パラオ情勢(2012年4月)
2012年4月30日
※この月報は、パラオ国内の新聞やテレビ報道をもとに、在パラオ日本国大使館が作成しています。
◆政治
- パラオ内政
- レメンゲサウ前大統領の大統領選出馬表明
- パラオ外交
- 中国漁船違法操業問題
- トリビオン大統領の訪米
- フィリピン大使館の閉鎖
21日、レメンゲサウ前大統領はコロールにて今年11月に行われる大統領選挙に出馬することを公式表明した。レメンゲサウ前大統領は既に6千人の支持者の署名を集めたと話している。出馬発表の場には約2千人の聴衆が集まった。トリビオン大統領に続き、二人目の大統領選挙への公式出馬表明となった。
3月末にパラオ北部カヤンゲル州沖にて違法操業を行っていた中国漁船がパラオ海洋警備当局に逮捕された。1名の中国漁船員は、パラオ当局が中国漁船を逮捕する最中に船外エンジンに向け発砲した流れ弾に被弾し死亡した。残り25名の船員は司法取引の結果、裁判所より各1,000米ドルの罰金(合計25,000米ドル)と17日の収監が言い渡され、4月2日から18日までパラオ警察局に拘留された後、18日に中国政府が手配したチャーター機に乗って本国送還された。本件に関連し、25名の中国漁船員の領事支援のため、在ミクロネシア中国大使館より中国人外交官2名がパラオを訪問した。また違法操業船の証拠写真を撮影するために民間セスナ機が当局の依頼を受け出動したが、米国人パイロット1名とパラオ人警察官2名を乗せたまま行方不明となり、米軍の支援等で懸命な捜索活動が行われたが、発見されないまま8日に捜索は終了した。
トリビオン大統領は米国との合同調整会議(Joint Committe Meeting: JCM)に参加するため、8日から13日にかけてハワイを訪問した。ヤノ国務大臣、ギボンズ司法大臣、カーク大統領顧問弁護士及びメトゥール大統領特別補佐官が同行した。また同時期にマリウール副大統領もマーシャル諸島へ出張していたため、その間はメトゥール上院議長が大統領職を代行した。
在パラオ・フィリピン大使は、今年7月31日までに在パラオフィリピン大使館が閉鎖されると発表した。同大使館は1994年に開館したが、本国の財政事情によりその他の海外9公館と共に閉鎖される。パラオには4,000人以上のフィリピン労働者が滞在しており、雇用主との労働問題が多発しているが、そのような問題については現在二国政府間で調整中であり、法整備が進められているが、当面は当地の教会等が不当雇用被害者の保護を行う見込である。
◆経済
- 観光業
3月期にパラオを訪問した観光客の集計が発表され、1ヶ月間に計9,909人(前年同月比31%増)の観光客が訪れ、うち日本人観光客は4,186人、台湾人観光客は2,393人、韓国人が1,163人であった。今年に入ってから既に31,647人の観光客がパラオを訪れており、これは昨年度の第一四半期の23%増である。
◆その他
- 計画断水の実施
- 第二次世界大戦中の日本軍による処刑者埋葬地の発見
21日、パラオ国民の大半が居住するコロール州へ水を供給しているアイライ州の給水施設のポンプ1台が故障した。通常は3台のポンプが稼働し、1台の予備ポンプがあるが、予備ポンプも故障しているため2台のポンプしか稼働出来ないため、ポンプの交換部品が到着するまでの2,3週間の間計画断水が実施されることとなった。その結果、コロール州とアイライ州では、上水道が午後12時30分より午後6時、午後11時より午前5時までの間断水となっており、4月末現在でもその状況は継続している。
3月末米国NGOベントプロップ(Bentprop)は第二次世界大戦中に日本軍が処刑した欧州の聖職者、米国航空兵及び数名のパラオ市民の埋葬箇所と考えられる場所をガッパン州の丘陵地に発見し、身元確認のための土壌サンプルを取得して本国に送付した。同団体のこれまでの調査では、6名の聖職者、4名のパラオ市民及び3名の航空兵がスパイ容疑をかけられて処刑されたとされている。
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