パラオ情勢 2015年11月号
平成28年3月30日
◆政治
1.パラオ内政
・薬物取締強化のための大統領令が発布
4日,レメンゲサウ大統領は,薬物取締強化を目的とする大統領第382号を発布した。既存の国家薬物取引対策タスクフォースを拡大する形で新タスクフォース(ベラウ薬物取締タスクフォース(BDETF))を設置し,ブラッドリー司法長官及びアグオン司法省公安局長によるリーダーシップの下,違法薬物根絶のための取締活動が行われる。
・ケソレイ副上院議長の国葬
6日,10月13日に73歳で逝去したケソレイ上院副議長の国葬が実施され,レメンゲサウ大統領をはじめとするパラオ政府要人が参列し,故人を偲んだ。
・上院補欠選挙の実施が決定
9日,上院は,12月22日に上院補欠選挙を実施することを決定した。立候補期限は同月7日で,今回補選で当選した議員は,2016年11月に開催予定の総選挙まで,残り1年の任期を務めることになる。 現在,正式に立候補を表明しているのは,セイト・アンドレス元上院議長,サンドラ・ピエラントッツィ元副大統領,ファウスティナ・ルウール=マルグ前社会文化省大臣の3名。このほか,実業家のマルガリータ・ダルトン氏,レジーナ・メセベルー元上院議員,ジェフ・ニラルサオル大統領府無償資金コーディネーター,サトル・アダチ元社会保障局長の4名が,非公式に立候補を表明している。
・アイメリーク州が第11回総選挙を実施
10日,アイメリーク州において第11回総選挙が行われ,知事選においては,前知事で現在は同州有地委員会(ASPLA)委員長を務めるデメイ・オバック氏が,他2候補を破って当選した。現職で2期目のレイラニ・レクライ氏は,自身は知事選に出馬せず,いとこであるルシオ・オバケルバウ候補を支持していた。レクライ氏は,同州で進行中の中国資本によるゴルフ場建設計画をめぐってASPLAと対立したことや同州ゲルケアイ地区酋長の肩書をめぐる係争に親族とともに関わったことから,政争が激しくなる中での任期終了となり,今回州議会選挙に立候補したものの落選した。同州では,4年ごとに総選挙が開催されており,登録有権者数は851人。
・イナボ新副上院副議長の就任
24日,上院は,先月逝去したケソレイ上院副議長の後任として,イナボ上院議員の新副議長就任を承認した。同議員は,1期目の新人議員で,上院の首都改善計画委員会委員長を務めている。前職は,パラオ電力・上下水道公社のCEO。
・ホワイトリボンデーの設置
24日,レメンゲサウ大統領は,11月25日をホワイトリボンデーと定める大統領声明に署名を行った。男性が主体的に女性と子どもに対する暴力撲滅に取り組むことを趣旨としている。同声明は,24日から翌月16日までを,司法省公安局によるホワイトリボンキャンペーン期間としている。
・比サルベージ会社が中国クルーズ船を撤去
25日,フィリピンのサルベージ会社が,昨年11月からパラオ領海内に放置されたままとなっていた中国クルーズ船を撤去した。
・ベルズ副大統領とシムス臨時特別検察官の対立が泥沼化
ベルズ副大統領兼司法大臣によるアグオン司法省公安局長の停職処分を発端とする,同副大統領とシムス臨時特別検察官(ISP)の対立は収拾の目処がつかなくなっている。事態の悪化を憂慮したレメンゲサウ大統領は,18日,ラジオでの記者会見にて,ISP当局の独立性を認めつつも,双方に事態の解決と和解を呼びかけている。
先月30日にシムスISPが行った,職権濫用を理由とするベルズ副大統領の刑事告発につき,17日,ベルズ副大統領は罪状につき認否を問われ,保釈金なしで釈放された。しかし,シムスISPは対立姿勢を崩さず,同日に国内金融機関へ文書提出命令を発出し,同副大統領の保有するすべての銀行口座記録の開示を要求した。この文書提出命令に対し,今度はベルズ副大統領が,当命令はシムスISP側の越権行為であるとして,シムスISP及びISP当局を相手取って民事訴訟手続を開始した。30日,裁判所は,シムスISPによる文書提出命令の一時的な執行停止命令を発出した。
2.パラオ外政
・イサオ・シゲオ・ペリリュー州酋長が旭日双光章を受章
3日,平成27年秋の外国人叙勲受章者が発表され,パラオからは,イサオ・シゲオ・ペリリュー州酋長が旭日双光章を受章することとなった。同氏は,長年にわたり,日本の戦没者遺骨収容及び慰霊事業分野において多大な貢献をしてきており,同分野における協力を通じた日・パラオ二国間関係の強化に対する功労が認められ,今回の受章に至った。
・チン上院議長の香港訪問
チン上院議長は,パラオへの投資促進を目的として,17日から23日にかけて香港を訪問し,観光業や通信業に携わる実業家と交流を行った。
・中国人女性が不良外国人認定
23日,中国人女性が,幾多にわたり多額の現金を未申告でパラオ国内に持ち込んだとして,度重なる現金運搬法違反を理由に,今後入国を拒否する対象となる不良外国人として認定された。
・在パラオ中国人がパラオ中国連合協会を設立
中国本土からの観光客急増を背景として,在パラオ中国人により,観光やビジネス目的の中国人訪問客支援及びパラオ・中国関係強化を目的とする「パラオ中国連合協会」が設立された。同組織は,パラオ太平洋リゾート会社社長のHunter Tian氏を会長として,163名の会員と8人の理事会員で構成されており,現在パラオ国内において登録申請手続を進めている。なお,類似の組織として,同国内にはすでに「パラオ中国商会」が存在する。
・新パラオ兼轄NZ大使の信任状奉呈
