パラオ情勢(2012年10月)
2012年10月31日
※この月報は、パラオ国内の新聞やテレビ報道をもとに、在パラオ日本国大使館が作成しています。
◆政治
- パラオ内政
- 大統領・副大統領予備選挙の最終結果発表
- 11月6日の大統領・副大統領本選挙及び上下両院選挙に向けての動き
- 第一回陪審員裁判の終了
- パラオ外交
- 中国との外交関係樹立決議案の提出
- 米海兵隊機の不時着
10月3日、先月末に実施された大統領及び副大統領の予備選挙の最終結果が発表され、結果以下の通りとなった。いずれも上位2名が11月6日の本選挙に臨む。大統領予備選では1位と2位との間には1518票の大差がついたが、3位となったピエラントッツィ候補が後日トリビオン現大統領の支持に回ることを発表したため、本選挙の行方が注目される。
(ア)大統領予備選
1位 トミー・レメンゲサウ候補(前大統領) ・・・4618票
2位 ジョンソン・トリビオン候補(現大統領) ・・・3100票
3位 サンドラ・ピエラントッツィ候補(元副大統領)・・・1690票
(イ)副大統領予備選
1位 ケライ・マリウール候補(現副大統領兼財務大臣) ・・・2963票
2位 アンソニー・ベル候補(元下院議長) ・・・2851票
3位 スティーブンソン・クアルティ候補(現保健大臣) ・・・2556票
4位 ジャクソン・ニラインガス候補(現公共基盤・産業・商業大臣)・・・968票
11月6日の4年に一度の各種国政選挙の実施が迫る中、各候補の選挙運動が活発化している。パラオ国内では各種集会が開かれている他、街中にポスターが張り巡らされ、街頭で各候補支持者がプラカードを持って投票を呼びかけている。
9月2日から10月16日にかけて実施されたパラオにおいて初めての陪審員裁判が終了した。本件は、昨年6月にフィリピン人女性を惨殺した当時17歳の少年の罪を問うもので、陪審員による判決は第二級殺人となった。
今月、下院の2名の議員より、パラオ政府が中国との外交関係の樹立を検討するようトリビオン大統領に求める決議案が提出された。同様の法案はこれまでにも出されたことがあり、今回も成立の見通しは少ない。
10月6日、強襲揚陸艦ペリリュー号に搭載された海兵隊中型ヘリコプター小隊(Marine Medium Helicopter Squadron 3643)に所属するジェット機(AV-8Bハリアー)2機が、悪天候のためパラオに不時着した。二機は、西太平洋水域内を航行中であったペリリュー号より飛び立ち、飛行演習を実施していたが、激しい雷雨に巻き込まれた。ペリリュー号より連絡を受けた当地米大使館は、パラオ政府と協力し、2名のパイロットの宿舎とジェット機用燃料を手配した。
◆経済
- ADBによる上下水道整備追加ローンの議会否決
- パラオ国際船籍登録の開始
- グリーンフィー、ホテル客室税の増額
- PEC基金プロポーザルの承認
アジア開発銀行(ADB)がパラオの上下水道整備のために実施中の16百万ドル規模の有償資金協力に続いて、同分野に対し28.8百万ドルの追加的な有償資金協力がADBよりパラオ政府に提案されていたが、ADBとの契約合意のために必要なパラオ議会下院の承認が9月末の期日までに得られず、契約合意は翌年以降に持ち越されることとなった。パラオでは上下水道の不具合が相次いでおり、衛生状態の悪化に対する懸念から、本件の否決は国民から疑問の声が上がっている。
一年に及ぶパラオ国際船籍登録手続きの準備期間を経て、2隻の客船がパラオ船籍として初めてその登録を完了した。2隻は東南アジア地域を周航する豪華客船。3隻目の船は来年1月には登録を完了する予定で、その他12隻の船が現在登録手続きを行っている。本船籍登録制度の開始は、パラオ政府に追加的な歳入をもたらすとされている。
10月1日より、空港で徴収される1名15ドルのグリーンフィー(環境保護料)が30ドルに値上げされた。同時に、これまで10%に設定されていたホテル客室税及び船舶宿泊税が12%に値上げされた。
10月16日、ペリリュー州に太陽光発電を利用した海水淡水化装置を設置するパラオ政府のPEC基金へのプロポーザルがPIF事務局より承認を受け、実施が決定された。右プロジェクトは4百万米ドル相当で、飲み水の不足するペリリュー州の状況の改善が目的とされる。
◆その他
- 独立記念日式典
- 自衛隊機の訪問
- 日本財団小型監視艇引渡し式の開催
- PIF不発弾戦略会議の開催
- キズナ強化プロジェクトによる高校生の訪日
- アンガウル州へのセスナ便の開通
- 偽造紙幣の流通
10月1日、パラオは18回目の独立記念日を迎えた。パラオ以外でも、ハワイやグアム等多くのパラオ人移住者のいる地域では独立記念式典が開催され、トリビオン大統領他が出席した。
10月7日、自衛隊の輸送機(C-130H)2機がパラオ、マーシャル、ソロモンへの訓練飛行の一環としてパラオを訪れた。
10月12日、日本財団によるミクロネシア三国における海上保安体制の整備に関する支援として、パラオ政府に対し小型監視艇や通信設備が供与され、その引渡し式が実施された。式典にはトリビオン大統領や貞岡大使が出席した。
10月24日から26日にかけて、PIF主催の地域不発弾戦略会議がコロールにて開催され、各PIF加盟国の担当者の他、フセイン・ヨルダン王子等が出席した。
10月10日から22日にかけて、日本政府の招聘により21名のパラオ人高校生と1名の引率教師が訪日し、被災地の見学等を行った。
10月19日、パシフィック・ミッション・アビエーションが寄付したセスナ機を利用したコロールーアンガウル(南部離島州)間の空路が開通した。右セスナ機はアンガウル州だけでなく、ペリリュー州やその他の離島州への飛行にも利用される予定で、現在スケジュールや価格等を調整中である。
月末にかけて偽造の100米ドル紙幣が通常よりも多く出回っているとして、パラオ金融管理委員会が注意を呼びかけている。
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