パラオ情勢(2011年5月)
◆政治
- パラオ内政
- 米軍殉死者
- メモリアル・デー
- 外国人登録法
- カヤンゲル沖石油採掘事業
- パラオ外交
- 対米国
10日、米軍に参加し、アフガニスタンで活動中に犠牲となったパラオ人・モーゼス陸軍軍曹の国葬が執り行われた。モーゼス軍曹はパラオ人として6人目のアフガニスタン及びイラクでの米軍テロ対策活動中の犠牲者である。モーゼス軍曹の死をきっかけに、大統領の発案により5月の最終月曜日は米国に倣い「メモリアル・デー」として祝日に設定された。
上記を受け30日にパラオにおける第一回目のメモリアル・デー式典が実施され、各地で花輪が手向けられた。太平洋戦争で激戦地となったペリリュー島にはトリビオン大統領、米大使等が訪れて花輪を捧げた。
トリビオン大統領が打ち出した移民局による外国人登録の義務化は、フィリピン人の元新聞記者キャリオン女史が起こした民事訴訟により違憲であるとの判決が下った。にもかかわらず、移民局はキャリオン女史を不法滞在であるとして国外退去を求めた結果、再度最高裁判所より移民局に国外退去の取消要求が行われ、20日、キャリオン女史にパラオ滞在許可が下りた。本件は、最高裁判所が大統領の発案を違憲と見なしたこと等から注目を集めている。
パラオ北部のカヤンゲル島周辺において実施されている石油採掘調査が2011年5月に契約期限を迎えるにあたり、再度カヤンゲル州とパラオ太平洋エネルギー社(Palau Pacific Energy Inc.)との間で契約が更新され、2012年12月まで調査が継続されることとなった。過去の調査によれば、同地は表面部分で10.44億バレル、深層部分で18.8億バレル程度の石油埋蔵量が見込まれ、両部分からそれぞれ35%程度(366百万バレル及び658百万バレル相当)が採掘可能との見解もある。本契約を受け、採掘調査料としてカヤンゲル州は総額10万米ドルを受け取る。また実際に採掘が開始されるまでの1ヶ月間は1日1000米ドルの「海面使用料(Surface Usage Fee)」が同州に支払われ、実際に石油が採掘されれば、産出量の12.5%に相当する採掘場使用料が支払われることとなっている。
トリビオン大統領は第二次コンパクト協定の米議会での承認に向け、6月16日に米国議会で証言する予定。
◆経済
- 観光業
- 物価上昇
パラオ経済の中心を担う観光業について、4月期の集計が発表され、1ヶ月間に計7、979人の観光客が訪れ、前年同時期に比べ52%の増加が見られた。なお、これまで国別観光客数では常時日本がトップであったが、東日本大震災の影響等で減少したことを受け、 1位の座を台湾に譲る形となり、4月期台湾人観光客は3、272人、日本人観光客は2,006人となった。日本人観光客は昨年同時期よりは増加しているが、直行便の増便等で見込まれた増加幅を下回る結果となった。
燃料価格の上昇等に伴い、5月中に電力料金、水道料金、ゴミ収集料金の上昇が発表された。ガソリン代も5月から1ガロンあたり5米ドルを超過しており、市民の生活に大きな打撃を与えているが、それに加え上記のライフラインの値上がりは市民に大きな負担となることが予想される。
◆その他
- マリファナ栽培摘発
- デング熱流行
ペリリュー島でマリファナ栽培の大規模摘発:公安局により13日、ペリリュー島内で5,345株(市場価格15万米ドル相当)のマリファナが没収・焼却された。ペリリュー島では定期的に摘発が実施されているが、今回は学校でのマリファナ使用についての報告が捜査のきっかけとなった。
保健省によると現在パラオ国内でデング熱が流行しており、4月1日より少なくとも15件のデング熱症例が確認された。主にコロール州(経済・商業中心地)での発症例が多く、保健省が注意を呼びかけている。
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