2日,パラオを含むミクロネシア3国の大使を兼任するRobert Kaiwai在ハワイNZ総領事が,レメンゲサウ大統領に信任状奉呈を行った。
・パラオ代表団が第4回仏・オセアニア・サミットに出席
26日にパリで開催された第4回仏・オセアニア・サミットに,パラオよりウルドンEU・気候変動大使,メイソン・ウィップス上院議員及びケメソン下院議員が出席した。
◆経済
・寄港国措置に関する協定批准のための議会決議が下院通過へ
2日,上院にて採択された寄港国措置に関する批准のための決議の審議が下院に移り検討されている。パラオでは,国家海洋保護区法に含まれる違法漁業に対する厳しい規則の設定と同時に同協定批准に関する審議が進められており、国際的にも、寄港国措置に関する協定を批准することにより、違法・無報告・無規制漁業への規制が進むことが期待されている。
・大統領,パラオ海底ケーブル公社理事候補を推薦
3日,レメンゲサウ大統領はパラオ海底ケーブル社の理事となる候補者を推薦し,上院にその確認を求めた。大統領が推薦した候補者は,ジョバナ・ヤオ氏(パラオ短期大学情報技術准教授),クラリンダ・ジェグラー氏(パラオ開発銀行EESPマネージャー),エリック・クサウ・ウィップス氏(スランゲル副社長及びフィリピン名誉領事),ジョージ・レウアー氏(WCTC社長),ケオベル・サクマ氏(大統領特別補佐官)の5名。同大統領は,5名の推薦はバランスの取れた人選となっており,それぞれ理事に相応しい人物である旨述べている。
・上院,非パラオ人観光業従事者取締りのためのタスクフォース設置を決議
4日,上院は非パラオ人観光業従事者への取締り強化のためのタスクフォース設置を求める決議を通過させた。上院では,外国人違法就業者のために観光業からの恩恵を被ることができないパラオ人保護の観点から対策を進める必要があるとしている。
・シャコ貝売買禁止法案の提出へ
3日,下院議員10名により,シャコ貝の売買を禁ずる法案が提出された。同法案は,通称「1994年海洋保護法」と呼ばれるパラオ国家法典12章27節の修正を伴う。近年のシャコ貝の激減はパラオ国内での売買に起因しているため,既存法による輸出制限だけでは対応できず,また,最近成立した個体数増加のための種の持続プロジェクト施行法と連携して,養殖もの及びパラオ域外を生息起源とするシャコ貝を除き,シャコ貝の販売,購入,輸入を禁止することを目的に同法案は提出されている。
・カジノ法案,下院にて第二読会を通過
4日,下院は,出席した13名全ての議員の承認により,南部の州におけるカジノ建設を合法化する法案の第二読会を通過させた。第二読会は,数週間前に第一読会を通過した内容を踏まえ,財務・予算委員長のジョナサン・イセアル議員が提案した修正案に基づいている。主要修正点は,アンガウル州とペリリュー州に加え,カジノ建設の対象地にバベルダオブも含めた点である。この法案では,カジノ建設によりアンガウル州とペリリュー州の開発を促すと共に,105百万米ドル相当不足しているとされる教育や保健医療などのための社会保障費を補てんすることを目的としているが,これまでも上院で再三否決されているばかりか,2010年に実施された国民投票でも反対されている。
・国家海洋保護区法施行に向け100日計画を策定
5日,国家海洋保護区法の成立から1週間が経過し,その執行について議論が進められているが,大統領府によるとレメンゲサウ大統領は100日計画を発表した。同計画では,5年間の移行期間とその後に関する各課題への適当なる規則の策定,事務局運営を支える資金確保,魚類の生産性に関するデータベース作成のための漁業調査の実施などが提唱されている。パラオ国家海洋保護区立法委員会(PNMSLC:Palau National Marine Sanctuary Legislative Committee)が5日間のうちに数回の会合を持ち,組織機構や法執行に向けた課題リストなどについて議論した。
・2015年度予算に余剰金
10日,サダン財務大臣は,年度末を経て政府予算に9,487,635米ドルの余剰が生じたと報告した。同大臣によると,80,877,000米ドルの歳入を予測していたところ,実際にはその112%にあたる90,364,635米ドルの歳入があった。余剰金の要因として,行政府の95%,立法府の99%,司法府の95%の予算執行に見られる無駄を省いた支出,観光客や酒・たばこからの税収,並びに,隻日制度による歳入の微増が挙げられている。
・アイライ州のホテル建設計画,頓挫を否定
10日,パラオ・スターリゾート会社のティエン社長は,アイライ州内の大型リゾート建設計画が投資の撤退のために頓挫している事実はないと発言した。日本・パラオ友好橋近くに350室規模の大型リゾートを建設する計画は9月14日に竣工式が行われたものの,中国人投資家の撤退により計画の停止を余儀なくされているとの噂が取り沙汰されていた。同社長によると,計画頓挫の事実はなく,試掘試験の結果,計画予定地の地盤の安全性が確認されたため,現在は,建設及び地均しの許可を申請中とのこと。
・大統領,観光業規制法案に署名
16日,レメンゲサウ大統領は,観光業界を規制・管理する権限を天然資源・環境・観光省に与える法案に署名した。同大統領は,観光が主要産業であるパラオにとってその価値の最大化は必須であり,観光産業をより発展させるために適切な管理が必要だとしている。同大統領はまた,本法案への署名は,2014年2月発布の天然資源・環境・観光省内に観光局設置を定めた大統領令第357号を補完するものと説明している。この法案の成立により,同省には,(1)国家観光計画に基づく観光活動の規制,(2)コテージや個人経営のゲストハウスを含む全ての観光関連業従事者への免許制による格付け規制,(3)関係機関と連携しての施設やサービスに対する基準設置・執行などの権限が付与される。
