草の根・人間の安全保障無償資金協力「パラオ国立病院ICU生体情報モニタ整備計画」

令和3年5月3日

「パラオ国立病院ICU生体情報モニタ整備計画」引渡式

 

 
 
 2021年4月30日、コロール州のパラオ国立病院にて、平成30年度草の根・人間の安全保障無償資金協力による「パラオ国立病院ICU生体情報モニタ整備計画」の引渡式が行われました。式典には、当館から柄澤大使、パラオ側からウィップス大統領及び多数の病院関係者が出席しました。

 パラオ国立病院は、国内唯一の総合病院であり、また国内で唯一入院病棟を有するため、パラオの医療において非常に重要な役割を担っています。 しかしながら、集中治療室で使用されているバイタルサイン(=生体情報)測定器は、容体急変時に迅速に対応し、入院患者を継続的に管理するには不十分な状態でした。

 式典当日は、大統領が、多忙なスケジュールの合間をぬって出席しました。大統領は、草の根無償資金協力による様々な分野への支援に対する感謝の意を表すとともに、これからも日本政府と協力をし、国民や観光客のために、より充実した病院を作っていきたいと述べました。

 本件協力の実施により、パラオ国立病院の内科病棟及び外科病棟のICU計10床へのベッドサイドモニタ整備、データを集中管理するセントラルモニタのナースステーションへの整備が行われ、患者の容体を24時間体制で常時管理することが可能になります。これにより、患者の急変を即座に医師や看護師へ伝えることが可能になり、救命率の向上だけでなく、入院期間の短縮や治療費の負担減につながることが期待されます。
 



「パラオ国立病院ICU生体情報モニタ整備計画」署名式

 
   
 
2019年2月27日、在パラオ日本国大使館にて、平成30年度草の根・人間の安全保障無償資金協力による「パラオ国立病院ICU生体情報モニタ整備計画」の契約の署名が、山田大使とパラオ国立病院のメコール院内臨床サービス局長との間で執り行われました。式典には、署名者の他、同病院のメルール看護局長等が出席しました。

国内唯一の総合病院であるパラオ国立病院では、年間約2,000人の入院患者を受け入れており、その1割にあたる約200人が集中治療室(以下、ICU)に運び込まれています。しかし、現在、同ICUで使用されているバイタルサイン(=生体情報)測定器は、医師が処置を行う際に数値を確認するために使用されるもので、データを病室外に送信して患者を24時間モニタリングすることを意図したものではありません。ICUの入院患者には継続的な状態管理と急変時の迅速な対応が必要であるにもかかわらず、病床からバイタルサインを無線でナースステーションに送信し、データをセントラルモニタで一元管理する設備が十分に整備されていないため、パラオ国立病院では、患者の容体変化をアラーム等で医師や看護師に迅速に知らせることができないという問題を抱えています。

供与額545万4,400円の本件協力を通して、パラオ国立病院の内科及び外科病棟のICUにおいて、ベッドサイドモニタとセントラルモニタから成る生体情報モニタが整備され、患者の容体を24時間体制で常時管理することが可能になります。患者の急変が即座に医師や看護師に伝わることで、救命率が向上するだけでなく、早期診断及び対応により、入院期間の短縮や治療費の負担減にもつながることが期待されます。

パラオでは、平成11年に初めて草の根・人間の安全保障無償資金協力が実施され、本件は77件目の案件署名となりました。