令和元年度対パラオ草の根無償資金協力「北部漁業組合ボート整備計画」
令和7年12月15日
5年目フォローアップ

2025年12月11日、当館館員は令和元年度対パラオ草の根無償資金協力「北部漁業組合ボート整備計画」の5年目フォローアップを、ガラロン州のオレイ港にて実施しました。
2020年6月に完了した本事業では、北部漁業組合がガラロン州と北方のカヤンゲル州間を定期運航し、離島であるカヤンゲル州で採られた魚が市場へ届けることで、両州の漁業収入を安定化させることを目的とし、ボート1隻及びトレーラーを同組合に供与しました。
供与から5年が経った現在も、ボートは両州間の漁獲輸送を担う唯一の手段として、北部業業者や地域住民に重宝され、メンテナンスを繰り返しながら良好な状態に保たれています。一度の輸送で400~600ポンドの魚をカヤンゲル州から輸送しており、北部漁業者の収入安定に貢献すると共に、復路は離島であるカヤンゲルへ生活物資を届ける副次的な役割も果たしています。
当館はパラオの海洋資源の持続可能な利用を推進する姿勢を支援しており、本事業で供与されたボート及びトレーラーが今後も長く北部漁業組合及び地域住民に利用されることを期待しています。
引渡式

2020年12月10日、ガラロン州にある北部漁業組合の事務所にて、令和元年度草の根無償資金協力による「北部漁業組合ボート整備計画」の引渡式が行われ、1隻の新しいボート(供与額565万3,340円)が供与されました。式典には、当館から柄澤大使、パラオ側からガラロン・カヤンゲル両州政府の議員、北部漁業組合のアダチ事務局長の他、多数の組合員等が出席しました。
北部漁業組合は、バベルダオブ島最北端にあるガラロン州の住民約300名と、同州からボートで約1時間離れた距離にある離島のカヤンゲル州の住民約50名が会員となっている地域の漁業組合です。
同組合では、2州の海洋資源の持続可能な管理と保全活動に取り組んでいますが、ボートを所有していないため、十分な活動を行うことができていませんでした。また、同組合ではカヤンゲル州の漁師が漁場から組合事務所まで漁獲物を運ぶための輸送手段を提供できず、カヤンゲル州の漁師が漁業から十分な収入を得ることができないことが課題となっていました。
式典当日は快晴の青空の下、組合員を含む多数の出席者に見守られながら引渡式を実施することができました。本件協力の実施により、カヤンゲル州の漁師の収入が増えるだけでなく、JICAが提供する様々な技術支援も相まって、パラオの恵まれた水産資源の持続可能な管理と保全活動が促進されることが期待されます。
署名式

2019年12月13日、在パラオ日本国大使館にて、令和元年度草の根無償資金協力による「北部漁業組合ボート整備計画」の契約の署名が、柄澤大使とブリジット・アダチ北部漁業組合事務局長との間で執り行われました。式典には、署名者の他、パラオ側より北部漁業組合関係者が出席しました。
北部漁業組合は、バベルダオブ島最北端にあるガラロン州の住民約300名と、同州からボートで約1時間離れた距離にある離島のカヤンゲル州の住民約50名を対象とした地域の漁業組合です。
現在、北部漁業組合は、公立学校の給食用としてパラオ教育省に月に一度、コロール州にあるレストランに月に複数回、ガラロン州の組合員が獲った魚を卸しており、余った魚をガラロン州のローカルマーケットで販売しています。しかしながら、これまではガラロン州の漁師が獲った魚のみが市場に卸されており、カヤンゲル州の漁師が獲った魚は全く卸されていない状況でした。これは、組合が2州を行き来できるボートを保有しておらず、また、カヤンゲル州の漁師が所有するボートで、同州から1時間かけて組合事務所のあるガラロン州の波止場まで獲った魚を運んでも、燃料費との採算が合わないためです。その結果、カヤンゲル州の漁師が捕獲する魚は自給分のみになり、同州の漁師が漁から得ている収入はありません。そのため、同州の漁師は副業をしながら生計を立てている状況ですが、離島であるカヤンゲル州は副業になる職業自体が限られるため、十分な収入を確保できず、同州の漁師の生活は逼迫しています。
供与額565万3,340円の本件協力を通して、北部漁業組合に25フィートボート(7.6メートル)1隻が供与されます。これにより、組合がカヤンゲル州の漁師の獲った魚の輸送補助が可能となることから、カヤンゲル州の漁師が漁から一定の収入を確保できるようになります。また既存のガラロン州の漁師による漁獲量に加え、カヤンゲル州の漁師分の漁獲量も増えることで、組合が市場に魚を卸す頻度と量が増え、魚の卸先をさらに増やすことができると期待されます。その結果、カヤンゲル州の漁師だけでなく、ガラロン州の漁師を含む、同組合員全体の収入増加が期待され、組合員の生活の質の向上が期待されます。
パラオでは、平成11年に初めて草の根無償資金協力が実施され、本件は79件目の案件署名となりました。