・パシフィック貯蓄銀行,支払いを再開
16日,9年前,運営の失敗と汚職で廃業となったパシフィック貯蓄銀行が,裁判と債務者からの返金に目途が立ったとして,7,000人以上の債権者への返金手続きを再開する予定としている。数百人規模の債権者に対する返金が全く行われておらず,台湾から90万米ドルの資金援助を受け,2010年12月に最初の返金が行われた際にも,一人当たり4,000ドル以下の支払いのみが対象となっていた。
・大統領,外国投資法の改正へ
18日,レメンゲサウ大統領は,現行の外国投資法の改正法案を提出した。大統領案では,事業所有権を明確にし,名目上の所有権はパラオ人にあるものの実態は外国人が経営するいわゆるフロントビジネスを禁止し,パラオ人が正当な利益を享受できるようにすることを目指す。同法案では,外国投資委員会に不審なフロントビジネスに対する捜査権限も付与する。大統領は,同法案により,パラオ人の利益を守ることはもちろん,正式な手続きを経て経営を行っている外国事業者の権益を保護することにもなるとしている。
・観光局,ホームステイ制度の導入を視野に
18日,アナスタシオ観光局長は,政府が検討中の観光政策の1つがホームステイ制度であり,大規模ホテルだけではなく一般家庭でも観光産業からの収入が得られる方途として,制度設計の最終段階にあると発表した。同制度の導入により,一般家庭による観光産業への参画が可能になると共に,現地の文化や生活様式に関心を持つ観光客の需要を満たすことが期待されている。
・大統領,国家海洋保護区事務局及び同実行委員会設置の大統領令に署名
19日,レメンゲサウ大統領は,国家海洋保護区事務局及び同実行委員会を設置する大統領令第383号に署名した。同事務局は,国家海洋保護区設置までの移行期間,関連事項に関する事業主体となり,同委員会が事務局を管理・統括する。同事務局には,事務局長の下に,財務担当者,海洋監視・法執行アドバイザー,マーケティング・観光リエゾン,並びに,事務員が配置され,同委員会には天然資源・環境・観光大臣,財務大臣及び司法大臣又はその代理を含む13名が指名される予定。移行期間の1年前には,その後の海洋保護区運営や管理体制に関する提言を,委員会が大統領に対して行うこととなる。
・下院第二読会にて,外国製品への追加課税法案が通過
19日,下院は,パラオ産製品の保護を目的とした外国製品への関税の課税に関する法案の第二読会を通過させた。第二読会ではまた,農業局がリストアップしたパラオ産品については総収益税を免除するとの条項が加えられた。
・大統領,国内産品の増加政策を支持
20日,レメンゲサウ大統領は,経済諮問会議により推薦された農業・水産産品の増加による国家経済への貢献に関する政策を支持した。経済諮問会議は,観光客の増加に伴いビジネスチャンスは拡大しているものの,パラオ人による農業への関心は減退傾向にあるため,国家として農業・水産業従事者を支援する必要性があるとしている。
・大統領,公社に関する国家政策制定へ
20日,レメンゲサウ大統領は,2014年に準備されたものの未実施のままとなっていた,公社の効率性・透明性・信用性向上のための国家政策制定に向けた大統領令第373号を発表した。大統領令は「パラオの公社は商業原則に則った運営に支障を来しており,その非効率性により著しい損失を産みだしているため改善を図る政策が必要とされており,その第一歩として大統領令を発表する」としている。大統領令では,国や州政府から指名された人物や公務員による評議員への就任を禁ずると共に,財務省による財政管理や各公社による活動計画や財務報告の提出・発表などを命じている。パラオの主要公社には,パラオ通信公社(PNCC),パラオ公共事業公社(PPUC),パラオ国家開発銀行(NDBP),パラオ海底ケーブル公社(BSCC)がある。
・剰余予算の用途,未だ確定せず
23日,サダン財務大臣は,「剰余予算の用途はまだ確定していないものの,通例からすれば,会計年度末に生じる不足分の補填に用いられることになるであろう」と発表した。同大臣はまた,「予算法は剰余金の積み立て基金での管理を規定しており,コンパクト信託基金へ投資される」としている。政府は,グアム銀行にある口座を通じた余剰分の同信託基金への送金について信託基金委員会と協議を行っている。「最終的な決定権は国会にあるものの,もし自分に決定権があれば,不測の事態に備えて基金に投資するのが賢明であろう」と,サダン大臣は付け加えている。
・パラオ政府が気候変動枠組条約事務局に約束草案を提出
28日,パラオ政府は,気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局に,2020年以降のパラオ約束草案(INDC)を提出した。同INDCでは,2025年までに達成を目指す数値目標として,エネルギー部門からの排出を2005年度比で22%の減少,再生可能エネルギー比率を45%まで引上げ,35%のエネルギー効率増加が掲げられている。
・10月までの訪問客数
