インタビューシリーズ~活躍する帰国留学生~ 第32回シャーリー・ディレブレクー・コシバさん
令和8年3月2日

シャーリー・ディレブレクー・コシバさんは、JICA SDGsグローバルリーダー育成プログラム(旧Pacific-LEADS)の修了生です。茨城県の筑波大学大学院へ留学し、2019年に環境科学(社会経済学)の修士号を取得して卒業しました。
コシバさんは父フリッツ・コシバさんと母マーサ・コシバさんの間に生まれ、3人の姉と1人の弟がいます。コシバさんはエマウス幼稚園、セブンスデー・アドバンティスト小学校、パラオ・ミッション・アカデミー高校を卒業後、ハワイ大学マノア校に進学し、政治学の学士号を取得しました。その後、パラオに戻り、パラオ国際サンゴ礁センター(PICRC)で研究員として勤務を始め、主にパラオの保護区の社会経済学に焦点を当てて研究を行いました。PICRCとJICAが共同プロジェクトを行った際に、当時のJICAの担当者から「修士号取得を目指してみないか」と声をかけられたことをきっかけに、JICAによる本留学制度について興味を持ったそうです。仕事関連の短期研修で日本を訪れたことはありましたが、長期間の滞在経験がなかったため、日本への留学に不安を感じていました。そこで父親に相談したところ、父親はすぐに「日本は学ぶのに素晴らしい場所だ」と励まし、挑戦するよう背中を押してくれました。コシバさんはその時の父の励ましに深く感謝しており、「留学に挑戦したことは、自分の人生において最も良い決断だったと確信しています」と語りました。
日本へ到着後、約1ヶ月間は沖縄のJICAセンターで日本語と日本文化の学習に励みました。その後、茨城県にある筑波大学大学院の生命地球科学研究科で「パラオの自然環境に対する観光の社会経済的影響」を研究しました。当時、パラオへの観光客は増加しており、観光の拡大に伴う環境汚染への懸念が高まっていました。コシバさんは実地調査として、パラオ国際空港から出国する観光客に対して支出状況や環境税に関する意見、環境税が引き上げられた場合の再訪意向を調査しました。彼女の調査結果は、政策立案者や関係者がパラオの環境への影響を抑制するための環境税政策を強化する際の貴重な資料となるものでした。コシバさんは、指導教員のミズノヤ教授から大変お世話になったと語っています。教授は彼女の研究を熱心にサポートし、日本地域学会で開催された学会発表への参加を勧めてくださいました。そこでコシバさんは論文を発表し、貴重なフィードバックを得ることができ、研究をさらに強化することができました。また、学会参加に加えて、コシバさんは沖縄「美ら海水族館」で短期インターンシップを行い、特にティラピアなどの外来種を研究する研究者と密に連携して業務にあたりました。
日本での最初の数ヶ月について伺うと、「学ぶことは多かったものの、地元の市場での買い物の仕方を覚えたり、筑波の寒さに慣れたりするなど、とても楽しい経験でした」と話しました。コシバさんは約200の研究機関や科学機関が集まる街である筑波を「科学の拠点」と表現し、環境に配慮したエコフレンドリーな都市だと感じたそうです。
休日には、日本国内を旅行する機会もありました。北海道の札幌で新年を迎えた際のことを、彼女は嬉しそうに振り返りました。日本の知人から北海道の海産物や牛乳、バターなどの名産品についてよく聞いており、ぜひ自分の目で確かめたいと思ったそうです。また、友人と花見に出かけたり、さまざまな日本食を試したりもしました。「最初は生卵が入っているすき焼きを食べるのをためらいましたが、食べてみると美味しくて、今では大好物です。馬刺しも先生の勧めで勇気を出して食べてみたところ、とても美味しかったです」と語りました。
大学院修了後はパラオ国際サンゴ礁センター(PICRC)に復帰し、研究成果を関係者へ発表するとともに、さらに2年間勤務しました。現在はリョブ・ルイさんと結婚し、4歳の息子の母として奮闘しながら、国連開発計画(UNDP)パラオ事務所のグローバル環境基金(GEF)小規模助成プログラムのナショナルコーディネーターを務めています。コシバさんは、「留学して以来、日本にはまだ再訪できていませんが、直行便が就航した今、ぜひ近いうちに訪れたいと考えています」と話しました。
インタビューの最後に、コシバさんにこれまでの経験を振り返っていただきました。。「日本は公共交通機関の利用から公共料金の支払いに至るまで、すべてが効率的で、平和で秩序があり、非常に便利でした。日本の生活に慣れるには努力が必要ですが、本当に価値のある経験になると思うので、ためらっているパラオの学生にはぜひ挑戦してほしいです」と語りました。また、日・パラオの関係について伺うと、日本が多方面でパラオを支援しており、特にODAプログラムを通じた支援が大きいと述べました。今後はJICA SDGsグローバルリーダー育成プログラムや文部科学省の奨学金(MEXT)など、教育の機会をより多くの若いパラオ人が活用することを望んでいます。さらに、日本はパラオにとって最も身近なパートナーの一つであるため、パラオ人が他国と同様に日本を理解することが重要だと語りました。