JICAボランティアエッセイ(堀井JV)
ありがとうパラオ
私は2017年1月から2019年1月までの2年間、世界遺産「ロックアイランド群と南ラグーン(以下、ロックアイランド)」を管轄するコロール州政府の保全・法執行部において協力活動を行ってきました。ロックアイランドにおける長期的な生態系モニタリング調査の開始、データベースの構築及び、それらの指導が私の主な役目でした。日本と異なる職場環境に戸惑いもありましたが、配属先のスタッフや地元の専門家と密にコミュニケーションをとることで、野鳥やウミガメに関するモニタリング調査を開始することができました。モニタリング調査の成果を少し紹介します。
2017年10月から開始した野鳥のモニタリング調査では、2018年11月時点において、確認した鳥類は41種、集めた調査票は635枚、データベース上の観察データは7,927レコードに上ります。パラオでは(おそらくミクロネシア地域では)初確認となるオオルリの観測や、パラオでの生態があまり分かっていないモリツバメの観測ができました。また、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物のリスト)において、2018年にパラオの固有種パラオムナジロバトのカテゴリーがNT(準絶滅危惧)からEN(絶滅危惧)に変更になりましたが、その根拠資料の一つに私達のモニタリング調査報告書が含まれています。
ウミガメの巣のモニタリング調査は2018年1月から開始しました。データの中間集計を行った2018年7月時点では、70個の巣を確認し、そのうち46%の巣の卵が密猟に遭っていました。パラオの伝統的なカメ料理はとても美味しく、私の好物です。しかし、ルール(例:ウミガメの卵の採取禁止や禁漁時期)の遵守は、パラオがウミガメの故郷で在り続け、パラオの文化を後世に伝えるためにも必要です。
生態系のモニタリング調査にとって、「継続すること」は最も重要な要素の一つです。長期的に蓄積された客観的データは、政策決定者がよりよい決定を下すことを手助けします。今後もこれらモニタリング調査がコロール州政府によって継続されることを願ってやみません。
最後に、二年間このような美しいロックアイランドを職場として活動することができ、本当に幸せでした。パラオでの生活を側で支えて下さった全ての皆さまに感謝しています。ありがとうございました。また会う日まで!