2015年年初から10月までのパラオ訪問客の総数は137.923人であり,昨年同期に比べ23.89%増加した。内,日本人は25.163人(前年同期比21%減),台湾人は12.041人(同56%減),韓国人は9.976人(同18.345%減)と大幅に減少し,10月の日本・台湾・韓国からの各訪問客数は,過去5年間で最低の数字となっている。これに対し,中国本土(含香港・マカオ)からの訪問客は,76.459人(同208.5%増)と激増を続けており,総数の半分以上を占め,訪問客数第1位となっている。
・海洋保安課職員,4艘のフィリピン船を検査
17日,海上保安課の職員が,パラオの排他的経済水域を運航中の4艘のフィリピン籍船に対し立ち入り検査を行ったと発表された。この検査は,クルクル2015作戦の一環として実施され,アメリカ軍のP-3オリオン哨戒機も作戦を支援した。トゥッティ課長によると,4艘のうち2艘に不審な点は見つからなかったため運航の継続を許可し,残りの2艘については漁具と漁獲に違反が確認されたため即時寄港命令を発出した。
・ミクロネシア持続可能な養殖連合が正式に発足
23日,パラオ共和国,ミクロネシア連邦,マーシャル諸島共和国,ナウル共和国の関係者がパラオに会し,ミクロネシア地域に於ける水産養殖業の持続的発展のためのネットワークを正規に発足させた。これは,7月にマーシャル共和国のマジュロで開催されたミクロネシア首脳会合で合意され,食料自給や就業機会の確保を目的に,国連食糧農業機関の支援のもとに運営されることとなる。
・シニアボランティア,PICRCへマーケティングの経験を
10月15日,上田治男JICAシニアボランティアがパラオ国際サンゴ礁センターでの活動を開始した。海外でのマーケティング経験の豊富な同ボランティアには,同センターの観光客誘致や関連商品販売促進などの推進への貢献が期待されている。
・地球規模課題対応国際科学技術協力プロジェクト中間評価会合開催
10月21日,パラオ国際サンゴ礁センターに於いて、JICAと科学技術振興機構(JST)の出資による科学技術協力プロジェクトである「サンゴ礁島嶼系における気候変動による危機とその対策」(the Palau Coral Reef and Island Ecosystem:P-Corie)の第三回目となる合同運営委員会会合が開催された。中間会合ともなる本会合では,水質や海水の酸性化に関する収集データや実験サイトでの各種調査結果などが発表され,プロジェクトの順調な進捗が確認された。
・水産物展示センター改修計画覚書に署名
18日,センゲバウ天然資源・環境・観光大臣及び財務省職員は,千上JICA上級顧問との間で,水産物展示センター改修計画に関する覚書に署名した。同計画は5百万米ドル弱の規模で,日本政府が全額負担する。2017年に改修工事が開始され,工期は約8か月の予定。
・台湾アドベンティスト病院が搬送患者の受け入れへ
7日,パラオを訪れた台湾アドベンティスト病院の一行は,大統領や保健大臣に面会し,パラオからの搬送患者の受け入れに関する覚書に署名する。1955年に設立された同病院はセブンスデイ・アドベンティスト系の病院で,新光呉火獅子記念病院に続き,台湾での搬送患者受け入れ先医療機関となる。
・台湾,2.1百万米ドルの刺激資金をパラオに供与
13日,台湾政府は2.1百万米ドルの資金供与とクリーン資源協力のための資金をパラオ政府に供与する。台湾大使館によると,2.1百万ドルの内訳は,2014年度第5期年次支援分として1.3百万米ドル,2015年度第1期年次支援分として77万米ドル,2014年度第2期クリーン資源協力分として2万3千米ドル,大統領の訪問出張費支援分として4万7千ドルとなっている。クリーン資源協力プロジェクトは2010年に開始され,2014年度分として,ミューンズのパラオオリンピック委員会所有の競泳プール施設への20kw太陽光ソーラーパネル,並びに,日本パラオ友好橋コロール側の公園,イボバン州及びガッパン州への太陽光街燈が設置された。これにより,台湾からの資金援助は6百万米ドルを超えることになる。台湾は,2015年9月に1.7百万ドルの刺激資金,2015年7月15日には,2014年度州経済刺激資金として日本パラオ友好橋コロール公園,エルベエド・デセケル―ティウル道路修繕,マルキョク診療所水道管,ガラード・オセボケル・ケダム道路修繕,国税局庁舎修繕,ベラウ国立病院施設・機器修繕,司法省施設拡張,パラオ国際サンゴ礁センター研究棟拡張を含む2.1百万ドルの資金供与,続いて7月22日には,2013年州経済開発資金分として50万米ドルを財務省に供与した。
・LED街燈設置の覚書署名へ
3日,パラオ公共事業公社,パラオ政府,マルキョク州,アルモノグイ州は,幹線道路及び第二道路の街燈にLEDライトを設置する覚書に署名した。この計画のために1,600個のLEDライトがヨーロッパ連合の北太平洋再生可能エネルギー・エネルギー効率化プロジェクトにより供与される。
・4名の海洋保安課職員が豪州での研修へ
16日,トゥッティ海上保安課長は,同課の職員4名が豪州海洋大学で研修を受ける旨発表した。4名の職員は,豪州政府からの支援を受け,それぞれ1~3ヵ月間同大学に滞在し,幹部養成コース,電気工学レベルIコース,漁業担当官向け監視コース,料理・衛生管理コースを受講する。豪州海洋大学は,タスマニア島のラウンセストンにある豪州の海洋教育・訓練・研究機関。
・インドネシア政府,工芸品のワークショップを開催
22日,2名の職人がパラオを訪れ,ココナツ殻を用いたおぼんや写真立てなどの工芸品作成のワークショップを開催した。インドネシア外務省職員によると,インドネシアと太平洋島嶼国の更なる関係向上のための交流事業としてワークショップを行っており,既に,ソロモン諸島とフィジーで同様の事業を実施している。
