インタビューシリーズ~パラオの日系人~ 第28回 ユミ・モリシタさん
令和7年6月19日


ユミ・モリシタさんは現在47歳の日系パラオ人です。父のモリシタ セイイチロウさんは埼玉県出身で、日本の株式会社「ボニト」の工場で働くためにパラオへ移住しました。現地でモリシタさんの母、クリスティーナ・オミレク・モリシタさんと出会い、パラオに定住することを決意しました。セイイチロウさんは工場勤務を経て、ガッパン州でカニ漁師として働くようになりました。カニを捕るために、コロール州近郊の自宅からガッパン州まで日々往復していたそうです。柔和な人柄で、熱意にあふれ勤勉な人物だったセイイチロウさんは、カニ漁師として功績を上げ、地元ではかなり知られた存在だったといいます。モリシタさんは、父セイイチロウさんといるときは日本語で会話していたそうです。
モリシタさんはSDA小学校を卒業後、パラオ高校に進学。その後グアム大学でインターナショナル・ツーリズムの学士号、ビジネス・アドミニストレーションの修士号を取得しました。卒業後は家族のいるパラオに戻り、病院でソーシャル・マーケティング・スペシャリストとして数年間勤務。その後観光業に転身し、パラオ政府観光局やパラオ・パシフィック・リゾート・ホテルで18年間勤めました。パンデミックの影響を受けて転職し、現在は国際移住機関(IOM)に勤務しています。
ユミさんは、日本に住む異母姉妹のモリシタ・ユウコさんと叔母に会うため、日本を訪れたことがあります。ユウコさんも、息子2人を連れてパラオを訪れてくれたことがあるそうです。「お互いに母語以外はあまり得意ではなかったので、英語と日本語を交えて話しました。時々誤解が生じて、おかしな会話になることもありました」と笑いながら当時のことを語ってくれました。日本滞在中は餅や新鮮な果物を楽しみ、ショッピングをしたり、日本人の温かなホスピタリティに触れたりして、良い時間を過ごされたそうです。
日パラオ外交関係樹立30周年を超えた今、私たちはモリシタさんに日パラオ関係について尋ねました。「日パラオ関係は正しい方向に進んでいると思います。日本政府の多岐にわたる支援に感謝しています。こうした取り組みが高齢世代と若年世代をつなぐ架け橋となり、今後も良好な二国間関係が続くことを願っています」と語ってくださいました。