インタビューシリーズ~活躍する帰国留学生~ 第9回 キク・ブレルさん
令和6年2月21日

キク・ブレルさんは、日本政府(文部科学省)奨学金制度を利用して日本の専修学校で学んだ帰国留学生です。1年間の日本語教育を受けた後、駿台トラベル&ホテル専門学校に進学し2007年に卒業しました。現在はパラオで大統領特別補佐官を務めており、パラオ帰国留学生会の前会長でもあります。
ブレルさんはパラオのミゼンティ高校を卒業後、日本政府の奨学金に応募しました。その結果を待つ間、まず米国カリフォルニア州のミッション・カレッジへ進学することになりました。日本大使館から文部科学省奨学金の合格通知が届いたのは、ミッション・カレッジで学び始めて間もなくのことでした。もっと自立したいという強い思いからアメリカの大学を辞めて日本に留学することに決め、2004年に日本へ渡りました。
日本留学1年目は、東京・新宿にある文化外国語専門学校に入学して日本語教育を受けました。学生寮では、サモア人の先輩留学生が身の回りの面倒を見てくれました。電車の乗り方、定期券の申請、学生証の取得、食料品の買い物の仕方などを先輩から学びました。
文化外国語専門学校の授業はすべて日本語で行われたので、少し大変だったといいます。ただ、日本に行く前にミゼンティ高校で2年間、日本語の基礎を学んだことがとても役に立ったそうです。ブレルさんは日本語をとても流暢に話せるようになり、他の国から来た友人とも日本語で話すほどでした。語学学校で1年間過ごした後、駿台トラベル&ホテル専門学校に進学してトラベルビジネスを2年間学び、2007年に卒業しました。
ブレルさんは勉強の合間に時間を見つけては、日本での時間を最大限に活用しようとしました。北海道、沖縄、名古屋、鹿児島など日本各地を旅したそうです。浴衣を着て友人たちと夏祭りの花火を見ることも楽しみでした。日本食が大好きで、特に寿司、刺身、茶碗蒸しがお気に入りでした。
3年間の日本留学を終えたとき、ついに目標を達成したと喜ぶ一方で、日本でできた親しい友人たちとの別れを惜しみました。日本の友人たちとは多くの忘れられない思い出があるそうです。当時の友人たちと今でも連絡を取り合っており、2025年には東京で同窓会を開く予定です。
日本での生活は、ブレルさんに仕事に対する倫理観など重要な教訓を与え、それが自身のキャリアに役立っているといいます。ブレルさんはまた、多くのパラオの学生が日本政府奨学金に応募するよう願っています。
2024年は日・パラオ外交関係樹立30周年記念の年。ブレルさんは両国の関係が特別なものであると感じています。また、大統領府で働き始めてから、この関係が実を結んでいることを実感しており、パラオに対する日本の支援に心から感謝していると語りました。