1.パラオ内政
・薬物取締強化のための大統領令が発布
4日,レメンゲサウ大統領は,薬物取締強化を目的とする大統領第382号を発布した。既存の国家薬物取引対策タスクフォースを拡大する形で新タスクフォース(ベラウ薬物取締タスクフォース(BDETF))を設置し,ブラッドリー司法長官及びアグオン司法省公安局長によるリーダーシップの下,違法薬物根絶のための取締活動が行われる。
・ケソレイ副上院議長の国葬
6日,10月13日に73歳で逝去したケソレイ上院副議長の国葬が実施され,レメンゲサウ大統領をはじめとするパラオ政府要人が参列し,故人を偲んだ。
・上院補欠選挙の実施が決定
9日,上院は,12月22日に上院補欠選挙を実施することを決定した。立候補期限は同月7日で,今回補選で当選した議員は,2016年11月に開催予定の総選挙まで,残り1年の任期を務めることになる。 現在,正式に立候補を表明しているのは,セイト・アンドレス元上院議長,サンドラ・ピエラントッツィ元副大統領,ファウスティナ・ルウール=マルグ前社会文化省大臣の3名。このほか,実業家のマルガリータ・ダルトン氏,レジーナ・メセベルー元上院議員,ジェフ・ニラルサオル大統領府無償資金コーディネーター,サトル・アダチ元社会保障局長の4名が,非公式に立候補を表明している。
・アイメリーク州が第11回総選挙を実施
10日,アイメリーク州において第11回総選挙が行われ,知事選においては,前知事で現在は同州有地委員会(ASPLA)委員長を務めるデメイ・オバック氏が,他2候補を破って当選した。現職で2期目のレイラニ・レクライ氏は,自身は知事選に出馬せず,いとこであるルシオ・オバケルバウ候補を支持していた。レクライ氏は,同州で進行中の中国資本によるゴルフ場建設計画をめぐってASPLAと対立したことや同州ゲルケアイ地区酋長の肩書をめぐる係争に親族とともに関わったことから,政争が激しくなる中での任期終了となり,今回州議会選挙に立候補したものの落選した。同州では,4年ごとに総選挙が開催されており,登録有権者数は851人。
・イナボ新副上院副議長の就任
24日,上院は,先月逝去したケソレイ上院副議長の後任として,イナボ上院議員の新副議長就任を承認した。同議員は,1期目の新人議員で,上院の首都改善計画委員会委員長を務めている。前職は,パラオ電力・上下水道公社のCEO。
・ホワイトリボンデーの設置
24日,レメンゲサウ大統領は,11月25日をホワイトリボンデーと定める大統領声明に署名を行った。男性が主体的に女性と子どもに対する暴力撲滅に取り組むことを趣旨としている。同声明は,24日から翌月16日までを,司法省公安局によるホワイトリボンキャンペーン期間としている。
・比サルベージ会社が中国クルーズ船を撤去
25日,フィリピンのサルベージ会社が,昨年11月からパラオ領海内に放置されたままとなっていた中国クルーズ船を撤去した。
・ベルズ副大統領とシムス臨時特別検察官の対立が泥沼化
ベルズ副大統領兼司法大臣によるアグオン司法省公安局長の停職処分を発端とする,同副大統領とシムス臨時特別検察官(ISP)の対立は収拾の目処がつかなくなっている。事態の悪化を憂慮したレメンゲサウ大統領は,18日,ラジオでの記者会見にて,ISP当局の独立性を認めつつも,双方に事態の解決と和解を呼びかけている。
先月30日にシムスISPが行った,職権濫用を理由とするベルズ副大統領の刑事告発につき,17日,ベルズ副大統領は罪状につき認否を問われ,保釈金なしで釈放された。しかし,シムスISPは対立姿勢を崩さず,同日に国内金融機関へ文書提出命令を発出し,同副大統領の保有するすべての銀行口座記録の開示を要求した。この文書提出命令に対し,今度はベルズ副大統領が,当命令はシムスISP側の越権行為であるとして,シムスISP及びISP当局を相手取って民事訴訟手続を開始した。30日,裁判所は,シムスISPによる文書提出命令の一時的な執行停止命令を発出した。
2.パラオ外政
・イサオ・シゲオ・ペリリュー州酋長が旭日双光章を受章
3日,平成27年秋の外国人叙勲受章者が発表され,パラオからは,イサオ・シゲオ・ペリリュー州酋長が旭日双光章を受章することとなった。同氏は,長年にわたり,日本の戦没者遺骨収容及び慰霊事業分野において多大な貢献をしてきており,同分野における協力を通じた日・パラオ二国間関係の強化に対する功労が認められ,今回の受章に至った。
・チン上院議長の香港訪問
チン上院議長は,パラオへの投資促進を目的として,17日から23日にかけて香港を訪問し,観光業や通信業に携わる実業家と交流を行った。
・中国人女性が不良外国人認定
23日,中国人女性が,幾多にわたり多額の現金を未申告でパラオ国内に持ち込んだとして,度重なる現金運搬法違反を理由に,今後入国を拒否する対象となる不良外国人として認定された。
・在パラオ中国人がパラオ中国連合協会を設立
中国本土からの観光客急増を背景として,在パラオ中国人により,観光やビジネス目的の中国人訪問客支援及びパラオ・中国関係強化を目的とする「パラオ中国連合協会」が設立された。同組織は,パラオ太平洋リゾート会社社長のHunter Tian氏を会長として,163名の会員と8人の理事会員で構成されており,現在パラオ国内において登録申請手続を進めている。なお,類似の組織として,同国内にはすでに「パラオ中国商会」が存在する。
・新パラオ兼轄NZ大使の信任状奉呈
2日,パラオを含むミクロネシア3国の大使を兼任するRobert Kaiwai在ハワイNZ総領事が,レメンゲサウ大統領に信任状奉呈を行った。
