パラオ情勢(2011年6月)
2011年6月30日
◆政治
- パラオ内政
- カジノ国民投票
- パラオ外交
- 対米国
- 対中国
- 大洋州地域
- 要人往来
22日、パラオ国内におけるカジノ事業の是非を問う国民投票が行われ、結果反対多数となり、否決された(有効票:4,437票、賛成票:1085票、反対票:3349票、投票率31.3%)。カジノ法は10年以上前から繰り返し議会で提案・審議・却下が繰り返されてきたため、今回大統領の発案により国民投票が実施された。この結果を受け、今後パラオでは議会にて同内容の提案を行うことは認められないこととなる。
トリビオン大統領は6日から米国を訪問し、8日~10日はニューヨークにおいて国連のHIV/AIDSに関する国際会議に出席し、その後16日にはワシントンD.C.に移動して米国議会の第二次コンパクト協定承認に向け、米上院委員会において証言を行った。証言の中でトリビオン大統領は「コンパクトによる財政支援はパラオを米国に依存させるものではなく、パラオの自立的発展のために不可欠である」旨強調した。
13日、パラオ・中国商工会が設立された。「パラオは台湾と外交関係を結んでいるが、同商工会はパラオ・中国間の貿易や投資の促進を目的とするものであり、外交的な意図は含まれていない」と同商工会推進者であるメチュール上院議長はコメントしている。 13日にコロールで行われた設立会合にはマリウール副大統領をはじめ、関係閣僚や大酋長等も出席した。
15日~17日にかけ、第30回太平洋島嶼国立法府連合(Association of Pacific Island Legislature: APIL)がコロールにて開催され、12代表団(米領サモア、北マリアナ諸島、グアム、マーシャル諸島共和国、ミクロネシア連邦の4州、ハワイ州、ナウル、キリバス、パラオ)が一同に介して域内協力等について協議した。また、9月には太平洋マグロフォーラムがコロールで開催される予定である。
30日、米国国務省よりキャンベル国務次官補が大洋州諸国訪問の一環としてパラオを訪問し、トリビオン大統領他パラオ政府高官と会談した。
◆経済
- 電力供給問題
- 観光業
- NTTDocomoのローミングサービス開始
パラオ電力公社(Palau Public Utilities Corporation: PPUC)が独自に入手した5MW規模の発電機2機の設置試験を開始した。当初の予定では5月末に設置が完了する予定であったが、工事が遅延しており、1ヶ月程度の試運転後正式に運用が開始する。同時に、電気料金の未納が深刻化しており公社が発電用燃料を調達できない状態が発生する可能性がある。国家政府の未納金が合計7百万米ドルに達しているとの情報もあり、今後電気料金未納者については、政府を含め、電力の部分的強制停止を実施する提案も同公社から出ている。その提案に対して「ト」大統領は反対を表明している。
パラオ経済の中心を担う観光業について、5月期の集計が発表され、1ヶ月間に計7、240人(前年同月比30%増)の観光客が訪れ、うち台湾人観光客は2,769人(同136%増)、日本人観光客は2,242(同16%増)人となった。ユナイテッド・コンチネンタル航空は7月と8月の2ヶ月間、パラオー台北間の直行チャーター便を28往復便運行すると発表しており、台湾人観光客は今後さらに増加する見込みである。
10日よりパラオ国内におけるNTTDocomoのローミングサービスが開始された。
◆その他
- コンパクト道路の亀裂
- パラオ初の銀行強盗
- 殺人事件
6月中旬の台風による大雨の影響で、コンパクト道路のエサール州とアイライ州の間の区間で大きな亀裂が入り、片側車線が通行止めとなっている。「ト」大統領は、既に米国が検討中のコンパクト道路の補修計画箇所にこの部分も含めるよう米国に依頼している。
先月19日、パラオ国内で初めての銀行強盗事件が発生し、約42,000米ドルが盗難に遭ったが、今月16日容疑者が逮捕された。同容疑者は4月末にパラオ財務省にも強盗に入ったとして容疑に問われている。
29日夜、コロール中心部(アサヒ球場駐車場付近)においてフィリピン人女性が刃物で惨殺される事件が発生し、警察が捜査を進めている。
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