パラオで活躍するJICAボランティア:上野登美子

平成28年9月22日

パラオからAlii!(こんにちは)

JICA ボランティア 上野登美子

 私はJICAのシニアボランティアの上野登美子です。2年間、このパラオの教育省で算数・数学の専門家として活動し、もうすぐ帰国します。いつもはパラオの小学校を回って授業の視察をしたり、研修を行ったり、先生たちに算数を教えたり、先生対象のテストを行ったりしています。それですっかり顔なじみになり、先生たちは皆“トミコ“と呼んでくれて、学校に電話しても、「トミコです。」と言うと、「ハーイ、トミコ!」と返してくれるようになりました。これが今一番うれしいことです。また、テストや研修を繰り返すことで、少しずつ先生たちのレベルが上がったこともこの2年間の成果です。カヤンゲル、アンガウル、ペリリューの島の学校には泊りがけで研修に行き、バベルダオブの学校には朝早くから出かけ、夜、真っ暗になって帰ることもありました。そんな中で、熱心に授業の相談をし、一生懸命研修を受ける先生方がたくさんいて、励みになりました。なかなかすぐにはうまくいくようにはなりませんが、ちょっとした提案を受け入れ、今度は自分でやってみようと試行錯誤している先生たちを見るのは、うれしいことでした。
 また、JICAのボランティアとして、若いボランティアと一緒に取り組んだ計算ドリルやオープンクラスの活動もやっと形になり、先生方も喜んで活用するようになったこともうれしいことです。長い夏休みの後は生徒が計算の仕方をすっかり忘れてしまい、また一からやり直しですが、毎日繰り返し計算ドリルをすることで、学年の終わりには平均して30%計算能力を上げられるようになりました。毎日の積み重ねが少しずつでも身についていってくれているのを感じます。そして、オープンクラスで研究授業を行い、先生方に上手な授業を見て、それについて話し合う形を作りました。多くの先生方が参加し、自分の授業の参考にしようと学んでくれています。
 もう一つ仕事以外のことですが、私はこの2年間、日本語補習学校で先生をしていました。補習学校は毎週土曜日の午前中、日本人の小学生に日本語で勉強を教える学校です。補習学校では勉強だけでなく、日本の行事やいろいろな体験をすることにも力を入れています。例えば、正月の遊びや書初め、こいのぼり作りや七夕飾り作り、そして和太鼓の練習など。今月には運動会を予定しています。生徒だけでなく、大人の方々も一緒に楽しめる運動会にしようと、保護者も一緒に準備しています。たくさんの方々の支えで、子供たちがいろいろな経験をし、それを自分の未来につなげていってくれればと期待しています。
この2年間、教育省の上司や同僚たち、各学校の校長先生やたくさんの先生方、JICA、補習学校を始めとする日本人の方々、本当に多くの方に助けていただき、楽しく過ごすことができました。心残りはたくさんありますが、充実した2年間を過ごせたことをパラオの皆様に感謝します。スーラン!