・パラオ代表団が第4回仏・オセアニア・サミットに出席
26日にパリで開催された第4回仏・オセアニア・サミットに,パラオよりウルドンEU・気候変動大使,メイソン・ウィップス上院議員及びケメソン下院議員が出席した。
◆経済
・寄港国措置に関する協定批准のための議会決議が下院通過へ
2日,上院にて採択された寄港国措置に関する批准のための決議の審議が下院に移り検討されている。パラオでは,国家海洋保護区法に含まれる違法漁業に対する厳しい規則の設定と同時に同協定批准に関する審議が進められており、国際的にも、寄港国措置に関する協定を批准することにより、違法・無報告・無規制漁業への規制が進むことが期待されている。
・大統領,パラオ海底ケーブル公社理事候補を推薦
3日,レメンゲサウ大統領はパラオ海底ケーブル社の理事となる候補者を推薦し,上院にその確認を求めた。大統領が推薦した候補者は,ジョバナ・ヤオ氏(パラオ短期大学情報技術准教授),クラリンダ・ジェグラー氏(パラオ開発銀行EESPマネージャー),エリック・クサウ・ウィップス氏(スランゲル副社長及びフィリピン名誉領事),ジョージ・レウアー氏(WCTC社長),ケオベル・サクマ氏(大統領特別補佐官)の5名。同大統領は,5名の推薦はバランスの取れた人選となっており,それぞれ理事に相応しい人物である旨述べている。
・上院,非パラオ人観光業従事者取締りのためのタスクフォース設置を決議
4日,上院は非パラオ人観光業従事者への取締り強化のためのタスクフォース設置を求める決議を通過させた。上院では,外国人違法就業者のために観光業からの恩恵を被ることができないパラオ人保護の観点から対策を進める必要があるとしている。
・シャコ貝売買禁止法案の提出へ
3日,下院議員10名により,シャコ貝の売買を禁ずる法案が提出された。同法案は,通称「1994年海洋保護法」と呼ばれるパラオ国家法典12章27節の修正を伴う。近年のシャコ貝の激減はパラオ国内での売買に起因しているため,既存法による輸出制限だけでは対応できず,また,最近成立した個体数増加のための種の持続プロジェクト施行法と連携して,養殖もの及びパラオ域外を生息起源とするシャコ貝を除き,シャコ貝の販売,購入,輸入を禁止することを目的に同法案は提出されている。
・カジノ法案,下院にて第二読会を通過
4日,下院は,出席した13名全ての議員の承認により,南部の州におけるカジノ建設を合法化する法案の第二読会を通過させた。第二読会は,数週間前に第一読会を通過した内容を踏まえ,財務・予算委員長のジョナサン・イセアル議員が提案した修正案に基づいている。主要修正点は,アンガウル州とペリリュー州に加え,カジノ建設の対象地にバベルダオブも含めた点である。この法案では,カジノ建設によりアンガウル州とペリリュー州の開発を促すと共に,105百万米ドル相当不足しているとされる教育や保健医療などのための社会保障費を補てんすることを目的としているが,これまでも上院で再三否決されているばかりか,2010年に実施された国民投票でも反対されている。
・国家海洋保護区法施行に向け100日計画を策定
5日,国家海洋保護区法の成立から1週間が経過し,その執行について議論が進められているが,大統領府によるとレメンゲサウ大統領は100日計画を発表した。同計画では,5年間の移行期間とその後に関する各課題への適当なる規則の策定,事務局運営を支える資金確保,魚類の生産性に関するデータベース作成のための漁業調査の実施などが提唱されている。パラオ国家海洋保護区立法委員会(PNMSLC:Palau National Marine Sanctuary Legislative Committee)が5日間のうちに数回の会合を持ち,組織機構や法執行に向けた課題リストなどについて議論した。
・2015年度予算に余剰金
10日,サダン財務大臣は,年度末を経て政府予算に9,487,635米ドルの余剰が生じたと報告した。同大臣によると,80,877,000米ドルの歳入を予測していたところ,実際にはその112%にあたる90,364,635米ドルの歳入があった。余剰金の要因として,行政府の95%,立法府の99%,司法府の95%の予算執行に見られる無駄を省いた支出,観光客や酒・たばこからの税収,並びに,隻日制度による歳入の微増が挙げられている。
・アイライ州のホテル建設計画,頓挫を否定
10日,パラオ・スターリゾート会社のティエン社長は,アイライ州内の大型リゾート建設計画が投資の撤退のために頓挫している事実はないと発言した。日本・パラオ友好橋近くに350室規模の大型リゾートを建設する計画は9月14日に竣工式が行われたものの,中国人投資家の撤退により計画の停止を余儀なくされているとの噂が取り沙汰されていた。同社長によると,計画頓挫の事実はなく,試掘試験の結果,計画予定地の地盤の安全性が確認されたため,現在は,建設及び地均しの許可を申請中とのこと。
・大統領,観光業規制法案に署名
16日,レメンゲサウ大統領は,観光業界を規制・管理する権限を天然資源・環境・観光省に与える法案に署名した。同大統領は,観光が主要産業であるパラオにとってその価値の最大化は必須であり,観光産業をより発展させるために適切な管理が必要だとしている。同大統領はまた,本法案への署名は,2014年2月発布の天然資源・環境・観光省内に観光局設置を定めた大統領令第357号を補完するものと説明している。この法案の成立により,同省には,(1)国家観光計画に基づく観光活動の規制,(2)コテージや個人経営のゲストハウスを含む全ての観光関連業従事者への免許制による格付け規制,(3)関係機関と連携しての施設やサービスに対する基準設置・執行などの権限が付与される。
