パラオ情勢(2011年8月)
2011年8月31日
※この月報は、パラオ国内の新聞やテレビ報道をもとに、在パラオ日本国大使館が作成しています。
◆政治
- パラオ内政
- 2011年度補正予算可決
- トリビオン大統領の各州訪問
- タバコ規制法の成立
- パラオ外交
- 大洋州地域
29日、2011年度(2010年10月~2011年9月30日)の補正予算として、$2,675,000米ドルの追加予算が可決された。同補正予算の財源としては、一般税収より$2,197,100、漁業操業権の売却による収入$485,000、グリーン・フィーより$20,000等が挙げられた。グリーン・フィーを財源とした$20,000については、同フィーの運営管理費に充てられる。これにより、2011年度予算の割当は行政府に$32,803,100、立法府に$3,820,000、各州政府への拠出金に総額$4,822,000等となった。同予算案は、大統領、上院・下院の3者で予算の財源やその使途を巡り激しい攻防が繰り広げられ、大統領が8月末までに予算案が可決されなければ公務員のレイオフを検討すると注意を促し、駆け込みで承認された。
トリビオン大統領は、3日から23日にかけてパラオの全16州を巡回訪問する「State Visit」を実施した。当初は南西諸島のハトホベイ州及びソンソロール州に初めて訪問する予定であったが、予定を延期し、今回は2州の大部分の住民が移住しているアラカベサン島エアン地区を訪れることで代替とした。
19日、トリビオン大統領はパラオ国内における「新タバコ規制法」に署名し、同日より180日後より同法は効力を発する。同法は、新たに国内におけるタバコの販売・卸売・製造・輸入について認可制にすること、タバコの産業の広告やスポンサーシップの禁止、全ての教育施設、スポーツ施設、児童施設、高齢者施設、保健施設等での一切の禁煙等が定められており、違反者には収監または$25以上$20,000以下の罰金が課せられる。本法は、世界保健機関(WHO)のタバコ規制枠組条約(Framework Convention on Tobacco Control)へのパラオの遵守の姿勢を示すものである。
9月6日から9日にかけてニュージーランドのオークランドで実施される太平洋島嶼フォーラム(Pacific Island Forum: PIF)の参加に向け、大統領及び国務大臣を含むパラオ代表団が30日パラオを出発した。
◆経済
- 電力供給問題
- 海底光通信ケーブル敷設計画
- 観光業
- 空港拡大事業
パラオ電力公社(Palau Public Utilities Corporation: PPUC)は12日、独自に購入した2機の5メガワット規模の発電機の試運転が完了し、正式な運用が開始されたとして、同発電機の引き渡し式典を行った。2機の発電機が正式運用されたことにより、従来の発電機より燃費が向上するため、来月より予定されていた電力料金の値上げが中止されることが発表された。
9日、パラオ国立通信公社(Palau National Communications Corporation : PNCC)は、ミクロネシア連邦通信公社(Micronesia Telecommunications Corporation : MTC)との間に覚書を取り交わし、今後パラオとミクロネシア連邦ヤップ州が共同で海底光通信ケーブルを調達・配置・管理・運用・維持するという内容に合意した。PNCCとMTCは今後カロリン・ケーブル共同体(Caroline Cable Consortium)として同事業に取り組み、現在グアム・フィリピンケーブル合弁会社(Guam-Philippines Cable Limited Partnership)が所有している海底ケーブルを5百万米ドルで購入し、パラオが3分の2、ミクロネシア連邦が3分の1の購入費用を負担する。その他に同ケーブルを利用可能な状態にする工事に30百万米ドルがかかるとされている。
パラオ経済の中心を担う観光業について、7月期の集計が発表され、1ヶ月間に11,091人(前年同月比10.8%増)の観光客が訪れ、うち台湾人観光客は4,753人(同42.0%増)、日本人観光客は2,773人(同20.6%増)、最近減少を見せていた韓国人観光客も2,438人(同33.5%増)となった。
公共基盤・産業・商業省航空局によると、現在パラオ国際空港では、1週間に最低30便以上の航空機の離着陸が行われている。ユナイテッド・コンチネンタル航空、デルタ航空、フライ・グアム航空、日本航空、アシアナ航空、中華航空、トランス・アジア航空及び大韓航空が運行している。これら旅客便に加え、米軍機の燃料供給便やマグロ貨物便も運行している。空港離発着便の増加に伴い、出発ラウンジの座席が153席から241席に増加された他、現在米国からの13百万米ドル規模の支援により駐機場の拡大工事が進められており、2013年頭に完成される見通しである。事業拡大に伴い、航空各社に対する空港利用税を値上げする提案がなされている。
◆その他
- 外国人の出国時における健康保険納付金の還付について
- カヤンゲル島のネズミ駆除
19日、社会保障管理事務所(Social Security Administration)は、パラオ政府に健康保険料として医療積立金を納めていた外国人が永久にパラオから退去する場合に実施される残余積立金の還付を、19人の外国人に対して実施した。現在パラオで義務化されている医療積立金の制度では、雇用者及び被保険者本人がそれずれ月給の2.5%ずつを積立金として社会保障管理事務所に納め、医療サービスを受けた際にはその積立金から支払う仕組みとなっている。今回外国人の還付の対象になるのは、本人支払い分のみである。還付申請は、社会保障管理事務所にて所定用紙の記入・提出により可能で、申請から支払いまでには6ヶ月程度を要する。
バベルダオブ島北部に位置するパラオ最北の離島、カヤンゲル島において、ネズミ駆除のため、23日より駆除剤がまかれた。これにより、カヤンゲル島においては駆除剤に触れないよう警告が出され、同時に同島の生産物は(カニ:6ヶ月、鶏及びその卵:3ヶ月)当面食してはならないと定められた。
©Embassy of Japan in the Republic of Palau
P.O. Box 6050 Koror, Republic of Palau 96940