草の根・人間の安全保障無償資金協力「パラオ・地域防災力強化計画」

令和2年7月27日

「パラオ・地域防災力強化計画」引渡式


2020年7月22日、パラオ国家緊急事態管理事務所にて、平成30年度草の根・人間の安全保障無償資金協力による「パラオ・地域防災力強化計画」の引渡式が行われました。式典には、当館から柄澤大使、パラオ側からサンティ・アサヌマ理事長、ウェイマイン・トワイ副理事長のほか、パラオ赤十字社関係者が出席しました。
パラオ赤十字社は、国内で災害が発生した際の初動対応において、支援物資の供給、ボランティア派遣及び(ボランティアを活用した)各家庭レベルでの被害状況確認に取り組むNGO団体です。
 
パラオでは、甚大な被害をもたらした2012年と2013年の台風直撃の際に、コロール中心部から離れた地域において、初動対応や被害状況の把握が遅れたことから、地域レベルの防災力が著しく低いことが明らかとなりました。近年、その教訓を踏まえて、パラオ赤十字社が一般市民を対象に、応急手当・心肺蘇生法の講習や防災教育を行っていましたが、同社が保有する車両は劣化が進み、安全な走行ができない状況にあり、遠隔地での各講習・防災教育実施が難しくなっていました。また、この車両には災害対応機器が搭載されておらず、災害発生時の初動対応に適していませんでした。さらに、地域での防災教育に使用する教材や支援物資が格納されている倉庫は、害虫被害が深刻であり修繕が必要でした。

引渡式当日は、多数のパラオ赤十字社関係者に見守られながら引渡式を実施することができました。供与額786万7,888円の本件協力を通じて、ピックアップトラック、資機材(トランシーバー3台、衛星電話1台、AED2台)及び倉庫修繕のための材料がパラオ赤十字社に供与されました。本件協力の実施により、パラオ赤十字社によるパラオ全州への防災教育活動が可能となり、一般市民が応急手当・心肺蘇生法を含む保健知識や災害時の対応方法を習得する機会を得られるようになります。また、パラオ赤十字社による災害発生時の初動対応が円滑かつ迅速に行えるようになることで、地域における防災力の強化が期待されます。 
  


「パラオ・地域防災力強化計画」署名式


2018年12月12日、在パラオ日本国大使館にて、平成30年度草の根・人間の安全保障無償資金協力による「パラオ・地域防災力強化計画」の契約の署名が、山田大使とパラオ赤十字社のジョアン・マイレン・センゲバウ事務局長との間で執り行われました。式典には、署名者の他、当館より荻野次席、パラオ赤十字社よりサンティ・アサヌマ理事長等が出席しました。

パラオは、台風や干ばつ、洪水といった自然災害に極めて脆弱である一方で、住民一人一人の保健知識や災害対応のノウハウは不足しており、実践的なシミュレーションもできていないため、災害発生時の不安を抱えています。パラオ赤十字社は、地域の防災力を強化すべく、一般市民を対象に応急手当・心肺蘇生法の講習や防災教育を行っていますが、同社が保有する車両は、フレームが脆くなって安全な長距離走行ができない状態であり、遠隔地での講習実施が難しくなっています。また、既存の車両には災害対応機器が搭載されておらず、災害発生時の初動対応に適していないほか、地域での防災教育に使用する教材や支援物資が格納されている倉庫は、害虫被害で天井が剥がれ落ち、壁に穴が開くなどして雨の吹込み等の被害を受けています。

供与額786万7,888円の本件協力を通して、防災教育普及用のピックアップトラック1台、災害対応機器一式、倉庫の修繕資材がパラオ赤十字社に供与されます。本件協力の実施により、パラオ全州への防災教育が可能になり、パラオ国民が応急手当・心肺蘇生法を含む保健知識や災害発生時の対応方法を習得できるようになります。地域の防災力が強化されるとともに、パラオ赤十字社による災害発生時の初動対応が円滑かつ迅速に行えるようになることも期待されます。

パラオでは、平成11年に初めて草の根・人間の安全保障無償資金協力が実施され、本件は74件目の案件署名となりました。

 
    
      山田大使(中央)に謝意を表するパラオ赤十字社のサンティ・アサヌマ理事長(右)