・パシフィック貯蓄銀行,支払いを再開
16日,9年前,運営の失敗と汚職で廃業となったパシフィック貯蓄銀行が,裁判と債務者からの返金に目途が立ったとして,7,000人以上の債権者への返金手続きを再開する予定としている。数百人規模の債権者に対する返金が全く行われておらず,台湾から90万米ドルの資金援助を受け,2010年12月に最初の返金が行われた際にも,一人当たり4,000ドル以下の支払いのみが対象となっていた。
・大統領,外国投資法の改正へ
18日,レメンゲサウ大統領は,現行の外国投資法の改正法案を提出した。大統領案では,事業所有権を明確にし,名目上の所有権はパラオ人にあるものの実態は外国人が経営するいわゆるフロントビジネスを禁止し,パラオ人が正当な利益を享受できるようにすることを目指す。同法案では,外国投資委員会に不審なフロントビジネスに対する捜査権限も付与する。大統領は,同法案により,パラオ人の利益を守ることはもちろん,正式な手続きを経て経営を行っている外国事業者の権益を保護することにもなるとしている。
・観光局,ホームステイ制度の導入を視野に
18日,アナスタシオ観光局長は,政府が検討中の観光政策の1つがホームステイ制度であり,大規模ホテルだけではなく一般家庭でも観光産業からの収入が得られる方途として,制度設計の最終段階にあると発表した。同制度の導入により,一般家庭による観光産業への参画が可能になると共に,現地の文化や生活様式に関心を持つ観光客の需要を満たすことが期待されている。
・大統領,国家海洋保護区事務局及び同実行委員会設置の大統領令に署名
19日,レメンゲサウ大統領は,国家海洋保護区事務局及び同実行委員会を設置する大統領令第383号に署名した。同事務局は,国家海洋保護区設置までの移行期間,関連事項に関する事業主体となり,同委員会が事務局を管理・統括する。同事務局には,事務局長の下に,財務担当者,海洋監視・法執行アドバイザー,マーケティング・観光リエゾン,並びに,事務員が配置され,同委員会には天然資源・環境・観光大臣,財務大臣及び司法大臣又はその代理を含む13名が指名される予定。移行期間の1年前には,その後の海洋保護区運営や管理体制に関する提言を,委員会が大統領に対して行うこととなる。
・下院第二読会にて,外国製品への追加課税法案が通過
19日,下院は,パラオ産製品の保護を目的とした外国製品への関税の課税に関する法案の第二読会を通過させた。第二読会ではまた,農業局がリストアップしたパラオ産品については総収益税を免除するとの条項が加えられた。
・大統領,国内産品の増加政策を支持
20日,レメンゲサウ大統領は,経済諮問会議により推薦された農業・水産産品の増加による国家経済への貢献に関する政策を支持した。経済諮問会議は,観光客の増加に伴いビジネスチャンスは拡大しているものの,パラオ人による農業への関心は減退傾向にあるため,国家として農業・水産業従事者を支援する必要性があるとしている。
・大統領,公社に関する国家政策制定へ
20日,レメンゲサウ大統領は,2014年に準備されたものの未実施のままとなっていた,公社の効率性・透明性・信用性向上のための国家政策制定に向けた大統領令第373号を発表した。大統領令は「パラオの公社は商業原則に則った運営に支障を来しており,その非効率性により著しい損失を産みだしているため改善を図る政策が必要とされており,その第一歩として大統領令を発表する」としている。大統領令では,国や州政府から指名された人物や公務員による評議員への就任を禁ずると共に,財務省による財政管理や各公社による活動計画や財務報告の提出・発表などを命じている。パラオの主要公社には,パラオ通信公社(PNCC),パラオ公共事業公社(PPUC),パラオ国家開発銀行(NDBP),パラオ海底ケーブル公社(BSCC)がある。
・剰余予算の用途,未だ確定せず
23日,サダン財務大臣は,「剰余予算の用途はまだ確定していないものの,通例からすれば,会計年度末に生じる不足分の補填に用いられることになるであろう」と発表した。同大臣はまた,「予算法は剰余金の積み立て基金での管理を規定しており,コンパクト信託基金へ投資される」としている。政府は,グアム銀行にある口座を通じた余剰分の同信託基金への送金について信託基金委員会と協議を行っている。「最終的な決定権は国会にあるものの,もし自分に決定権があれば,不測の事態に備えて基金に投資するのが賢明であろう」と,サダン大臣は付け加えている。
・パラオ政府が気候変動枠組条約事務局に約束草案を提出
28日,パラオ政府は,気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局に,2020年以降のパラオ約束草案(INDC)を提出した。同INDCでは,2025年までに達成を目指す数値目標として,エネルギー部門からの排出を2005年度比で22%の減少,再生可能エネルギー比率を45%まで引上げ,35%のエネルギー効率増加が掲げられている。
・10月までの訪問客数
2015年年初から10月までのパラオ訪問客の総数は137.923人であり,昨年同期に比べ23.89%増加した。内,日本人は25.163人(前年同期比21%減),台湾人は12.041人(同56%減),韓国人は9.976人(同18.345%減)と大幅に減少し,10月の日本・台湾・韓国からの各訪問客数は,過去5年間で最低の数字となっている。これに対し,中国本土(含香港・マカオ)からの訪問客は,76.459人(同208.5%増)と激増を続けており,総数の半分以上を占め,訪問客数第1位となっている。
