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パラオ情勢(2013年4月)

2013年5月10日

※この月報は、パラオ国内の新聞やテレビ報道をもとに、在パラオ日本国大使館が作成しています。

◆政治

  1. パラオ内政
    • 大統領年次報告
    • 30日レメンゲサウ大統領は、パラオ上院において今年1月に就任して以来初めてとなる議会に対する年次報告を行った(上院の少数派議員3名は欠席)。報告の中で大統領は、懸案となっている上下水道システムの改善や、我が国による5メガワットの発電機2台の供与、各国駐在大使の人事などに言及した。 

    • ヤノ治安局長の辞任、新局長の就任
    • 今年1月から、治安局(警察)の規律改善を目的とする評価を行うため休職となっていたヤノ司法省治安局長が、今月辞表を提出した。15日には、イスマエル・アグオン金融犯罪捜査副部長が新治安局長に就任した。アグオン氏は、北マリアナ諸島の警察学校を卒業、同地域で警察官を務めた経歴を持ち、同時にパラオ柔道連盟の代表を務める柔道家でもある。

    • 2013年度予算案の提出
    • レメンゲサウ大統領は、パラオ国会に総額6553万6千ドルの予算案を提出した。内、行政府予算として3914万2000ドル、立法府予算として393万4000ドル、司法府の予算として200万ドルを計上している。また予算案に関連し、レメンゲサウ大統領は、アジア開発銀行からの借款及び環境税による収入の半分を上下水道システム改善に充てる計画を発表した。

    • 閣僚の任命、承認
    • 12日、上院でエルデベエル氏の財務大臣承認、タベルアル氏の教育大臣承認について、4度目の投票が行われたが、賛成8票、反対5票で賛成が3分の2(9票)に達しなかったため承認が再び見送られた。これを受け、レメンゲサウ大統領は、サダン官房長官(前回のレメンゲサウ政権下で財務大臣)を財務大臣に、チャールズ・オビアン氏を公共基盤・産業・商業大臣に任命し、両閣僚の人事は29日に上院で満場一致で承認された(少数派議員2名は欠席)。両大臣は30日、大統領の年次報告の場で宣誓を行った。 

    • 会計検査官の任命
    • 17日、レメンゲサウ大統領は、サトルニノ・テウィッド氏を会計検査官に指名した。テウィッド氏は1999年から2005年まで会計検査官、2005年から現在まで会計検査官代理を歴任。同氏の人事については、上院、下院共に満場一致で承認が得られ、30日に宣誓を行った。

    • 首都郵便局の閉鎖
    • 19日、パラオに2カ所ある郵便局の内、首都マルキョクの行政府建物内に入っている郵便局が閉鎖された。同郵便局は2011年12月に開設されたが、経費が歳入を大幅に上回っており、経費削減のために閉鎖が決定された。この結果、パラオの郵便局は、商業の中心地であり大部分の人口が集中するコロール州1カ所のみとなった。 


  2. パラオ外政
    • 駐日本大使、国連大使の任命
    • 25日、レメンゲサウ大統領は、フランシス・マツタロウ氏を駐日本大使に任命した。また、30日の施政方針演説の中で、カレブ・オットー氏を国連大使に任命した。両大使の人事については上院の3分の2以上の承認が必要であるが、マツタロウ氏については5月9日、上院で出席上院議員11名の満場一致で承認された。

    • コンパクト協定合同委員会会議
    • コンパクト協定により定められた年1回の米パラオ共同委員会会議が、18日にパラオで開催され、クアルティ・コンパクト協定改訂担当官、リード・ロー米国大使、ティルマン・ペイン米海軍少将が出席した。議題として、レメンゲサウ大統領が先月提案したパラオEEZでの商業漁業全面禁止や、米CATチームのパラオでの活動、コンパクト協定改訂などが扱われた。また、北朝鮮の脅威とグアム米軍基地の増強に注目が集まる中、会議後の記者会見では北朝鮮に関する質問は「国家安全保障上の理由」で扱われなかったものの、ペイン海軍少将はコンパクト協定に則り米国はパラオの防衛の義務を負っており、米軍はこれからもパラオで定期的に訓練は行っていくこと等を説明した。

