インタビューシリーズ~活躍する帰国留学生~ 第28回タニャ・パトリスさん

令和7年9月26日

 
タニャ・パトリスさんは、国費留学の教員研修留学生として、兵庫教育大学で教員研修を受けました。日本への興味と、日本の小学校における「算数教育」に興味を持ち、当プログラムを申し込みました。
 
パトリスさんは、マリステラ小学校を卒業後ミクロネシア連邦のチュークにあるザビエル高校へ進学、その後アメリカのメリーランド州にあるノートルダム・メリーランド大学で初等教育学の学士号及び修士号を取得しました。同時に、近くのカレッジで日本語授業も受講していたそうです。卒業後、マリステラ小学校教員として数年間勤めましたが、新聞広告を通して当研修について知り、即座に応募しました。日本へ渡航してはじめの半年間は、神戸大学で日本語を集中的に学び、その後1年間かけて兵庫教育大学で教員研修を受けました。幾つか学校を訪問して授業研究を行い、研修生同士で効果的な授業方法について話し合っていたそうです。「パラオでは外国の教育法を模倣していますが、日本では各教員が工夫を凝らして授業を行っていることが印象的でした」と語りました。また、算数の習得に向けた取り組みが教室内にとどまらず、日常のさまざまな場面で応用されていることに、大変興味を持ったそうです。
 
パトリスさんは「日本については、食文化や四季の移ろい、出会った人々など、好きなところが一言では言い尽くせないほどたくさんあります。総じて、日本という国が大好きです」と言いました。日本食の中では特に大阪で食べた「たこ焼き」と「お好み焼き」が美味しかったそうです。神戸にいたときは、山と海に挟まれた街の景色に感動し、広島、鹿児島、沖縄、北海道などを巡った旅では、各街の異なる魅力に魅了されたそうです。予想以上に少ない費用でまわれたことにも驚いたと言います。また、富士山登山では、友人と励まし合いながら一歩一歩登り続け、山頂で味わった達成感は忘れられない思い出になったそうです。さらに、学校ではさまざまな国のクラスメイトと友人になることができ、日本文化体験や観光に連れて行ってくれたホストファミリーとの交流も、とても貴重な経験だったと語っています。あるときには、お世話になったホストファミリーに感謝の気持ちを込めて、ミャンマーの友人と一緒にミャンマー料理を振る舞ったことがあり、それもとても良い思い出になったそうです。
 
日本での研修を終えた後は、マリステラ小学校の教員として復帰し、数年間勤めました。その後、特別支援の先生として勤務、その後はパラオ高校の英語教員として2022年まで勤めました。
 
「桜や紅葉、雪など、日本の自然は本当に美しかったです。もう一度日本を訪れて、あの景色を見たいと強く思います。この研修は、私にとってかけがえのない経験となりました。日本は、私にとって特別な国です。また、これまで日本がパラオにしてくださったことに心から感謝しています。日本に何かあったときは、パラオが何らかの形でお役に立てればと願っています」と、思いを語ってくださいました。