パラオ情勢(2016年11月号)

平成28年12月15日
◆政治
1.パラオ内政
(総選挙関連)
○総選挙の実施
1日,総選挙が実施され,次期大統領としてレメンゲサウ現大統領,次期副大統領としてオイロー上院議員がそれぞれ選出された。
 
○下院主要人事の決定
来年1月より開始される第10回パラオ議会につき,下院三役及び各委員会委員長の人事が決定した。アナスタシオ現下院議長が,来期も同職に再任予定。
 
・アンガウル州総選挙の実施
1日,右選挙が実施され,次期知事として,ウエハラ州政府補佐官が当選した。現職のニルタン知事は今回立候補しておらず,ウエハラ氏の支持に回った。任期は2年。
 
・国内初のジカウイルス感染患者を確認
7日,保健省は,国内初のジカウイルス感染患者の確認を発表した。
 
・デング熱感染者発生数の増加
保健省によれば,右発生数は,1月から9月までに計14件であったところ,10月及び11月の2か月で18件と急増している。
 
・ベラウ薬物取締タスクフォース設立1周年
右設立から1年間に,51件立件,23件(61人)が有罪となった。
 
2.パラオ外政
・レメンゲサウ大統領によるCOP22への参加
14~16日,レメンゲサウ大統領は,気候変動枠組条約第22回締約国会議(COP22)に出席するため,モロッコ・マラケシュを訪問した。
 
・山田大使による信任状捧呈
9日,山田大使は,レメンゲサウ大統領に対して信任状を捧呈した。
 
・米工兵部隊がペリリュー島に新しい記念碑を建設
11日,米工兵部隊は,ペリリュー島のレーダー・ヒル(Radar Hill)に,ペリリュー戦で活躍した米兵の功績を称える記念碑を建設し,そのリボンカット式典を行った。
 
◆経済
・海底ケーブル事業は予定通り進行
7日,パラオ政府の発表したプレスリリースによると,接岸地域となるアルモノグイ州における用地問題やプロジェクトデザインや関連工事に関する調整も順調に進み,国際コンサルタントもプロジェクトに加わり,2017年末の完工を目指すとしている。
 
・海洋資源管理のためカヤンゲル州が許可制を導入
カヤンゲル州は,11月1日より,海洋資源管理のため,州内における漁業や関連行為の実施を許可制とするカヤンゲル州海洋資源管理規則(Kayangel State Marine Resource Management Regulation)を制定した。
 
・国家健康保険制度の運用は良好
2016年会計年度末の国家保険制度は,1,150万米ドルの純資産を記録した。国家保険制度管理官によると,850万米ドルが投資と積立金,200万米ドルが債権,130万米ドルが現金資産となっている。
 
・タイヤ裁断機が始動開始
22日,公共事業局及びコロール州政府廃棄物管理事務所は,大統領臨席の下,パラオ政府からの33.5万米ドルの拠出金により購入したタイヤ裁断機を披露した。同裁断機が廃棄物処分場にあるタイヤの容積を縮小することにより,同処分場の残存処分量を増やすことが可能となる。
 
・第3四半期事業税収は7%減
財務省の発表によると,2016年第3四半期(2016年7~9月)の事業税収は7%の減少となった。その主な原因は,昨年同期比で38%減となった建設業界からの税収減にある。
 
・10月の訪問客数
2016年10月のパラオ訪問客の総数は8,987人であり,昨年同期に比べ27.85%減少した。内,日本人は1,532人(前年同期比27.15%減),台湾人は616人(同55.65%減),韓国人は1,029人(同2.65%減)で,中国本土(含香港)からの訪問客は4,237人(同34.65%減)となり、月間訪問者総数最多国の地位は堅持しているものの、昨年11月以来、対前年比訪問者数は11ヶ月連続で減少傾向にある。
 
・大統領,パリ協定の目標達成を励行
気候変動枠組条約第22回締約国会議(COP22)参加のためモロッコを訪れたレメンゲサウ大統領は,会合の挨拶の中で,パリ協定で定められた目標値の達成に向けて加盟国が善処する必要がある旨述べた。
 
・フィリピン人乗組員乗船の大型違法漁船を拿捕
25日,警備艇レメリーク号は,ヘレン環礁の南東部にて,フィリピン人乗組員の乗船する大型の違法漁船を拿捕した。
 
・台湾観光業者のための責任ある観光ワークショップの開催
25日,パラオ自然保護協会と責任ある観光委員会は,パラオの生物多様性を保護し,パラオ人社会と観光産業を守ることを目的としたワークショップを,台湾観光業者を招いて開催した。同ワークショップの開催にあたり,モナコのアルバート2世基金の支援を受けている。
 
・大阪大学,保健省との学術連携協定を更新
14日,大阪大学は,保健省との間で結んでいた学術連携協定を更新した。
 
・パラオ海洋養殖普及センターの解体工事が間もなく開始へ
パラオ海洋養殖普及センター施設改善計画に向け,明年1月に施工業者が決定次第,旧庁舎の取り壊し工事が開始される予定。
 
・台湾大使,50万米ドルの財政支援
17日,ツェン台湾大使は,2014年度分の年次財政支援最終期分の50万米ドルの小切手をサダン財務大臣に手交した。今次支援には,台パラオ水産・畜産プロジェクト第2期分,パラオ国際サンゴ礁センター研究施設拡張第5期分,ペリリュー州政府庁舎第3期分の支払いが含まれる。
 
・台湾海軍軍官学校(Taiwan Naval Academy)への奨学金制度の追加
台湾大使館は,台湾海軍軍官学校が奨学生として2名のパラオ人を追加で受け入れる旨発表した。同校には既に2名のパラオ人が留学しており,将来的に海上保安分野での活躍が期待されている。
 
・米大使館による招聘事業(Professional Leadership Exchange Program)
在パラオ米国大使館では,広報外交(Public Diplomacy)の一環として,市民社会の発展,気候変動対策,環境保護,経済的自立,英語学,栄養学や教育学等の分野への研修等のために米国への招聘を行っており,2016年も5名のパラオ人が同研修制度で訪米した。
 
・ガラロン州,気候変動対策プロジェクトを開始
17日,ガラロン州政府は,米国国際開発庁の支援を受けている「地域社会気候変動対策改善のための伝統的耕作地復興(Reviving Traditional Croplands to Improve Community Climate Resiliebce)」プロジェクトを開始した。
 
◆その他
・新月刊誌の創刊
1日,グアム,北マリアナ諸島及びパラオの時事トピックを扱う月刊誌「パシフィック・アイランド・タイムス」がグアムにて創刊された。パラオからは,当地紙ティア・ベラウ編集長のケソレイ氏とコロール在住フリージャーナリストのカリオン氏が参加している。
 
・パラオ柔道連盟事務局長が本邦での講習会に参加
6日~12月5日,アンソン・パラオ柔道連盟事務局長が,NPO法人柔道教育ソリダリティーによる海外柔道指導者受入事業「コーチングセミナー2016」に参加した。