パラオ情勢(2013年3月)
2013年4月3日
※この月報は、パラオ国内の新聞やテレビ報道をもとに、在パラオ日本国大使館が作成しています。
◆政治
- パラオ内政
- ニルマン保健大臣の就任
- 外国人登録料の払い戻し
- クアルティ氏のコンパクト協定改訂担当官就任
- 報道官、副報道官の就任
- パラオ外政
- アルベール2世モナコ公のパラオ訪問
上院で満場一致の承認(1名欠席)を受け、ニルマン氏が12日に保健大臣に就任した。大臣の就任は、司法大臣(ベル副大統領が兼任)、天然資源・環境・観光大臣、社会・文化大臣に次ぐ4人目。他方、レメンゲサウ政権にとって懸案となっているエルデベエル氏の財務大臣承認、タベルアル氏の教育大臣承認について、21日に上院で3度目となる投票が行われたが、両名とも賛成8票、反対5票で、賛成票が3分の2(9票)に達さず、今回も承認は得られなかった。
2010年8月、当時のトリビオン大統領はパラオ在住の外国人(米国人、ミクロネシア連邦国民、マーシャル諸島共和国国民を除く)に25米ドルの外国人登録料を課す制度を導入した。しかし登録期間中に、フィリピン女性ジャーナリストがこれを違憲とする裁判を起こし、2011年2月最高裁は同制度を違憲と判断した。既に外国人登録料を支払った外国人を対象とし、パラオ政府は今月週末に2回、弁護士への手数料5ドルを差し引いた20米ドルの払い戻しを行った。登録料を支払った外国人は約5000人といわれており、3月末の時点で約2000人が払い戻しを受けた。払い戻し手続きは、4月に再開される予定。
トリビオン前政権下でコンパクト協定改訂担当大使を務めていたコシバ大使の後任として、レメンゲサウ大統領は、クアルティ氏をコンパクト協定改訂担当官に任命した。同氏は、前回のレメンゲサウ政権下で官房長官とコンパクト協定改訂担当官を兼任していた。パラオは2010年9月にコンパクト改訂案に署名しているが、米国上院は2012年12月にコンパクト改訂案を否決しており、今後も米国議会での承認手続きに向けて、米国政府及び議会への働きかけを継続していく必要がある。
レメンゲサウ大統領は、ケオベル・サクマ氏を大統領府報道官に、ブレア・フィリップス氏を副報道官に任命した。フィリップス氏は副報道官就任前は、当国で唯一の民営テレビ局OTV(オセアニア・テレビ局)のニュース・キャスターを務めていた。
7日から17日にかけて、アルベール2世モナコ公がパラオを訪問し、11日に国会で演説を行い、パラオが環境保護の分野で様々なイニシアティブをとっていることを賞賛した。国会は、モナコ公に名誉市民の称号を授与した。2012年2月にトリビオン大統領(当時)がモナコを訪問した際には、両国は世界の海洋資源保護において共通の利益を追求することを宣言している。
◆経済
- アイメリーク発電所鍬入れ式の実施
- アルモノグイ州通信センター開所式
- パラオEEZでの商業漁業全面禁止法案の提出
- 2013年IMFによるスタッフ訪問報告
- 観光客数
7日、アイメリーク州にあるアイメリーク発電所において、我が国の無償資金協力案件「首都圏電力供給能力向上計画」の鍬入れ式を実施し、式典にはレメンゲサウ大統領、貞岡大使、ベル副大統領、伝統酋長、国会議員などが出席した。本案件により、同発電所に5メガワットの発電機2台が供与される。
アジア太平洋電気通信共同体(APT)の支援により建設されたアルモノグイ州通信センターの開所式が8日に行われた。
12日、パラオを訪問中のアルベール2世モナコ公を歓迎するスピーチにおいてレメンゲサウ大統領は、パラオEEZでの商業漁業を全面禁止する法律を制定する計画を発表した。本イニシアティブが実行されれば、パラオは世界で最初にEEZでの商業漁業を全面禁止した国となる。「レ」大統領は、パラオが商業漁業から得ている入漁料や税金は、大規模な漁業会社の収益に比べ微々たるものであると指摘しつつ、商業漁業禁止で失われる収入を補う新たな収入源として、本提案に賛成する環境保護団体などからの寄付金などが考えられると述べている。右法案は今後議会で検討されることになった。パラオは、2009年に世界に先駆けて「サメ保護区」を設置し、環境保護の分野で注目を集めた。
20日、3月中旬にパラオを訪問したIMFスタッフによるパラオの経済状況にかかる報告が発表された。報告によると、パラオの経済は、活発な観光業に牽引され好調であり、観光業や外国からの資金協力、食糧や燃料の輸入への過度な依存によるリスクはあるものの、目先の見通しは上向きである言える。財政状況も引き続き改善しているが、長期の財政的持続性を担保するには、中長期に亘る漸進的な調整が不可欠である。必要とされている財政強化を視野に入れた持続的成長には、民間セクター開発の促進が鍵である。
2013年の年初から2月までにパラオを訪れた観光客の総数は21,171人であり、昨年同月比に比べ2.61%減少した。内、日本人は7,219人(前年同期比3.68%減)、台湾人は4,891人(同27.69%減)、韓国人は3,112人(同15.94%減)であった。他方、中国本土からの客は2,447人(同186.53%増)と大幅に増加した。全体的な観光客数が減少していることに対して、パラオ観光局は、複数の航空会社がフライト数を減らしたことも理由として考えられ、今の段階では昨年6月からコロール州が実施しているロックアイランド及びジェリーフィッシュ・レイク利用許可証の値上げが直接の原因であると断定することはできず、今後の動向を観察する必要があるとの見解を発表した。
◆その他
- 受刑者の逃走及び再逮捕
- 琉球大学・パラオ国際サンゴ礁センター合意文書調印式
- 小学校訪問ワークショップの実施
フィリピン人殺害の罪で有罪判決を受け服役中のオシマ服役囚が21日朝、刑務所の壁をよじ登り脱走した。監視役の警官は逃亡にすぐ気づき追跡、同服役囚は間もなく捕らえられた。
14日、琉球大学において、同大学とパラオ国際サンゴ礁センターの間で「サンゴ礁島嶼系における気候変動による危機とその対策」プロジェクトの覚え書きが締結された。同プロジェクトは、地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS)の資金援助を受け実施され、パラオのサンゴ礁や沿岸生態系への気候変動の影響を調べ、自然科学と社会科学の知見を合わせた対策を提言する。
3月の第3週の「教育啓発週間」に合わせ、在外公館文化事業として当地の小学校4校を当館職員が訪問し、生徒計140名を対象に日本とパラオの歴史的つながり、日本の対パラオODAに関するプレゼンテーションを行った。
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