・海洋保安課職員,4艘のフィリピン船を検査
17日,海上保安課の職員が,パラオの排他的経済水域を運航中の4艘のフィリピン籍船に対し立ち入り検査を行ったと発表された。この検査は,クルクル2015作戦の一環として実施され,アメリカ軍のP-3オリオン哨戒機も作戦を支援した。トゥッティ課長によると,4艘のうち2艘に不審な点は見つからなかったため運航の継続を許可し,残りの2艘については漁具と漁獲に違反が確認されたため即時寄港命令を発出した。
・ミクロネシア持続可能な養殖連合が正式に発足
23日,パラオ共和国,ミクロネシア連邦,マーシャル諸島共和国,ナウル共和国の関係者がパラオに会し,ミクロネシア地域に於ける水産養殖業の持続的発展のためのネットワークを正規に発足させた。これは,7月にマーシャル共和国のマジュロで開催されたミクロネシア首脳会合で合意され,食料自給や就業機会の確保を目的に,国連食糧農業機関の支援のもとに運営されることとなる。
・シニアボランティア,PICRCへマーケティングの経験を
10月15日,上田治男JICAシニアボランティアがパラオ国際サンゴ礁センターでの活動を開始した。海外でのマーケティング経験の豊富な同ボランティアには,同センターの観光客誘致や関連商品販売促進などの推進への貢献が期待されている。
・地球規模課題対応国際科学技術協力プロジェクト中間評価会合開催
10月21日,パラオ国際サンゴ礁センターに於いて、JICAと科学技術振興機構(JST)の出資による科学技術協力プロジェクトである「サンゴ礁島嶼系における気候変動による危機とその対策」(the Palau Coral Reef and Island Ecosystem:P-Corie)の第三回目となる合同運営委員会会合が開催された。中間会合ともなる本会合では,水質や海水の酸性化に関する収集データや実験サイトでの各種調査結果などが発表され,プロジェクトの順調な進捗が確認された。
・水産物展示センター改修計画覚書に署名
18日,センゲバウ天然資源・環境・観光大臣及び財務省職員は,千上JICA上級顧問との間で,水産物展示センター改修計画に関する覚書に署名した。同計画は5百万米ドル弱の規模で,日本政府が全額負担する。2017年に改修工事が開始され,工期は約8か月の予定。
・台湾アドベンティスト病院が搬送患者の受け入れへ
7日,パラオを訪れた台湾アドベンティスト病院の一行は,大統領や保健大臣に面会し,パラオからの搬送患者の受け入れに関する覚書に署名する。1955年に設立された同病院はセブンスデイ・アドベンティスト系の病院で,新光呉火獅子記念病院に続き,台湾での搬送患者受け入れ先医療機関となる。
・台湾,2.1百万米ドルの刺激資金をパラオに供与
13日,台湾政府は2.1百万米ドルの資金供与とクリーン資源協力のための資金をパラオ政府に供与する。台湾大使館によると,2.1百万ドルの内訳は,2014年度第5期年次支援分として1.3百万米ドル,2015年度第1期年次支援分として77万米ドル,2014年度第2期クリーン資源協力分として2万3千米ドル,大統領の訪問出張費支援分として4万7千ドルとなっている。クリーン資源協力プロジェクトは2010年に開始され,2014年度分として,ミューンズのパラオオリンピック委員会所有の競泳プール施設への20kw太陽光ソーラーパネル,並びに,日本パラオ友好橋コロール側の公園,イボバン州及びガッパン州への太陽光街燈が設置された。これにより,台湾からの資金援助は6百万米ドルを超えることになる。台湾は,2015年9月に1.7百万ドルの刺激資金,2015年7月15日には,2014年度州経済刺激資金として日本パラオ友好橋コロール公園,エルベエド・デセケル―ティウル道路修繕,マルキョク診療所水道管,ガラード・オセボケル・ケダム道路修繕,国税局庁舎修繕,ベラウ国立病院施設・機器修繕,司法省施設拡張,パラオ国際サンゴ礁センター研究棟拡張を含む2.1百万ドルの資金供与,続いて7月22日には,2013年州経済開発資金分として50万米ドルを財務省に供与した。
・LED街燈設置の覚書署名へ
3日,パラオ公共事業公社,パラオ政府,マルキョク州,アルモノグイ州は,幹線道路及び第二道路の街燈にLEDライトを設置する覚書に署名した。この計画のために1,600個のLEDライトがヨーロッパ連合の北太平洋再生可能エネルギー・エネルギー効率化プロジェクトにより供与される。
・4名の海洋保安課職員が豪州での研修へ
16日,トゥッティ海上保安課長は,同課の職員4名が豪州海洋大学で研修を受ける旨発表した。4名の職員は,豪州政府からの支援を受け,それぞれ1~3ヵ月間同大学に滞在し,幹部養成コース,電気工学レベルIコース,漁業担当官向け監視コース,料理・衛生管理コースを受講する。豪州海洋大学は,タスマニア島のラウンセストンにある豪州の海洋教育・訓練・研究機関。
・インドネシア政府,工芸品のワークショップを開催
22日,2名の職人がパラオを訪れ,ココナツ殻を用いたおぼんや写真立てなどの工芸品作成のワークショップを開催した。インドネシア外務省職員によると,インドネシアと太平洋島嶼国の更なる関係向上のための交流事業としてワークショップを行っており,既に,ソロモン諸島とフィジーで同様の事業を実施している。