農業支援プロジェクト、35万ドルは幼魚養殖プロジェクトに当てられ、残りは財政支援及び台風ボーファ被害復興支援等に当てられる。

◆経済

    • 観光客数の減少
    • 2013年の年初から4月までにパラオを訪れた観光客の総数は39,386人であった(前年同期間総数は40,049人、特に4月の観光客数は昨年同月比に比べ10.05%減少した)。内、日本人は14,013人(前年同月比4.88%減)、台湾人は7,969人(同50.99%減)、韓国人は5,704人(同4.63%減)であった。中国本土からの客は引き続き急増しており、4,154人(同168.98%増)であった。台湾人観光客の大幅な減少が、全体数を大きく減らす結果となった。

◆その他

    • ベタニア高校体育館、アイライ小学校体育館引き渡し式
    • 我が国の草の根無償資金協力によるベタニア高校への体育館の引き渡し式が17日に、アイライ小学校への体育館の引き渡し式が22日に行われ、レメンゲサウ大統領、貞岡大使などが出席した。

    • メモリアル・デーの廃止
    • 2011年にトリビオン大統領(当時)が制定した、パラオを「植民統治」から解放した米国の犠牲と貢献に感謝し、米軍に加わり命を落としたパラオ人も含む戦没者を追悼する「メモリアル・デー」(5月の最終月曜日)について、レメンゲサウ大統領は17日、国民の休日が多いと政府職員への特別手当支払いのため経費がかさむこと等を理由に廃止する大統領令を出した。なお、太平洋戦争中、日米の激戦地であったペリリュー州、アンガウル州では1980年代に同趣旨の規定が成立し、実施されている。

    • 台湾人実業家の起訴
    • 当国でマッサージ店と長期滞在者用ホテルを経営する台湾人実業家とパラオ人ビジネス・パートナー、従業員を含む関係者が22日、人身売買、売春、マネーロンダリングなどの容疑で刑事訴追された。