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◆パラオ便り(2012年10月)

「日本財団による小型監視艇及び通信機器の引渡し式開催」

 10月12日、これまで数年に亘り準備されてきた日本財団による小型監視艇と通信設備の引渡し式がコロール州マラカル島で実施されました。このプロジェクトは、パラオ・ミクロネシア・マーシャル諸島の三国の海上保安体制を強化するため、パトロールボートとその整備や燃料に関する費用、またパトロールに必要な通信設備を日本財団が供与するという物です。

 パラオにはこれまでレメリーク号という大型のパトロールボートがありましたが、これは遠方の違法漁船などをパトロールする目的のものです。今回供与された監視艇は、小型で非常にスピードが速く、悪天候でも出港できるような最新設備を備えています。そのため、近場の違法操業現場に急行する等のパトロールに適しているだけでなく、地元民や観光客が海難事故に遭った時の海難救助等にも適しています。これまでのレメリーク号と2隻で相乗効果を発揮し、パラオの海の安全の強化に大きく貢献するでしょう。

 パラオに供与されたボートは、他の2国とは異なり、ボート前面にサメの顔が描かれており、船の名前はトリビオン大統領によりKabekel M’talと名付けられました。Kabekelはパラオ伝統的戦闘カヌー、M’talはサメを表し、パラオの海の安全を守る強さがイメージされています。引渡し式当日は、それまでの長い悪天候が嘘のように快晴となり、トリビオン大統領や海野日本財団常務理事、貞岡大使をはじめ、大勢の方が出席しました。式典ではボートの試乗会や日本酒の鏡割り、テープカット等が華やかな雰囲気の中で行われました。共に海に囲まれた島国である日本とパラオがこれから海に関する様々な分野で更に協力関係を深めて行くことが期待されます。

 「日本遺族会の再訪~オメケサンへの車いすの寄贈~」

 今年2月にもパラオを訪問し(パラオ便り(2012年2月号参照))、障害者団体オメケサンに車いす1台を寄贈した日本遺族会の方々が、10月28日から11月3日にかけて再びパラオを訪問しました。

 今回の訪問でも、前回同様、オメケサンに対し車いす1台やタオル、帽子など様々な贈り物を持って来ました。29日に教育省特別教育課で行われた引渡し式では、森田日本遺族会副会長からオメケサンのスタッフに車いすが渡され、オメケサンからは「我々は非営利団体なので、資金繰りが大変ですが、このような継続的な支援をいただけて本当に助かっています。スタッフ一同、非常に感謝しています。」とお礼の言葉が送られました。

 この後、慰霊団の方々はペリリュー島・アンガウル島で慰霊巡拝等の日程をこなしました。

「世界柔道の日に柔道トーナメント開催」

 10月28日は「世界柔道の日」です。パラオでも、パラオ柔道連盟が世界柔道の日にちなんで、柔道の知名度を上げ、パラオ人により柔道に親しんでもらおうと、柔道トーナメントを開催しました。

 柔道トーナメントには40名以上が参加し、子供部門(4歳~6歳、7歳~10歳、11歳~14歳)とジュニア部門(15歳~18歳)、大人部門とマスターズ部門(35歳以上)に分かれ、それぞれでトーナメント戦を繰り広げました。上位入賞者には金・銀・銅メダルが授与されました。パラオでは、ジェニファー・アンソンさんが先日のロンドンオリンピックの柔道種目で出場したり、日本の講道館から柔道着の寄付があったりしたため、柔道への関心が非常に高まっています。これからもどんどん柔道人口が増え、日本文化に親しむパラオ人が増えるといいですね。

「キズナ強化プロジェクトで21名のパラオ人高校生が日本へ」

 10月10日、パラオの学生21名が「キズナ強化プロジェクト」参加の為、日本に向けて飛び立ちました。「キズナ強化プロジェクト」とは、アジア大洋州地域や北米地域の国・地域から高校生や大学生を日本へ招待し、昨年の東日本大震災で被災した地域の高校生や大学生との交流、実際に被災地を訪れ、視察やボランティア活動を体験してもらうことによって、日本の復興への取り組みについて、外国の理解を促進することを目的にした招聘プログラムです。

 12日間の日本滞在中には、東日本大震災から復興に向けた取り組みや、専門家から自然災害が起きた際の対応や復興について学ぶ機会を得、現地の家庭との交流等のプログラムに参加したり、岩手県を訪問し、実際に被災したエリアの視察やボランティア活動を行いました。その他、東京で文化体験の機会も設けられるなど、日本の災害対策や文化を実体験しました。パラオへ帰国後は、彼らが日本で経験したことや、学び感じたことを多くの人と共有し、日本の災害や復興への関わり方が広く認識され、またパラオでも活用されることが期待されます。