◆経済

    • アイメリーク発電所鍬入れ式の実施
    • 7日、アイメリーク州にあるアイメリーク発電所において、我が国の無償資金協力案件「首都圏電力供給能力向上計画」の鍬入れ式を実施し、式典にはレメンゲサウ大統領、貞岡大使、ベル副大統領、伝統酋長、国会議員などが出席した。本案件により、同発電所に5メガワットの発電機2台が供与される。

    • 最低賃金法・定年退職法の成立
    • 30日、レメンゲサウ大統領は、長年の懸案となっていた最低賃金法案に署名、同法が成立した。これにより、最低賃金は今年10月1日以降、現行の時給2.50米ドルに0.25米ドル上乗せされ、3.50米ドルに達するまで毎年0.25米ドルずつ増額される。最低賃金の値上げは、農業従事者、家事従事者、学生、20歳以下の労働者、NGO職員を除き、外国人労働者を含む全ての労働者に適用される。また同日「レ」大統領は定年退職法にも署名し、30年以上勤務した者は定年退職となるとの条項を取り除き、2013年12月31日以降、60歳に達していない者は年金を受け取る資格がないことが定められた。

    • 観光客数
    • 2013年の年初から3月までにパラオを訪れた観光客の総数は31,828人であり、昨年同月比に比べ0.57%増加した。内、日本人は11,613人(前年同期比0.58%減)、台湾人は6,588人(同28.06%減)、韓国人は4,531(同6.87%減)であった。他方、中国本土からの客は3,495人(同223.01%増)と、先月と同様に大幅に増加した。3月まで週3便だったデルタ航空(日本直行便)は、4月より週2便で運航している。

    • パラオ・エアウェイの欠航
    • 昨年の5月に就航し、パラオと台湾・香港間を結ぶパラオ・エアウェイの4月24日と29日の便がキャンセルされた。パラオ・エアウェイは就航当初週5便だったが、今年3月の最終週から週3便に減便され、4月初めから週1便になっていた。ロックアイランドとジェリーフィッシュレイクの利用許可証の大幅値上げにより、台湾の旅行会社がパラオを敬遠しているとの指摘も出ている。

    • 人口及び労働人口の減少
    • 間もなく公表される予定の「2012年度経済統計」の草案によると、2012年のパラオの人口(含外国人)は1万7445人で、2005年の1万9907人(含外国人)に比べ12.4%減少した。内、パラオ人の人口は2005年に1万4438人、2012年に1万2814人で11.2%減少。パラオ人人口減少の主な要因としては、米国とのコンパクト協定により可能となっている、米軍への就職、米国での就学、就職が挙げられる。外国人人口の減少の要因としては、2005年当時、韓国企業「大宇」が、コンパクトロード建設のため最大で2000名以上の外国人労働者(主に中国人、フィリピン人)をパラオに連れてきていたことが挙げられる。また同草案によると、パラオの労働力人口は2005年の1万203人から、2012年には9480人に減少した。2012年の公共部門の労働者は3127人、民間部門の労働者は5072人であり、失業者は391人であった。自営業者は2005年の529人から、2012年には712人に増加した。

◆その他

    • パラオ高校のガーナ人教師に対する暴行事件
    • 3月25日、パラオ高校2年の男子生徒が授業中に、ガーナ国籍の男性教師の顔に向けて催涙スプレーを噴射し、教師が一時的に失明し病院で治療を受ける事件が発生した。加害者の男子生徒は退学処分となった。被害者の男性教師は、考えられる原因として人種差別か恨みを挙げている。当国では昨年にも、パラオ・ミッション・アカデミー高校校長(黒人女性)の車に人種差別的な落書きをした生徒が退学となる事件が発生している。

    • パラオ人傷害事件
    • 4月21日深夜、コロール市内のサンセットパーク・バーにおいてパラオ人同士の喧嘩が発生しパラオ人1名が34カ所ナイフで刺され、病院に運ばれた。現場にいたパラオ人1名が警察に拘束されたがその後釈され、現在警察は捜査を継続している。