在パラオ特命全権大使よりご挨拶

平成28年3月14日

 皆様、こんにちは。
 戦後70周年に当たる昨年は、日本・パラオ関係にとり、特別な1年でした。

 

 4月8、9日、天皇皇后両陛下がパラオを御訪問になりました。24時間余りの短い御滞在でしたが、パラオ国民の大歓迎を受け、戦没者慰霊及び日本とパラオとの友好親善関係の発展という目的を果たされ、日本・パラオ関係にとって歴史的な出来事となりました。
 御訪問の後、日本から慰霊、友好交流、研修等を目的とする人々のパラオ訪問が増加しています。両陛下のペリリュー島での御慰霊の様子をテレビで見て感動し、久しぶりにパラオを訪問することにしたとの御高齢の方も多くいらっしゃいます。また、日本の若者がパラオ訪問を契機に戦争についての理解を深め、現在も続く遺骨収集や不発弾処理等について学ぶことは、日本・パラオ友好協力関係の持続的な発展のためにも重要なことだと考えます。
 5月22、23日、福島県いわき市で開催された「第7回太平洋・島サミット」(PALM7)では、安倍総理とパラオのレメンゲサウ大統領が共同議長を務め、日本と太平洋諸国との絆を強化するため、地域が直面する様々な問題について率直な意見交換が行われました。現在、その成果の1つであるパラオ公務員等の訪日研修(パシフィック・リード)の準備が行われています。
 いわき市との関係では、PALM7の期間中、総理夫人が太平洋諸国首脳の配偶者を招待して行われたプログラムの会場となった金澤翔子美術館の代表がボランティアとともに当館主催の日本フェア(本年2月28日)に参加して着物ショーを披露してくれました。また、同市の裏千家茶道のボランティアも日本フェアで本格的な茶道を紹介してくれました。PALM7でつながりの出来たパラオといわき市がこのような交流を通じて関係を深めたことは素晴らしいことと考えます。大使館としても、今後も様々な交流を通じて日本とパラオの相互理解、友好関係が強化されていくよう引き続き努力していきたいと思います。


 2016年は、パラオに対する日本の官民の協力が進展する1年となるでしょう。
 パラオに対する日本の無償資金協力プロジェクトの上水道改善計画が着工される予定です。また、民間協力として、パラオ国際空港改修運営計画や日本財団・笹川平和財団によるパラオ海上保安能力強化及びエコツーリズム推進計画がその実施に向けて前進する予定です。いずれの計画もパラオの環境保護及び観光業の発展に寄与するものです。パラオ側のニーズに応じた日本の政府及び民間の協力は、パラオの発展及び日本・パラオ両国関係強化のため極めて重要であり、大使館としてもできる限りの支援を行っていきたいと考えます。


2016年3月
在パラオ日本国大使
田尻 和宏