パラオ情勢(2011年11月)
2011年12月1日
※この月報は、パラオ国内の新聞やテレビ報道をもとに、在パラオ日本国大使館が作成しています。
◆政治
- パラオ内政
- 電力供給問題と非常事態宣言の発令
- パラオ外交
- トリビオン大統領のAPEC第19回首脳会議関連会合出席
- トリビオン大統領夫妻のイスラエル公式訪問
5日、アイメリーク発電所において火災が発生した結果、同発電所の発電機が全て使用不可となったことを受け、電力供給量の不足により、6日より計画停電が実施されている(11月30日現在も継続中)。トリビオン大統領は7日、電力の不足が上下水道、国立病院、学校、空港、警察及び通信公社などの運営を脅かしているとして、非常事態宣言を発令した。9日に議会がこれを承認したことを受け、大統領は電力公社(PPUC)取締役会の経営権を引き継いだ。この結果PPUCのCEO及び執行役員全員が辞任し、大統領は現CEOの前任者であるケン・ウエハラ氏をCEOに再任した。パラオ本土にはアイメリーク発電所とマラカル発電所の2カ所があり、現在稼働しているマラカル発電所には、今年PPUCが日本より購入したばかりの中古のニイガタ発電機2台(各5メガワット)が設置されているが、2台とも10月より故障しており、同発電所は計7メガワット程度の出力しかない。バベルダオブ島及びコロール島では最大12メガワット程度の電力が必要とされるため、現在電力が著しく不足しており、ニイガタ発電機の再稼働が待たれるが、同発電機の早期の修理完了の目処は立っておらず、政府はこうした事態に対処するため、2メガワット3機のコンテナ型発電機を調達することとした(なお、非常事態宣言は10日間有効であり、19日に終了した)。
トリビオン大統領は、11日から14日までホノルルで開催されたAPEC第19回首脳会議にあわせて開催されたセミナー出席のためハワイに赴き、ヒラリー国務長官やキャンベル国務次官補とも意見交換を行った。
トリビオン大統領夫妻は、18日から28日までイスラエルを国賓として訪問し、ペレス大統領と会談、ヤド・ヴァシェム(ホロコースト記念館)訪問などを行った。
◆経済
- 空港太陽光発電設備引渡し式
- 中西部太平洋マグロ類委員会(WCPFC)の中止
- 観光業
17日、日本の環境プログラム無償資金協力によりパラオ国際空港に建設された太陽光発電設備(225KVA出力、4億8千万円相当)の引き渡し式が催され、トリビオン大統領他が出席した。本ソーラーパネルは、日本の環境プログラム無償により建設している世界28カ国の太陽光発電設備の中で、完成第一号となった。空港には本件設備の一環として液晶ディスプレーが設置され、発着便の案内板としても利用されることとなった。
今次の電力供給問題を受け、12月5日から9日にかけ当地で開催が予定されていたWCPFC(中西部太平洋マグロ類委員会)会合が中止された。
10月の観光客は8,286名であり、内日本から2,289名、台湾から3,245名であった。年初から10月までの観光客数は90,475名に達し、12月中に観光客総数がパラオ史上初めて10万人を超えることが確実となった。
◆その他
- 第2回日本フェアの実施
- デング熱患者の発生
19日、当館主催の在外公館文化事業として、日本フェアを実施し、700余名の参加者を得た。対日理解促進および震災を受けた日本のイメージの回復を目的とし、被災地を訪問したパラオ人学生による講演、パラオ高齢者センターのメンバーによる日本の歌の合唱、パラオ柔道連盟のパラオ人メンバーによる柔道実演、JICA隊員による地方文化紹介(岩手、福岡)などを行った。当地新聞、テレビで行事の様子が紹介された。
17日パラオ保健省は、11月に入って少なくとも3名のデング熱患者、50名以上のインフルエンザに似た症状の患者、多数の胃腸炎患者が確認され、増加傾向にあると発表した。同発表によれば近隣国であるミクロネシアやマーシャルでは600名以上、特にパラオに最も近いヤップでは人口1万人のうち200名のデング熱患者が報告されている。
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