パラオ情勢(2012年12月)
2012年12月31日
※この月報は、パラオ国内の新聞やテレビ報道をもとに、在パラオ日本国大使館が作成しています。
◆政治
- パラオ内政
- 台風ボーファによる被害
- ペリリュー州知事選及び就任式
- パラオ外交
- 台風被害に対する我が国からの緊急援助
- 台風被害に対する各国からの支援
- 日本地雷処理を支援する会との贈与契約署名
- 国連におけるパラオの投票態度
12月3日、台風ボーファがパラオを通過した。台風により、アンガウル州、ペリリュー州、マルキョク州、ニワール州、ガラルド州の5州が特に大きな被害を受けた。右5州において189世帯841名(総人口2万人の4.2%)が被災した。また、被災地では上下水道や送電線、道路や桟橋などのインフラも大きな被害を受け、停電と断水が各地で起きた。こうした事態を受け、トリビオン大統領は12月4日に国家非常事態を宣言した。パラオが台風による大きな被害を受けたのは45年ぶりであるが、政府の呼びかけや住民の入念な準備により、死者は出なかった。他方で、昨年ユネスコ世界遺産に登録されたロックアイランドにおいてもサンゴの損傷や海の透明度の低下などの影響が出ている。台風ボーファは日本では台風24号と呼ばれ、日本とパラオの地理的な近さが示されている。
ペリリュー州知事選本選挙は12月4日に予定されていたものの台風ボーファの影響で延期され、12月18日に実施された。現職のウアウ知事は出馬せず、本選ではテミー・スムル元国務大臣とテリー・ニラインガス氏(ニラインガス公共基盤・商業・産業大臣の夫人)の一騎打ちとなり、スムル氏が326票、ニラインガス氏が202票を獲得、スムル氏が当選した。1月1日、ペリリュー州にて知事就任式が行われ、トリビオン大統領、レメンゲサウ次期大統領、ナカムラ元大統領(ペリリュー州酋長)、南部大酋長、ペリリュー州大酋長などが列席し、大使館からは貞岡大使が出席した。
12月17日、我が国の緊急援助物資(供与総額約500万円)の引渡し式がパラオ赤十字社物資倉庫で実施され、ポリタンク、プラスチックシート、毛布、浄水器がパラオ側に贈られた。引き渡し式にはパラオ側からマリウール副大統領、ヤノ国務大臣、テレイ台風被害復興委員長、アサヌマ・パラオ赤十字会長、日本側から大使館の安沢臨時代理大使(当時)、松井JICA支所長が出席した。
米国政府は10万米ドル、台湾政府は10万米ドルと4千米ドル相当のタロイモ、イスラエル政府は5万米ドル、韓国政府は5万米ドルの支援を表明した。
12月4日、「コロール州周辺海域における不発弾処理事業」に関し、日本大使館と日本地雷処理を支援する会(JMAS)が贈与契約を締結した。
11月29日、国連総会本会議においてパレスチナに「国家」としても国連オブザーバーの地位を与える内容の総会決議が賛成多数で採択された際、パラオはイスラエル、米国などと共に反対票を投じた。反対票を投じたのは9カ国のみであった。また、11月14日の国連総会本会議では、米国の対キューバ経済制裁終了の必要性に関する決議が採択されたが、この決議に反対したのは米国、イスラエル、パラオの3カ国のみであった。
◆経済
- 観光客数
パラオ観光局によると、今年1月から10月の観光客は98,817人で、昨年同期比で9.22%増加した。その内、台湾人が34,050人(前年同期比7.07%増)、日本人が32,470人(同2.54%増)、韓国人が15,625人(同24.95%増)であった。
◆その他
- 環境保全分野の新プロジェクトの内容に合意
- 天皇誕生日レセプションの実施
パラオ国際サンゴ礁センター(PICRC)とJICAは、「サンゴ礁島嶼系における気候変動による危機とその対策」詳細設計策定調査を終えプロジェクトの内容に合意した。このプロジェクトは、科学技術とODAの連携を通じて日本と開発途上国の研究機関が共同研究することで、課題解決に取り組む能力を強化することを目指した地球規模課題対応国際科学技術協力事業(SATREPS)の資金援助を受けたもの。PICRCと琉球大学は共同で、琉球大学が沖縄で培ってきた経験を基に、パラオのサンゴ礁や沿岸生態系への気候変動の影響を調べ、自然科学と社会科学の知見を合わせた対策を提言する。また、パラオ側の若手人材の育成へも力を入れる。同プロジェクトは、2013年4月から開始される予定。
12月6日、大使館は天皇誕生日レセプションを実施し、トリビオン大統領夫妻、マリウール副大統領、ベル次期副大統領夫妻、ヤノ国務大臣、南部大酋長、外交団、在留邦人など多数が出席した。
©Embassy of Japan in the Republic of Palau
P.O. Box 6050 Koror, Republic of Palau 96940