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パラオ情勢(2012年3月)

2012年3月31日

※この月報は、パラオ国内の新聞やテレビ報道をもとに、在パラオ日本国大使館が作成しています。

◆政治

  1. パラオ内政
    • 予算審議
    • 懸案となっていた2012年度予算案(2011年10月1日~2012年9月30日)は、8日に議会で採決され、25日にトリビオン大統領が署名したことにより成立した。予算は歳入が60,855,000米ドル、支出が59,934,000米ドルであり、注目すべきは外国人が出国時に支払う環境保全用のグリーン・フィーが15ドルから30ドルに引き上げられる点、ホテル税が10%から12%に引き上げられる点などである。上記の値上がりは何れも本年10月1日より執行される。会計年度半ばでの成立となった本予算は、成立後も行政サービスの提供に十分な予算が確保されているのか議論が続いており、トリビオン大統領は60日以内に補正予算案を作成し議会に提出することとなっている。

    • グアム在住のパラオ国民の増加
    • グアム政府の統計によると、グアムに居住するパラオ人の人口は2000年に2,141名であったのが、2011年には4,147名に達した。

    • トリビオン大統領の大統領選挙出馬表明
    • 23日、トリビオン大統領は正式に本年11月に行われる大統領選挙での再選を目指して出馬する意向をガラアマヨン文化センターに集まった1,000人の聴衆を前に表明した。出馬表明のスピーチは51分に及び、過去四年間の在任中の成果としてコンパクト協定延長交渉、船舶登録法の成立、世界初の「サメ保護区」の設立、観光客の増加等を挙げた。3月末現在で大統領選挙に立候補を正式に表明したのはトリビオン大統領のみである。

  2. パラオ外交
    • トリビオン大統領のミクロネシア行政首長サミット出席
    • トリビオン大統領は第17回ミクロネシア行政首長サミットに出席するため、14日から18日グアムを訪問した。同サミットにはモリ・ミクロネシア大統領、ロヤック・マーシャル諸島共和国大統領、カルボ・グアム知事他が出席し、域内における成人病予防のための政策サミットの開催や、域内の自然保護区域を定める「ミクロネシア・チャレンジ」の持続可能な財政計画の実施支援、女性の政治参加の促進等を含めた合計9つの決議が採択された。

    • 違法操業中国漁船員の死亡
    • 28日、パラオ北部の離島であるカヤンゲル州近海で違法操業の中国籍の小型漁船が発見され、31日、取締の過程において漁船乗組員の中国人一名がパラオ当局が漁船エンジンに向け発砲した流れ弾に被弾し、死亡した。その後同小型漁船の母船も発見されたが、乗組員が船に放火し全焼、20名の乗組員はパラオ当局により救助された。母船及び小型漁船の乗組員合計25名がパラオ海洋警備当局に逮捕され勾留中である。また本件に関連し、母船探索の捜査協力を行った民間セスナ1機が行方不明となっている。この関連で、パラオと中国は外交関係がないので、逮捕・抑留された中国人との領事面会のため、在ミクロネシア中国大使館より外交官2名が4月5日から13日の日程でパラオを訪問する。

◆経済

    • 新航空路線の開通
    • 20日、パラオを拠点とする「パラオ・エアウェイ」が4月11日よりコロールー台北間に週3回直行便の運行を開始する旨発表した。同社は5月以降は便数を週5便に増便する予定で、コロールー台北間の運行が安定化した後には日本、韓国、フィリピン等へ直行便を運行したいとしている。

    • 観光客数
    • 2011年にパラオを訪れた年間観光客数に関するデータが発表され、総数は109,057人、日本人は37,800人、台湾人は37,632人で、前年に比べ全体で27.4%の増加した。また2012年1月期の観光客数は11,161人で、昨年同時期と比較して約20%増加し、内訳は台湾人が3,686人、日本人が3,508人、韓国人が1,885人であった。

    • 日本からの緊急無償資金協力による発電機の供与
    • 2日、昨年11月発生したアイメリーク発電所の火災により電力供給に支障を来している問題を解決するため、日本政府からの緊急無償資金協力により500kwの発電機4台が供与されることが決定し、トリビオン大統領と貞岡大使が口上書を交換した。

◆その他

    • 第二次世界大戦中の米軍飛行機の発見
    • 21日、第二次世界大戦中に使用された米軍飛行機「コルセア」1機がコロール近海で地元漁師に発見された。右飛行機は今回初めて発見され、機体がほぼ完全な状態で残っている点が注目されている。

    • 日本映画上映会
    • 先月の映画上映会に続き、在パラオ日本国大使館主催で3月2,3日にペリリュー州政府集会所、3月8日にガッパン州イボバン集会所で映画上映会を行い、全体で約200名の観客が訪れた。

    • 東日本大震災追悼・復興式典
    • 11日、在パラオ日本国大使館主催で東日本大震災追悼・復興式典を実施した。式典にはトリビオン大統領、ヤノ国務大臣をはじめとする閣僚や国会議員、伝統首長、パラオ赤十字関係者、韓国人会会長、在留邦人など100名が出席し、震災発生時刻の14時46分(日本と時差なし)に黙祷を捧げた。