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パラオ情勢(2012年7月)

2012年7月31日

※この月報は、パラオ国内の新聞やテレビ報道をもとに、在パラオ日本国大使館が作成しています。

◆政治

  1. パラオ内政
    • 2012年度補正予算の成立
    • パラオでは、2011年の政府による支出超過問題が未解決となっており、トリビオン大統領は2012年度の補正予算案に2011年度の支出超過を付帯条項として上乗せし、2012度補正予算の成立を盾に、2011年度支出超過の議会による承認を目指してきた。しかしこれに下院が強硬に反対したため補正予算審議は長期化し、政府機能の麻痺が危惧される事態となった。このトリビオン大統領のやり方には地元紙の社説などで異論が相次いだ。この結果、両院の議員からなる特別委員会が付帯条項を除いた補正予算案を承認し、大統領も署名、2012年度補正予算が成立するに至った。2011年度の支出超過分は2011年度の会計監査の結果を待ってから再審議されることとなった。

    • 国政選挙の動向
    • 当地では既に主要な道路の脇などに大統領、副大統領、両院議員への立候補者の看板が立ち並んでいる。大統領選に関しては、レメンゲサウ前大統領時代の台湾政府からの財政支援の内約4000万ドルの支出用途が不明であるとの指摘や、トリビオン大統領一族と石油会社の癒着の可能性などが地元紙で取り沙汰され、双方が反論を投稿するなどネガティブ・キャンペーンが激化している。

    • ディアス上院議員による著作権侵害
    • 当地でOTV(チャンネル23)を運営するローレム・プロダクション(米系)は、同局が政府のために制作した番組を、ディアス上院議員の所有するテレビ局MBTV(チャンネル26)が無許可で放送したと同上院議員を訴えており、2008年の一審では原告の訴えを却下する判決が下されていた。しかし今年6月29日、控訴審は一審の判決を覆し、ディアス上院議員による著作権侵害を認めた。なお、別件で有罪判決を受けた上院議員2名、レメンゲサウ前大統領(土地の売買問題)とバウレス上院議員(フィリピン人従業員への暴行)に関して議員資格を剥奪すべきとの指摘が一部上院議員から出されていたが、上院の全体委員会は上院の3分の2以上の決議なしには、議員資格停止や剥奪は行わないとの結論に達した。

  2. パラオ外交
    • 第12回ミクロネシア・サミットの開催
    • トリビオン大統領は4日から12日までマーシャル諸島を訪れ、第12回ミクロネシア・サミットに出席した。

    • フィリピン大使館の閉鎖
    • 当地のフィリピン大使館は、フィリピン政府による緊縮財政の一環として7月31日を以て閉鎖された。なお、人口約2万人のパラオにおけるフィリピン人人口は4000人強であり、雇用主との関係で問題が生じればフィリピン大使館が駆け込み寺となっていたため、今回の閉館に当たり在留フィリピン人の間では懸念が生じている。

◆経済

    • 観光客数
    • パラオ観光局によると、5月の観光客は台湾人3,064人、日本人2,039人、韓国人1,117人であった。日本人が利用した主要な航空会社は、ユナイテッド航空859人、デルタ航空747人、JAL349人であった。また、今年1月から5月の観光客数は47,819人で、昨年同時期と比べ16.78%増加した。その内、日本人が16,254人、台湾人が15,042人、韓国人が6,095人であった。

◆その他

    • ロックアイランドのユネスコ世界遺産登録
    • ロシアのサンクトペテルスブルグで開催された第36回世界遺産委員会において、パラオの「南ラグーンのロックアイランド」が、ユネスコ世界複合遺産に登録された。

    • JICAボランティア・パラオ派遣開始15周年記念式典
    • 6日、パラオに青年海外協力隊が派遣され始めてから15周年が経過したことを記念する式典が開催された。式典には、ヤノ国務大臣他が出席した。